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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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河副太智

日欧EPAの特恵関税が否認されるとどうなる?

最終更新日2019年3月13日 By 河副太智 Leave a Comment

2018年7月17日 総理官邸にて日欧EPAが署名に至りました。
(日本と欧州連合(EU)経済連携協定)

輸出者様にとっては相手国での関税削減を
輸入者様にとっては日本側での関税削減を見込んでおられるかと思います。

しかし関税削減のメリットばかり喜んでもいられません。
協定に定められている原産地証明書を利用した関税削減を
スーパーの割引クーポンと同じ感覚で使用してしまうと
輸出入者様にとって取り返しのつかない大惨事を招く事になるかもしれません。

今回は日欧EPAで得られる関税削減のリスクを解説しますので欧州との取引を
EPAを用いた関税削減と共に計画されている方は是非一度ご覧ください。

日欧EPA協定文全文

協定文の全文は2018年4月に公表された暫定条文であり
実際の発行時には変更される可能性もございますのでご注意ください。

 

日EUEPA協定文

 

 

 

検認(Verification)

日欧EPA協定文ARTICLE 3.21Verificationに検認に関する規定があります。

The customs authority of the importing Party may conduct a
verification either at the time of the customs import declaration,
before the release of products, or after the release of the products.

これは輸入国側の税関がEPA特恵税率を適用した貨物に対し、
輸入通関時、許可後どちらでも「検認」を行う事ができるという意味です。

 

日欧EPA協定文ARTICLE 3.22Verificationにはお互いの国の政府機関が
協力して原産地規則を満たす品目であるかどうかを協力する
との規定があります。

In order to ensure the proper application of this Chapter,
the Parties shall cooperate, through

the customs authority of each Party, in verifying
whether a product is originating and in compliance

with the other requirements provided for in this Chapter.

この規定がある為に、日本側輸出者がEUへ輸出する貨物に対して
EU側の税関が原産性の確認を日本側に求めた場合は
日本の財務省等から輸出者に対し原産地規則を満たす品目かどうかの
再確認が来る形になります。
(※EPAの種類によって問い合わせをして来る機関は異なります。
商工会議所、経済産業省、税関、相手国税関からの直接の質問等)

 

要求される書類や情報

日欧EPA協定文ARTICLE 3.22Verificationに検認時に求められる
資料や情報が規定されています。

(a) the requested documentation, where available;
(b) an opinion on the originating status of the product;
(c) the description of the product subject to examination and
the tariff classification relevant to the application of this Chapter;
(d) a description and explanation of the production process sufficient to
support the originating status of the product
(e) information on the manner in which the examination was conducted; and
(f) supporting documentation, if appropriate.

つまり原産性を確認できるあらゆる資料を要求できるという
事になります。

最低限必要な書類の一例としては契約書、インボイス、
部品や一次製品の価格一覧、部品一覧、製造工程表等があります。

要求される資料を事前に100%把握する事は困難ですが
ガイドラインに従って資料を保存しておけば
相手方に不信感を与える事はほぼ無いと考えられますので是非参考にして下さい。

 

HS事前教示(BTI)

日欧EPA協定文ARTICLE 4.7Advance rulingsにEUに対する
事前教示についての記述があります。

2.An advance ruling shall cover tariff classification of the goods,
origin of goods including theirqualification
as originating goods under Chapter 3 or any other matter

EUに対し、事前にHSコードの分類、原産地規則等を審査してもらい
書面にて回答をもらえる制度です。
検認に怯えながら関税削減を行うのは精神衛生上非常によろしくないので
こういった制度を利用して事前に関税率を確定させておく事を
強くお勧めします。

3. Subject to any confidentiality requirements in its laws and
regulations, a Party may publish itsadvance rulings,
including through the Internet.

