目次
事例
輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。
当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調達した酸味料、香料、色素、水を使用している。
このような製造方法で輸入された砂糖菓子はFTAの原産地規則を満たし、関税の削減の対象になるのでしょうか?

税関判断の詳細
交付年月日
2021年12月28日
製品名
砂糖菓子
HS Code
1704.90
原産地規則
CTH(Change to Tariff Heading)
原材料一覧
| 原材料名 | HS Code | 原産地認定 |
|---|---|---|
| 砂糖 | 1701 | EPA原産材料 |
| 水飴 | 1702 | EPA原産材料 |
| 酸味料 | 2918 | 第三国による非原産材料 |
| 香料 | 3302 | 第三国による非原産材料 |
| 色素 | 3203 | 第三国による非原産材料 |
| 水 | 2201 | 第三国による非原産材料 |
製造工程
| 原材料の準備 |
| マグネット検査 |
| フィルター通過 |
| 煮詰め |
| 原材料の追加 |
| 冷却・混合 |
| キャンディベースのラミネート |
| キャンディベースの引き伸ばし |
| キャンディベースの切断 |
| 成形・スティック挿入 |
| 冷却 |
| 金属検出器による検査 |
| 個別包装・タグ付け |
| 金属検出器による再検査 |
| X線検査機による検査 |
| 仮保管 |
| 化粧箱詰め |
| 段ボール箱詰め |
| パレット積み |
| 出荷 |
認定理由
砂糖菓子のHSコードは1704.90であり、品目別原産地規則は*CTHです。原材料の詳細を確認したところ、非FTA国から調達された酸味料、香料、色素、および水は、品目別原産地規則の基準を満たしています。したがって、砂糖菓子はFTAの原産品として認められ、関税削減の対象となります。
*CTH(Change to Tariff Heading)とは、最終製品の製造過程で使用される非原産材料が、4桁のHSコードレベルで変化することを要件としています。
まとめ
この事例では、砂糖菓子の輸入において関税を削減するだけでなく、原材料のコストも削減する戦略的なアプローチが見られます。砂糖菓子の主な原材料である砂糖と水飴はFTA締約国から調達されており、最終製品は主にFTA原産と見なされます。この製品の高い純度レベルは、FTA規則への準拠を強調しています。
主要な原材料はFTA締約国から調達される一方で、酸味料、香料、色素、水などの補助的な材料は非FTA国から低コストで調達されています。この戦略により、企業は製品の高品質と純度を保ちながら、調達コストを大幅に削減することができます。
品目別原産地規則を遵守し、非原産材料を戦略的に調達することで、企業はFTAの特恵関税率を適用する資格を得ます。このコスト最適化と関税削減の二重のアプローチは、企業のFTAの効果的な利用による収益性の向上を示しています。
FTAを戦略的に理解し活用することは、ビジネスチャンスの拡大につながります。この事例は、FTA規則の知識と賢い調達決定が国際貿易において競争優位性を生み出すことを示しています。






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