• Skip to primary navigation
  • Skip to main content

関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

原産品申告書作成は輸出者と輸入者どちらが行うべきか

最終更新日2019年9月30日 By 河副太智 Leave a Comment

TPPと日EU・EPAにて採用されている自己証明方式によって
輸出者、生産者、輸入者のいずれかが原産品申告書を作成し、
特恵関税率の適用を要求する事が可能となっております。

この場合「誰が原産品申告書を作成するか」という点で問題に
なる事があり得ます。

関税削減が最優先と考えればとりあえずお願いしやすい方に作成して
もらうという選択肢があるかと思いますが、原産品申告書作成者を
安易に選択すると企業秘密を外部に漏えいするリスクがあります。

これは原産品申告書作成時に企業秘密が漏えいするというよりは
関税削減から一定期間が経ってからやってくる税関からの事後確認
(検認)での原産性の立証作業の際に起こり得ます。

その理由としては税関の事後確認(検認)の相手方が企業秘密を
有する者ではない場合が想定できるからです。

例えば日本の企業が外国に輸出をして、相手国での関税削減の為に
相手国側の輸入者に原産品申告書を作成させた場合、相手国税関の
事後確認(検認)の対象は原産品申告書を作成した相手国の輸入者に
なりますので、貨物の製造工程、原料、価格などの情報を相手国の
輸入者が相手国側の税関に報告する必要があると考え、自社の情報を
丸ごと取引先である相手国輸入者に提供してしまうという事が考えられます。

輸出先国の輸入者に原産品申告書を作成依頼をする事は関連企業でない限り
一般的ではない事かと思いますが、基本的に輸入者が事後確認(検認)
において原産性を立証する重要なポジションに置かれる為、輸入者に
企業秘密を渡さず、輸出者、生産者が直接相手国税関に企業秘密が含まれる
製造工程を提供する立場になるためにはどのようにすれば良いかを事前に
検討する事は自己証明制度の活用において非常に重要であると考えます。

 

目次

  • 協定文から事後確認(検認)の対象者を確認する
    • TPPの事後確認(検認)対象者
      • TPPにて輸出者、生産者が原産品申告書を作成した場合
      • TPPにて輸入者が原産品申告書を作成した場合
    • 日EU・EPAの事後確認(検認)対象者
      • 日EU・EPAにて輸出者、生産者が原産品申告書を作成した場合
      • 日EU・EPAにて輸入者が原産品申告書を作成した場合
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

協定文から事後確認(検認)の対象者を確認する

協定によって事後確認(検認)の対象者は違いがある為、各協定文を
よく確認してから原産品申告書作成者を決定する事が重要です。

以下にTPPと日EU・EPAの事後確認(検認)に関する協定文を記載します。

 

TPPの事後確認(検認)対象者

TPPの事後確認(検認)に関する規定は以下の通りです。

TPP 第3.27条 原産品であることの確認

1
輸入締約国は、自国の領域に輸入される産品が原産品であるかどうかを決定するため、
次の1又は2以 上の手段により、関税上の特恵待遇の要求について
確認を行うことができる(略)

(a) 当該産品の輸入者に対し、情報について書面により要請すること。

(b) 当該産品の輸出者又は生産者に対し、情報について書面により要請すること。

(c)当該産品の輸出者又は生産者の施設に確認のための訪問を行うこと。

(略)

2
輸入締約国は、確認を行う場合には、輸入者、輸出者又は生産者から直接情報を
受領する。

3
輸入締約国は、関税上の特恵待遇の要求が輸出者又は生産者が作成した
原産地証明書に基づく場合において、1(a)の規定に基づいて行う情報についての
要請に対し、輸入者が当該輸入締約国に情報を提供せず、又は提供された情報が
関税上の特恵待遇の要求を裏付けるのに十分でないときは、当該要求を否認する前に、
1(b)又は(c)の規定に基づき、当該輸出者又は生産者に対し、当該要求を裏付ける
ための情報につ いて要請する。
当該輸入締約国は、6(e)に規定する期間内に当該確認(1(b)又は(c)の規定に
基づく当該輸出者又は生産者に対する追加的な要請を含む。)を完了する(注)。
注.締約国は、関脱上の特恵待遇の要求が輸入者の作成した原産地証明書に碁づいて
行われる場合には、輸出者若しくは生産者に 対して当該要求を裏付けるために
情報を要請すること又は輸出者若しくは生産者を過じた確認を完了することを
要求されない。

TPPにて輸出者、生産者が原産品申告書を作成した場合

3.27条3項前段において輸入国税関による事後確認(検認)の対象は
まず輸入者となり、輸入者の回答が原産性を立証に至らない場合に
輸出者、生産者が事後確認(検認)の対象になると規定されています。