法令に従い秘密を保持する事とインターネットでの照会も可能とあります。
日欧EPAにおける事前教示についてはこちらの記事をご覧ください。

 

原産地規則の事前教示(BOI)

EUの税関に対する原産地規則の事前教示はBOIと呼ばれており、
上記のHS事前教示とは異なり、特に共通の申請フォームはありません。

一通りマニュアルをご覧になってからEUの輸出先税関に対し
メールにて各税関のフォーム等を入手する形になります。

EU税関の原産地規則の事前教示問い合わせ先(住所、メールアドレス)

 

原産地規則の事前教示に関するマニュアル

 

 

 

 

特恵関税の適用が否認されたら

EU側税関にて原産地規則を満たさないと判断された場合は
当該貨物について通常の関税が課せられるだけではなく、
制裁的な意味として過少申告加算税、延滞税等のペナルティが発生します。

許可後の貨物であっても後から遡って数年分の未払い関税に対しても
差額関税プラス上記のペナルティが発生する事になりますので
事前に間違いが無い事をよく確認しないと大変な事になりますので
くれぐれもご注意ください。

 

本当に検認が行われるのか?

これまでEPA特恵関税を活用してきた輸出者様にとって
相手国税関からの原産地規則に関する問い合わせ(検認)を受ける機会は
殆どなかったのではないかと思います。
なぜならば日本の財務省は締結してきたEPAの相手先(途上国)に対し
原産地規則等適正な関税徴収に関する知識を「教える側」であった為であり、
相手国側にとって日本は「先生」のような存在で、
「先生である日本の言う事であれば大丈夫だろう」という感じです。

関税同盟の長い歴史を持つEUを相手にする土俵で日本は「先生」ではなく
「新参者」の位置付けになる上、EUは検認が厳しいという事でも知られています。

日本の輸出企業はこれまでのEPAとは違った視点で再度原産地規則の知識を
磨いていく必要があると思います。

Filed Under: FTA/EPA, 日EU・EPA Tagged With: EPA, EU, FTA, 原産地規則, 原産地証明書, 欧州連合, 経済連携協定, 自由貿易協定

米中貿易戦争を時系列で解説

最終更新日2019年7月4日 By 河副太智 Leave a Comment

2018年3月1日
アメリカは鉄鋼製品に25%の追加関税とアルミ製品に10%の追加関税を
全国を対象にして課す事を発表

鉄鋼製品 :(HS6桁ベース)
7206.10 から 7216.50,
7216.99 から 7301.10,
7302.10
7302.40 から 7302.90,
7304.10 から 7306.90,

アルミ製品:(HS4桁ベース)
(a) 塊 7601
(b) 棒及び形材 7604
(c) ワイヤー 7605
(d) 板、シート、ストリップ、はく 7606 , 7607
(e) チューブ、パイプ、接手 7608 , 7609)
(f) その他HTS全桁指定7616.99.5160 と 7616.99.5170

 

 

3月22日
アメリカ合衆国通商代表部は通商法301条に基づき
特定の中国製品に対して25%の追加関税を課すと発表

通商法301条(アメリカの包括通商法の条項の一つ)
不公正と判断された貿易に対して、相手国と協議しても解決できない場合に、
アメリカが制裁措置を発動できること等を定めている。
不公正かどうかの判定は、米通商代表部(USTR)が調査・判断し、
制裁措置の発動は大統領が行う。

 

 

3月23日
アメリカ合衆国商務省は通商法232条に基づき
自動車及び自動車部品に対し輸入制限措置を行うかどうかを
判断する調査を開始すると発表

通商法232条(米通商拡大法232条)
安全保障上の脅威を理由に輸入制限を認めるアメリカの法律。
大統領が追加関税や輸入割当枠の導入など幅広い保護措置の発動が可能。
世界貿易機関(WTO)はこの制度を容認しているが、発動要件が曖昧。

 

 

4月2日
中国政府はアメリカの通商法232条による輸入制限に対する
報復関税を発動232 Retaliation List

 

 

6月15日
アメリカ政府は通商法301条に基づき
中国産品に対して課すアンチダンピング関税の2つのリストを発表
(この時点ではまだ追加関税未発動)

対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(1)
U.S. 301 Final List 1 | $34 Billion | 25% Tariff

対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(2)
U.S. 301 Final List 2 | $16 Billion | 25% Tariff

 

 

同日6月15日
中国政府はアメリカのアンチダンピング関税に対する
報復関税のリストを発表(この時点ではまだ追加関税未発動)
301 Retaliation List One
301 Retaliation List Two

 

 

