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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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河副太智

部品メーカーが直面する原産地証明への対応

最終更新日2020年7月16日 By 河副太智 Leave a Comment

EPAを適用して関税削減の恩恵を得る場合には輸入国税関に提出する原産地証明
の発行が必要となり、場合によっては当該証明内容の信憑性を担保する為、
原産地証明作成者が当該品目の製造に使用する部品に対する更なる原産地証明
を別の製造元であるメーカーに要求する必要がある為、部品数の多い製品に対
する原産地証明は非常に複雑な手続きを踏む必要があります。

実際に部品点数の多い製品を製造しているメーカーはこの問題に対してどのよう
に対処しているのかがわかる事例が公正取引委員会の相談事例にありましたので
紹介させて頂きます。

事例:輸送用機器メーカーの団体による原産地証明のためのオンライン
共通調査システムの構築

令和元年度相談事例集事例10概要図

出典:公正取引委員会

本事例の表題は「輸送用機器メーカーの団体による原産地証明のための
オンライン共通調査システムの構築」となっております。

輸送用機器メーカーとありますが、本文を読むところおそらく自動車メーカー
ではないかと考えます。

内容をざっと読むと自動車メーカーの親元が輸出先でのEPA特恵関税率の適用
を受けるために、原産地証明を一次請けメーカーに要求し、さらに一次請けから
二次請け、三次請けへと証明を要求するという複雑な手続きを踏まなくては
ならない現状が見えてきます。

このような状況では調査項目、書式等が依頼者によってバラバラになっており、
原産地証明手続きの標準化がされない為、当該手続きに要する労力や時間のロス
が深刻な問題になっているようです。

この問題を解決する為の方法として各メーカーが加入するX団体が構築する
共通調査システムを各メーカーが利用する事により情報の共有がスムーズになり、
原産地証明手続きの煩わしさを緩和する手法が導入されるようです。

部品点数の多い品目の関税削減は非常に困難である為、現場ではどのように
対処しているのか知りたい所でしたので本事例は非常に参考になりました。
メーカーの組合などの団体が主導して手続きの統一化や情報の共有ができれば
複雑なEPAの手続きもシンプルにできるのかもしれません。

ps.
本記事をご覧になっているメーカー様などでEPA手続きの簡略化に成功された
ご経験のある方からの体験談を頂けると大変勉強になります。
企業秘密に関わる部分は省略して頂いて結構です。また、内容を無断でネットに
公開する事も決してございません。
アドバイス頂ける場合は是非問い合わせフォームからご連絡頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

Filed Under: FTA/EPA

ボルトとねじのHSコード分類法

最終更新日2020年7月4日 By 河副太智 Leave a Comment

ボルトとねじは似て非なるものでありますが、両者を明確に分ける定義は
曖昧な部分があります。その為、ボルトとねじのHSコードが異なり、かつ
関税率がそれぞれ異なる国の場合、両者の区別が明確にできていないと
税関との意見相違が発生し、思わぬトラブルに陥る事が考えられます。

例えば米国のHTSタリフ(以下HSコードと呼ぶ)の場合、ボルトとねじの
HSコードが異なり、かつ、関税率も大きく異なります。

その為、トラブルが頻出しているのか、米国税関(CBP)が発行する
Vehicles, Parts and Accessories Under the HTSUSの15pにてボルトとねじの
HSコード関する以下のような記述があります。

ねじによる締め金具にナットが付属しているというだけで
「ボルト」のHSコードが適切だと判断する者が多いが
ねじ締め金具にナットが付属していても「ねじ」のHSコー
ドに分類されるケースもある。
~略~
「ボルト」と「ねじ」の定義には様々な規則を用いることになる。

つまり見た目はボルトでも安易に申告すると状況によってはもっと関税率
の高いねじに分類変更されるかもしれませんよという注意喚起です。
※日本ではボルトとねじの関税率は同じ。

ボルトとねじのHS分類定義

HSコードを分類する際に参照する関税率表解説(HS:7318項)では以下のように
ボルトとねじの違いを定義しています。

ボルトは、ナットと組み合わされるように作られており、通常ねじの
切ってない軸の部分を有する。

これに対して金属用のねじは、締め付ける材料にねじ立てされた穴に
ねじ込まれるものであり、そのために、その長さの全体に通常、ねじ
が付け
られている。

この解説を参考にするとボルトとねじは以下のようにざっくりと分類ができます。
※本記事ではHTSをHSコードと記載

ボルト:

出典:CBP(米国税関)
登録番号:N090529
日付:2010-01-15
HSコード:7318.15.2065


関税率表解説による定義:ボルトは、ナットと組み合わされるように作られており、
通常ねじの切ってない軸の部分を有する。

ねじ:

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY H86189
日付:2005-01-20
HSコード:7318.15.8080

関税率表解説による定義:金属用のねじは、締め付ける材料にねじ立てされた穴にねじ込まれるものであり、そのために、その長さの全体に通常、ねじが付けられている。

上記実例を見ると関税率表解説のボルト、ねじに対する定義と実物はほぼ一致する
と考えてよいと考えますが、貿易実務では様々なタイプのボルト、ねじを扱う為、
必ずしも関税率表解説の定義によって分類されるという訳ではなく、実物の形状や
用途によって様々な分類方法が採用されます。
Vehicles, Parts and Accessories Under the HTSUSの15pにおいても関税率表解説の定義は
一部の特徴を定義しただけであり、実際は様々な規則を参考にし、状況に応じて両者
を区別するとあります。


出典:Vehicles, Parts and Accessories Under the HTSUS(CBP)

つまり、特殊な形状のボルトとねじのHSコードの分類に関しては意見相違の
リスクが高いという事がうかがえます。

そこで米国税関による事前教示回答事例を参考にどのような形状の締め金具が
ボルト、ねじに分類されるのかを確認してみます。

 

ボルトとねじのHSコード事前教示回答事例

以下に米国税関(CBP)によるHTSコード事前教示回答事例を紹介します。

 

ボルト HS:7318.15.20

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY H86191
日付:2001-12-19
HSコード:7318.15.2090

 

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY F88287
日付:2000-06-14
HSコード:7318.15.2090

 

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY D86443
日付:1999-01-14
HSコード:7318.15.2090

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY G83591
日付:2000-11-01
HSコード:7318.15.20

 

機械用ネジHS:7318.15.40

出典:CBP(米国税関)
登録番号:N126430
日付:2010-10-14
HSコード:7318.15.4000

スタッドHS:7318.15.50

出典:CBP(米国税関)
登録番号:N034007
日付:2008-07-31
HSコード:7318.15.5060

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY H86190
日付:2001-12-19
HSコード:7318.15.5060

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY H86194
日付:2001-12-19
HSコード:7318.15.5060

 

ネジHS:7318.15.60

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY H88741
日付:2002-02-26
HSコード:7318.15.60

 

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY D88323
日付:1999-02-23
HSコード:7318.15.6060

 

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY G87524
日付:2001-03-12
HSコード:7318.15.6060

その他ネジ等HS:7318.15.80

出典:CBP(米国税関)
登録番号:NY G83167
日付:2000-10-16
HSコード:7318.15.8045

判断が困難な事例

見た目はボルトであってもその他ねじ等に分類

出典:CBP(米国税関)
登録番号:N034003
日付:2008-07-31
HSコード:7318.15.8065

本事例の品目は照会者がボルトとして事前教示申請を行ったものであり、
見た目からもボルトのHS:7318.15.20に該当するようにも見えますが、その他の
ねじ等のHS:7318.15.80に分類されました。

なぜボルトのHSである7318.15.20から除外されたのか詳しい理由の記載はありま
せんが、当該品目の用途はブッシングをフロントサスペンションアームに結合さ
せるという目的で使用されるという事など様々な要素を考慮し、ボルトの定義に
沿わないと判断され、その他のねじ等のHSである7318.15.80に分類されたのでは
ないかと考えます。

見た目はボルトであっても自動車部品に分類

出典:CBP(米国税関)
登録番号 N057558
処理年月日 2009-5-5
品名:bolt-shaped piece of zinc
HSコード:8708.80

本事例の品目は見た目は汎用性のあるボルトに見える為、HSコード7318.15に
分類されてもよさそうですが米国税関では自動車用部品に分類されています。

理由としてはサスペンション(懸架装置)のトーコントロールシステムに使用さ
れる事が明らかであることから通則1を適用し、項の規定に従ってHSコード8708.80
に分類される事になりました。

先ほどの登録番号:N034003の事例もサスペンションに使用される金具では
ありますが、本品目はサスペンション機能への関わりが大きいと判断されたためか
自動車部品の懸架装置部品に分類されています。

米国税関とチェコ税関での意見相違

自動車用ヘッドライトの位置を調整するボルト(ネジ)のHSコード分類において
米国税関とチェコ税関の間で意見相違のある事例を紹介します。

チェコ税関の事例

登録番号 CZ40-0816-2017
税関 オロモウツ
処理年月日 2017-07-21
品名: THREADED SCREWS
HSコード:3926.90(分類当時のHSバージョン)

出典:European Commission

本事例の品目は自動車ヘッドライトのLEDの高さを調節するボルト(ネジ)であり
材質はプラスチック製という事でHSコードはプラスチック製品のその他3926.90に
分類される事になりました。