この場合、輸入者から直接輸出者、生産者に対し情報開示の要求をする事が
考えられますが、ここで輸入者に企業秘密を公開しなくても相手国税関に
直接情報の提示ができると考えられますので、取引先の輸入者に情報を
公開する前に直接相手国税関と接触するように対策をするべきです。

TPPにて輸入者が原産品申告書を作成した場合

3.27条3項の注において輸入国税関による事後確認(検認)の対象は
輸入者となり、輸入者の回答が原産性を立証に至らない場合に輸出者、
生産者に対する事後確認(検認)は行わなくても良いとする規定となる為、
輸入者の回答が不十分であるというだけで特恵関税率の適用が否認される
可能性が高くなる為、輸出者、生産者としては輸入者に原産地規則を満たす
事を立証する為に企業秘密を提供する必要が出てくる場合があります。

その為、輸入者に原産品申告書を作成してもらう場合は原産地規則を満たす事
を立証する為の製造工程や原料、調達費用などの情報を輸入者に開示しても
問題がないかどうかを確認する必要があります。
(基本的に輸入者が関連会社の場合以外では一般的ではありません)

 

 

日EU・EPAの事後確認(検認)対象者

日EU・EPAの事後確認(検認)に関する規定は以下の通りです。

日EU・EPA 第3.21条 原産品であるかどうかについての確認

1
輸入締約国の税関当局は、自国に輸入された産品が他方の締約国の原産品であるか
どうか又はこの章に定める他の要件を満たすかどうかを確認するため、
第3.16条に規定する関税上の特恵待遇の要求を行った輸入者に対して情報の提供を要求
することにより、危険性を評価する方法(無作為抽出を含む。)に基づく確認を
行うことができる。
輸入締約国の税関当局は、税関への輸入申告の時、産品の引取りの前又は産品の
引取りの後に確認を行うことができる。

(略)

4
輸入者は、輸入締約国の税関当局に対し、関税上の特恵待遇の要求が
第3.16条2(a)に規定する原産地に関する申告に基づくものである場合において、
要求された情報がその全てについて又は1若しくは2以上のデータの要素に関連して
輸出者から直接提供され得るときは、その旨を通報する。

 

日EU・EPAにて輸出者、生産者が原産品申告書を作成した場合

3.21条1項において輸入国税関による事後確認(検認)の対象はまず輸入者となり、
輸入者の回答が原産性を立証に至らず、輸出者か生産者が立証可能な場合はその旨
伝える事により輸出者、生産者が事後確認(検認)の対象となります。(3.21条4項)
※3.21条4項にて規定されている「第3.16条2(a)に規定する原産地に関する申告」が
輸出者、生産者作成という意味になります。

 

日EU・EPAにて輸入者が原産品申告書を作成した場合

3.21条1項において輸入国税関による事後確認(検認)の対象は輸入者となり、
輸入者の回答が原産性を立証に至らない場合における輸出者、生産者に対する
事後確認(検認)の要否に関しての規定は存在しません。

輸入者の回答が不十分であるというだけで特恵関税率の適用が否認
される可能性が高くなる為、輸出者、生産者としては輸入者に原産地規則を
満たす事を立証する為に企業秘密を提供する必要が出てくる場合があります。

その為、輸入者に原産品申告書を作成してもらう場合は原産地規則を満たす事
を立証する為の製造工程や原料、調達費用などの情報を輸入者に開示しても
問題がないかどうかを確認する必要があります。
(基本的に輸入者が関連会社の場合以外では一般的ではありません)

 

日EU協定に基づくEU税関当局からの情報提供要請

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: FTA/EPA

関連記事一覧

ニッケルの粉の関税を削減する実例

FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース 導入 輸入者Aは、FTA締約国である英国からニッケル粉末を輸入することを検討しています。ニッケル粉末は、非締約国から調達された原材料を使用して英国で製造されていま […]

靴の関税を削減する実例

FTAを使用した関税削減の可能性 輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達 […]

飴の関税削減事例

  事例 輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。 当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調 […]

インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介

インドとの貿易取引を行う場合、輸出入規制やHS分類、FTA/EPA等において 悩む事が多い事かと存じます。 他の国々と比較してインドの制度はわかりにくい部分も多く様々な混乱が発生する為、 情報収集をしたところ、非常に誠実 […]

バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧

HS:4202.11 – トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 –外面が革製又はコンポジションレザー製のもの HS:4 […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Copyright © 2025関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。