7月6日
アメリカ政府は通商法301条に基づき
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(1)
U.S. 301 Final List 1 | $34 Billion | 25% Tariff
のアンチダンピング関税を発動

 

 

同日7月6日
中国政府はアメリカのアンチダンピング関税リスト1に対する
301 Retaliation List Oneの報復関税を即日発動

 

 

7月10日
アメリカ政府はアメリカ政府は通商法301条に基づき3つ目の
アンチダンピング関税の対象リストを発表
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)
List 3 – $200 Billion – 10% or 25% Tariff

 

 

8月1日
アメリカ政府は3つ目の制裁リストの上乗せ関税を
10%から25%に変更すると発表
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)

 

8月23日
アメリカ政府は通商法301条に基づき
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(2)
U.S. 301 Final List 2 | $16 Billion | 25% Tariff
のアンチダンピング関税を発動

 

同日8月23日
中国政府はアメリカのアンチダンピング関税リスト2に対する
報復関税を即日発動
301 Retaliation List Two, Version 2

 

9月17
アメリカ政府は対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)を発表し
アンチダンピング関税10%を9月24日から課し、更に2019年1月1日からは
25%に引き上げることを発表
詳細:FEDERAL REGISTER

 

9月24日
アメリカ政府は対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)に対し
のアンチダンピング関税10%を発動

 

同日9月24日
中国政府はアメリカのアンチダンピング関税リスト3に対する
報復関税を即日発動

301 Retaliation List 3.1 – 10% Tariff
301 Retaliation List 3.2 – 10% Tariff
301 Retaliation List 3.3 – 5% Tariff
301 Retaliation List 3.4 – 5% Tariff

 

2019/5/7

アメリカ政府は
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)
List 3 – $200 Billion – に対して課されている10%の追加関税を
25%に変更する予定である事を表明し、更に追加関税の対象ではない
残り$325 billion 分の貨物全てに対し25%の追加関税を検討していると発表
(CNBCより)

 

2019/5/10
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(3)に対し
のアンチダンピング関税10%を25%に変更

 

2019/5/10
アメリカ政府は対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(4)
List 4 – $300 billion 分の貨物全てに対し25%の追加関税を検討していると発表

 

参考Sandler, Travis & Rosenberg
本記事は両者動きがあり次第引き続き更新します。

 

 

Filed Under: NEWS, 特殊関税

対中国アンチダンピング税の原産地規則

最終更新日2018年7月7日 By 河副太智 Leave a Comment

2018年7月6日アメリカは中国に対しアンチダンピングとして
制裁関税措置を発動しました。

これによりアメリカが指定する818品目について25%の関税が
上乗せされ、更に今後284品目についても同様の措置が予定されています。

対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(1)818品目
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(2)284品目

 

上記で指定された中国産の品目は追加の制裁関税を課されてしまうのですが
中国産でない貨物であっても上記のHSに該当する品目に関しては
製造工程、原料等を確認し、中国が絡んでいないかの確認がされる事が
予想されます。

当然この中には一次製品に中国産の物を使用して他国にて製造されている
品目もあるかと思います。

このような場合は中国原産材料を使用して他国にて製造された品目に対し、
MFN税率(通常のWTO税率)を適用するには原産地規則の確認が必要です
そうでないと一次製品に中国産を使用しているという事で純中国産と
みなされてしまう危険性があります。

当サイトで紹介している原産地規則は特恵関税の適用の為にありますが
今回のようなアンチダンピング税の場合は非特恵原産地規則を使用して、
複数の国が係る貨物の原産地を特定します。

 

 

アメリカ非特恵原産地規則の品目別分類規則はこちら

対中国アンチダンピング税の原産地規則

左側のHS(HTS)コードが完成品のHSコードで
中国等第三国の原料を使用した場合どのような製造工程を経れば
原産地規則を満たすかが右側に記載されております。

アメリカ税関で貨物を輸入する際に
中国産の一次原料を使用しているが、完成品は別の国の原産だと
証明するにはあらかじめアメリカ向けに輸出する貨物の
製造工程、原料を確認しておく必要があります。

 

上記の品目別分類規則リストは
“CODE OF FEDERAL REGULATIONS Title19 Customs Duties”
の一部となっておりますので全文を読みたい方は上記リンクを
ご覧ください。※非特恵原産地規則に関しては592pから633p。

 

※参考Jetro”原産地規則と原産地証明書:米国”

Filed Under: FTA/EPA, NEWS, 特殊関税

WTOを無視する法案がリーク

最終更新日2018年7月5日 By 河副太智 Leave a Comment

今度はWTOから離脱?

