• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar

関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

ニッケルの粉の関税を削減する実例

最終更新日2024年6月17日 By 河副太智 Leave a Comment

目次

  • FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース
    • 導入
    • 判定情報
    • ニッケル粉末の原産地規則
    • 原材料と原産地分類
    • 製造工程
    • 認定理由
    • まとめ
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース

導入

輸入者Aは、FTA締約国である英国からニッケル粉末を輸入することを検討しています。ニッケル粉末は、非締約国から調達された原材料を使用して英国で製造されています。具体的には、粗ニッケル(HS 7501.20)や一酸化炭素、水素、二酸化硫黄、アンモニア、酸素(HS 28)などのガスが英国での製造過程で使用されています。これにより、この製造方法がFTAの原産地規則を満たし、関税の削減が可能かどうかが問題となります。

判定情報

交付年月日2024年5月1日
製品名ニッケル粉末
HSコード7504.00
適用される原産地規則品目別原産地規則 (CTSH)

ニッケル粉末の原産地規則

輸入国Aと英国間のFTAに基づく関税優遇措置を受けるためには、ニッケル粉末が品目別原産地規則 (PSR) を満たす必要があります。当該協定によると、HSコード7504.00に基づくニッケル粉末の品目別原産地規則は、製造過程でのタリフ見出し変更 (CTSH) を要求しています。

原材料と原産地分類

原材料HSコード説明原産地認定
粗ニッケル7501.20非締約国から調達非締約国
一酸化炭素28非締約国から調達中立的要素
水素28非締約国から調達中立的要素
二酸化硫黄28非締約国から調達中立的要素
アンモニア、酸素28非締約国から調達中立的要素

製造工程

説明
ガスの製造
熱分解
ニッケル粉末の製造

認定理由

FTAの適用に際して、まず検討すべきは非原産材料である粗ニッケル (HS: 7501.20) です。最終製品であるニッケル粉末のHSコードは7504.00であり、FTA締約国での製造加工において非原産材料からHSコード6桁レベルの変更があったため、品目別原産地規則 (CTSH) が満たされています。

次に、非原産材料である一酸化炭素、水素、二酸化硫黄、アンモニア、酸素(各HSコード第28類)の存在についてですが、これらは当該FTAの協定において中立的要素と認められるため、本品が締約国の原産品であるかどうかを決定するに当たり、原産品としての資格について考慮する必要はありません。

本事例のFTA協定文では中立的要素は第3.13条に規定されています。

まとめ

それ故に、ニッケル粉末はFTA締約国産として認められ、関税削減の対象となります。

今回の事例で注目すべき点は、FTA締約国で製品を製造する際、非締約国から調達した非原産材料であっても、それが適用する協定で定める中立的要素(a. 燃料、エネルギー、触媒および溶媒)に該当する場合、非原産材料であっても原産地規則を満たすかどうかを個別に検討する必要がないということです。

もし非原産材料を使用していても、それが原産地規則を満たさない場合でも、当該非原産材料が中立的要素に該当すれば原産地規則を満たすということも考えられますので、このような例外規定も協定文から確認する作業は非常に重要です。

以上の製造工程を経ることで、輸入会社は特恵関税率の適用を受けることができます。通常の方法でニッケル粉末を輸入する場合、より高い製造コストがかかりますが、非原産材料をFTA原産地規則に沿って調達することで、関税を大幅に削減できます。これにより、輸入プロセスがより効率的かつ利益を生み出すものとなります。

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: 原産地規則実例

関連記事一覧

靴の関税を削減する実例

FTAを使用した関税削減の可能性 輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達 […]

飴の関税削減事例

  事例 輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。 当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調 […]

インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介

インドとの貿易取引を行う場合、輸出入規制やHS分類、FTA/EPA等において 悩む事が多い事かと存じます。 他の国々と比較してインドの制度はわかりにくい部分も多く様々な混乱が発生する為、 情報収集をしたところ、非常に誠実 […]

バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧

HS:4202.11 – トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 –外面が革製又はコンポジションレザー製のもの HS:4 […]

3DアートペンのHSコードは8516か8477のどちらに分類?