本事例の別の分類候補として電気式の照明機器の部分品としてHSコード8512.90も
検討されましたが、照明そのものの機能ではないとして材質分類での判断となりました。※本事例では16部注1(g)を適用してプラスチック製の汎用品と判断している為、
本品目の材質が鉄鋼製であれば7318.15に分類されるものと考えます。

米国税関の事例

上記のチェコ税関の事例とは異なり、米国税関では自動車用ヘッドライト調整用
ボルト(ネジ)を自動車用部品として分類しています。

登録番号 HQ 086396
税関 ワシントンDC
処理年月日 1990-4-27
品名: Headlamp adjusting screw
HSコード:8708.99(分類当時のHSバージョン)

照会品目の画像はありませんが解説を読むと本品の特徴として、ネジに
ナイロン製のハウジングが取り付けられ、これらは恒久的に結合しているようです。
用途は自動車用ヘッドライトのビームを調整するためのものであり、先ほどのチェコ
税関の事例の品目と材質は異なるものの用途は同種と考えてよいと考えます。

本事例では汎用性と材質を考慮しHSコード7318も候補の一つではありましたが
最終的に自動車用部品のHSコード8708.99に分類されました。

その理由としては7318項解説(A)にある「物品の組立て又は締め付けに使用」する
ものではないという事を根拠として7318項から除外しています。

更に7318項解説(A)(c)では7318項の除外規定が設定されており、そこには
ねじ機構(伝動用その他機械の運動部分として使用されるもの。)と規定されて
いるため自動車用部品として分類する事が適切であると判断する事になり、
汎用性のある品目として分類したチェコ税関の考え方が異なります。

EPAを適用して関税削減を行う場合の注意点

EPAを適用してサプライチェーン上の関税削減を行う場合、ボルトやねじの
HSコードを検討する場面は少なくないと考えますので非原産材料として
これらを使用する場合は特定の機器の部分品と判断されないかどうかを事前
によく検討しないと原産地規則を満たさないと税関より指摘される可能性が
あります。

上記で紹介した事例のように明らかに見た目はボルトであっても特定の機器
の部分品等に分類される事例は多くありますのでボルト、ねじの通関は事前
に注意が必要です。

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

ボルトのHSコード分類法

最終更新日2020年7月4日 By 河副太智 Leave a Comment

EPAを活用した関税削減を検討する際に部分品のHSコードの分類先は非常に
重要な意味を持つ事があります。

最終製品の部分品であってもHSコードの分類上「何かの部分品」として
分類されるのかあるいは「材質」「個別用途」などによって分類されるのかが
非常に曖昧である事が多いのが部分品の特徴です。

本記事では世界各国の税関による事前教示回答事例からネジのHSコード
分類事例をいくつか紹介させて頂きます。

ドイツ税関によるHSコード判断事例

登録番号 DE11518 / 16-1
税関 ハノーバー
処理年月日 2017-7-20
品名:THREADED SCREWS
HSコード:7318.15(分類当時のHSバージョン)

上記品目は第15部注2に規定される「卑金属製のはん用性の部分品」に該当するものであることからHSコード7318.15に分類されました。(全長:約41.6 mm、ねじ径:約9.1 mm)
基本的にボルト(ネジ)は7318項に分類される事が一般的です。

出典:European Commission

米国税関によるHSコード判断事例

登録番号 N057558
税関 ニューヨーク
処理年月日 2009-5-5
品名:bolt-shaped piece of zinc
HSコード:8708.80(分類当時のHSバージョン)

出典:CBP

本事例の品目は見た目は汎用性のあるボルトに見える為、先ほどのドイツ税関の
事例のようにHSコード7318.15に分類されてもよさそうですが米国税関では自動車
用部品に分類されています。

理由としてはサスペンション(懸架装置)のトーコントロールシステムに使用さ
れる事が明らかであることから通則1を適用し、項の規定に従ってHSコード8708.80
に分類される事になりました。

米国税関とチェコ税関での意見相違

自動車用ヘッドライトの位置を調整するボルト(ネジ)のHSコード分類において
米国税関とチェコ税関の間で意見相違のある事例を紹介します。

チェコ税関の事例

登録番号 CZ40-0816-2017
税関 オロモウツ
処理年月日 2017-07-21
品名: THREADED SCREWS
HSコード:3926.90(分類当時のHSバージョン)

出典:European Commission

本事例の品目は自動車ヘッドライトのLEDの高さを調節するボルト(ネジ)であり
材質はプラスチック製という事でHSコードはプラスチック製品のその他3926.90に
分類される事になりました。