CNNによるとトランプ政権はWTOによる相互貿易の規定を無視、
あるいはトランプ政権が強い裁量を持ち、関税率を上げるよう
検討している法案”United States Fair and Reciprocal Tariff Act,”が
リークされたと報道しました。

CNNの取材に対しホワイトハウスのLindsay Waltersは
「正式な法案ではない」と回答しているようですが
WTOの規定上アメリカが不利な立場になるのであれば
「何らか行動を起こす」を発言しているようでWTO離脱も
検討しているのではないかという意見もあります。

TPP離脱、NAFTA再交渉、アンチダンピング関税連発に続き、
貿易の根底ともいえるWTO協定からも離脱が現実となれば
貿易戦争がより現実的なものになるでしょう。

 

Filed Under: NEWS

関税率の事前教示で機密情報が公開?

最終更新日2018年6月28日 By 河副太智 Leave a Comment

輸入申告前に関税率を確定させる為の手段に事前教示という制度があります。
予めHS分類を行い、関税率を確実に把握する便利な制度ですが
税関からの回答は税関HPにて原則公開されす。

照会者名、製品名は公開されませんが成分、製造工程など
公開したくない内容もHS分類の根拠になるのであれば基本的に公開され、
誰でもその照会内容と回答を閲覧する事ができてしまいます。

競争相手に情報を提供してしまう恐れや特許出願手続きにおいて
壊滅的なデメリットに結び付きそうですが、こういったケースの為に
機密事項については取り扱いの規定が存在します。

 

※以下税関HP「事前教示制度よくある質問と回答」より引用

文書回答の内容は、行政サービスの一環として一般の納税者の予測可能性を確保する観点から、回答後原則として、税関ホームページにおいて公開することとしています。公開にあたっては、照会者名や取引関係者名等は原則匿名にして公開します。
ただし、文書回答の内容が公開されることにより不利益を受けるおそれがある場合等、照会者が正当な理由を有する場合で、照会者から非公開期間(180日を超えない期間)の設定の要請があったものについては、当該要請に係る期間後に公開します。
また、非公開期間が経過した後は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられる部分や守秘義務に抵触すると考えられる部分については、当該部分を伏せて公開することとなります。

 

どのようにして事前教示照会内容の秘密を保護してくれるのかは
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)にて定める
「不開示情報」という定義に当てはまるものを伏せるという形になります。

 

不開示情報の定義を知るために情報公開法の条文を確認すると
以下の項目が特に該当する部分と考えられます。

 

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政文書の開示義務)
第五条二
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、
競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの
であって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているもの
その他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして
合理的であると認められるもの

 

 

情報公開法というのは国が持つ情報を国民が開示請求する為の法律です。
もちろん何でも公開するというわけではなく、公開できない情報(不開示情報)
もありますので両者をどのように扱うかを定めております。

事前教示によって税関職員が得た企業の秘密は上記の情報公開法における
不開示情報として扱われる余地があるという事になります。

 

 

また、関税基本通達にはより具体的に不開示情報の取り扱い方法が
記載されておりますので、こちらもご参考までに。

 

(関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係る事前照会に対する
文書回答の手続等)
7-18  (6) 公開
関税率表適用上の所属区分等の適用及び原産地認定の透明性の向上を図
っていく観点から、照会貨物の内容及び回答の内容は、回答後原則として公
開とし、税関ホームページ等を利用して輸入者等一般の閲覧に供するものと
する。ただし、次の要件に該当する場合で、照会者から一定期間内(180 日
を超えない期間内)につき公開しないことを求める申出があったものについ
ては、当該申出に係る期間後に公開することとする。ただし、行政機関の保
有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられ
る部分や守秘義務に抵触すると考えられる部分については、当該部分を伏せ
て公開することに留意する。
イ 照会対象となった貨物が新規の輸入品であり、市場に流通する前に他
者に知られることにより照会者又はその関係者が不利益を受けるおそれ
がある場合
ロ 照会対象となった貨物の照会内容のうち成分割合に特徴があり、公開
によって競合する者に知られ照会者又はその関係者が不利益を受けるお
それがある場合
ハ 照会対象となった貨物の照会内容のうち製造方法に特徴があり、公開
によって競合する者に知られ照会者又はその関係者が不利益を受けるお
それがある場合
ニ 照会対象となった貨物がまだ計画段階であり、実際に貨物が輸入され
る前に他者に知られることにより照会者又はその関係者が不利益を受け
るおそれがある場合
ホ 照会対象となった貨物に係る情報が、照会に際して秘匿を条件として
照会者又はその関係者から提出された場合
ヘ その他非公開とすることにつき、正当な理由があると認められる場合