3Dアートペンは米国税関により”家庭において使用する種類の電熱機器”として HSコード8516.79に分類されました。 N248177. しかし、スゥエーデン税関では”プラスチックを材 […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Primary Sidebar

  Linkedinはこちら  

関税削減.comのニュースレターに
登録して頂くと関税削減マニュアル
pdf版(約500p)が無料になります。
解除はいつでも可能です。

関税削減マニュアルを無料で受けとる

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。



■著者:河副 太智について

■ご質問に回答します。

おすすめの記事

■日EU原産地申告書作成方法
■TPP原産品申告書作成方法
■世界の関税率を直接検索
■税関の事後調査は怖い?
■輸出国税関から調査要請
■関税評価と事後調査
■関税率の調べ方
■世界のFTA/EPA協定文を検索
■HSをネット検索する方法
■日本と海外はHSが違う?
■原産地記号一覧
■ 英語版FTA/EPA学習コース
■全記事一覧

新着記事

  • ニッケルの粉の関税を削減する実例
  • 靴の関税を削減する実例
  • 飴の関税削減事例
  • インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介
  • バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧
  • 3DアートペンのHSコードは8516か8477のどちらに分類?
  • ローラースケートプロテクターのHS分類は付属品になるのか
  • ケース、箱、容器のHSコード分類法
  • 吊り棚のHSコードは9403(家具) か 6307(繊維製品)か?
  • 税関事後調査情報は税務署にも繋がっている
  • 税関事後調査でEPA適用が取り消されるケース
  • 税関事後調査でHSコードの誤りから追徴課税になるケース
  • おもちゃのHSコードはどう決まる?(貯金箱の事例)
  • 税関から「会社概要の照会について」が来たら要注意
  • 税関から「会社概要のお伺い」が来たら要注意
  • 税関から「会社概況調査のご案内」が来たら要注意
  • トレッキングポールは「杖」HS:6602に分類される?
  • 元税関職員が語る事後調査を回避する方法
  • 過去の税関輸入事後調査の状況
  • RCEP詳細
  • プールラウンジャーのHSコード分類判例
  • 自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
  • 部分品と付属品の定義
  • 小売用セットか分離課税か?(オーディオアクセサリー)
  • 国によって異なるHSコード分類解釈
  • コロナ関連医療機器のHSコード一覧
  • 日EU・EPAでREXナンバーの記載は必要か
  • 化学品HSコード分類フローチャート
  • 有機化合物の化学式画像によるHSコード分類表
  • 通商法301の追加関税対象製品をHSコードで検索
  • 中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)
  • コロナ対策品目のHSコード一覧
  • 利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する
  • 税関審査官によって異なるHSコード分類
  • 靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)
  • 汎用品に分類されるHSコードとサンプル画像一覧
  • 企業が安価輸入品から利益を守るアンチダンピング関税発動法
  • アンチダンピング関税で不当安価な輸入品から利益を守る
  • プラ製自動車部品のHSコードはどう分類する?
  • 日EU・EPA運用における意見相違
  • 日米貿易協定
  • EPAの仕組みを英語で解説して取引先に理解させる
  • 材質分類か用途分類か
  • HS分類の「改正」なのか分類ミスの「訂正」だったのか?
  • 小売り用セット品目のHSコード分類法
  • 関税率表解説の”通常”や”例えば”という文言の解釈
  • HS分類ミスによる追徴課税
  • 口頭事前教示申請でHSコードの分類を行う
  • 部品メーカーが直面する原産地証明への対応
  • ボルトとねじのHSコード分類法

カテゴリー

  • FTA/EPA
    • CTC実例
    • RCEP
    • 原産地規則実例
    • 日EU・EPA
    • 検認、事後確認
  • HSコード
    • HS分類判例
    • タリフエンジニアリング
    • 各国税関による分類事例
    • 意見相違
    • 自動車部品
    • 部分品の原産地規則
  • NEWS
  • WEB集客
  • ツール
  • 一般特恵関税
  • 中国
  • 未分類
  • 特殊関税
  • 税関事後調査
  • 解説書
  • 貿易通関統計
  • 通関英語
  • 関税法
  • 関税評価

旧HS2002,2007,2012へ変換

Copyright © 2025関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。