 

事前教示を申し込む際には何が公開可能で何が公開不可能なのかを
関税監査官等に詳しく説明する必要があります。
そうでないとHSの分類の根拠となればそのまま公開されてしまう危険があります。

税関側としてもHS分類の根拠を明確にする為に一定の情報は必要ですので
そこはお互い話し合って協力しあう事が必要となります。

 

事前教示

 

 

Filed Under: HSコード

事前教示のデメリット

最終更新日2018年7月12日 By 河副太智 Leave a Comment

輸入予定の貨物の関税率を事前に正確に確定する方法に
事前教示という制度があります。

書面にて税関からの回答が発行されますので、輸入前に関税額の確定や
正しい申告を行う上で非常にメリットのある制度です。

■税関HP:事前教示案内ページ

HS分類の事前教示
原産地規則の事前教示
関税評価の事前教示
減免税に係る事前教示

 

しかし、いいことだけではなくデメリットもいくつか存在しますので
事前教示活用前に以下のような事情を把握して頂ければと思います。

デメリット1:面倒くさい
書面にて事前に関税率等を確定するという事は、
実際の通関審査時に絶対に事前の約束を守らなくてはいけないという
税関側のプレッシャーがありますので、絶対に正しい判断をする為に
求められる資料や質問は通常の申告時の審査より多くなります。

下手すると答えの出ない無限ループに陥る危険性もあり、
大切な時間を大幅に失う事にもなりかねません。

こればっかりは実際に関税監査官等に相談してみないと
どれくらいの資料を要求されるかがわかりませんので
事前教示が必要だと思ったら早めの質問をお勧めします。

 

デメリット2:事情が変わると無効になるかも
HSコードを事前に確定させても何らかの事情で
成分や製造工程が変わってしまうと、事前教示の相談時とは
異なるHS分類になってしまう事もあり得ます。

そのような場合にはせっかく苦労して取得した事前教示の
意味がなくなってしまいますので、
くれぐれも製造工程検討の段階で事前教示申請は避けるべきでしょう。

デメリット3:情報が公開されてしまう
上記で紹介した4つの事前教示の回答は税関HPにて原則公開されす。
照会者名、製品名は公開されませんが成分、製造工程など
公開したくない内容も公開されてしまう事も考えられます。

 

競争相手に情報を提供してしまう恐れや特許出願手続きにおいて
壊滅的なデメリットに結び付きそうですが、秘密事項については
取り扱いの規定が存在します。

※以下税関HP「事前教示制度よくある質問と回答」より引用

文書回答の内容は、行政サービスの一環として一般の納税者の予測可能性を確保する観点から、回答後原則として、税関ホームページにおいて公開することとしています。公開にあたっては、照会者名や取引関係者名等は原則匿名にして公開します。
ただし、文書回答の内容が公開されることにより不利益を受けるおそれがある場合等、照会者が正当な理由を有する場合で、照会者から非公開期間(180日を超えない期間)の設定の要請があったものについては、当該要請に係る期間後に公開します。
また、非公開期間が経過した後は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられる部分や守秘義務に抵触すると考えられる部分については、当該部分を伏せて公開することとなります。

 

どのようにして事前教示照会者の秘密を保護してくれるのかは
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」にカギがありますので
関税率の事前教示で機密情報が公開?にてご案内させていただきます。

 

デメリット4:輸出先のEPA適用に関してはアドバイスに留まる

 

Filed Under: HSコード

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