本事例の別の分類候補として電気式の照明機器の部分品としてHSコード8512.90も
検討されましたが、照明そのものの機能ではないとして材質分類での判断となりました。※本事例では16部注1(g)を適用してプラスチック製の汎用品と判断している為、
本品目の材質が鉄鋼製であれば7318.15に分類されるものと考えます。

米国税関の事例

上記のチェコ税関の事例とは異なり、米国税関では自動車用ヘッドライト調整用
ボルト(ネジ)を自動車用部品として分類しています。

登録番号 HQ 086396
税関 ワシントンDC
処理年月日 1990-4-27
品名: Headlamp adjusting screw
HSコード:8708.99(分類当時のHSバージョン)

照会品目の画像はありませんが解説を読むと本品の特徴として、ネジに
ナイロン製のハウジングが取り付けられ、これらは恒久的に結合しているようです。
用途は自動車用ヘッドライトのビームを調整するためのものであり、先ほどのチェコ
税関の事例の品目と材質は異なるものの用途は同種と考えてよいと考えます。

本事例では汎用性と材質を考慮しHSコード7318も候補の一つではありましたが
最終的に自動車用部品のHSコード8708.99に分類されました。

その理由としては7318項解説(A)にある「物品の組立て又は締め付けに使用」する
ものではないという事を根拠として7318項から除外しています。

更に7318項解説(A)(c)では7318項の除外規定が設定されており、そこには
ねじ機構(伝動用その他機械の運動部分として使用されるもの。)と規定されて
いるため自動車用部品として分類する事が適切であると判断する事になり、
汎用性のある品目として分類したチェコ税関の考え方が異なります。

まとめ

HSコードの分類システムそのものは世界共通ではありますが、各国によって判断
基準が異なる事は多々あります。
個人的にEUや日本は材質分類を積極的に行う反面、米国税関は何かの部分品に分
類する事例が多いように感じます。

特に部分品に対する国家間における意見相違は顕著に発生するため、サプライチ
ェーンに与える影響は甚大です。

単純に部分品を日本に輸入する場合であれば「何かの部分品」として分類
されれば関税ゼロで輸入する事ができる場合が多いのですが、EPAを適用して
関税削減の恩恵を目的とした場合、部分品以外のHSコードに分類される方が
原産地規則を満たしやすくなるため、分類判断は情況によって有利になったり
不利になったりします。

その為各国の事前教示分類事例から分類動向を調査を行う事は製品の製造工程の
検討段階で行う事が重要と考えます。

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

生産者も日EU・EPA原産品申告書を作成できるのか

最終更新日2020年6月15日 By 河副太智 Leave a Comment

日EU・EPAを適用し、関税削減の恩恵を得る場合に必要となる原産品申告書を
輸出する国側が作成する場合、輸出申告を行う輸出者以外の者がこれを作成
できるのかどうかについて問題になる事があります。

本記事では輸出国側が作成する原産品申告書である附属書 3-D を作成できる者
について解説します。

原産品申告書を作成できる輸出者の定義

日EU・EPA 第3.17条1項 「原産地に関する申告」を確認すると原産品申告書を
作成できる者の定義は以下の通りです。

日EU・EPA 第3.17条1項
原産地に関する申告については、産品が原産品であることを示す情報
に基づいて当該産品の輸出者が作成することができる。

この条文を見ると「輸出者」が原産品申告書を作成できるとある為、
「生産者」等はここに含まれるのかどうかが曖昧です。

そこで税関が発行する⽇ EU・EPA ⾃⼰申告及び確認の⼿引き の1P(PDF3P)を
確認すると以下のような解説があります。

輸出者⾃⼰申告1
輸⼊者が⽇ EU・EPA 第 3・16 条 2(a)(輸出者⾃⼰申告)により特恵待遇を要求する場合、輸出者⾃⼰申告は、輸出者(同 EPA 上「輸出者」とは「⽣産者」を含む(以下同じ。))が同 EPA 第 3 章(原産地規則及び原産地⼿続)附属書 3-D に規定された原産地に関する申告⽂のうちいずれかの⾔語をインボイスその他の商業上の⽂書上に記載することとなっています。

「輸出者」は、⽇ EU・EPA に定める義務を履⾏できる者である限り、産品の輸出に関与し、原産地に関する申告を作成するいかなる者(例えば、⽣産者や商社など)がなり得ます。また当該産品の輸出申告を⾏う者である必要はありません。

⽇ EU・EPA では原産地に関する申告は「輸出者」により作成されることを義務づけていますが、当該申告の作成に使⽤される商業上の⽂書を発⾏する者に関する明確な要件は⼀切規定されていません。

たとえ原産地に関する申告が、他者が作成した⽂書上に作成されたとしても、
産品に関する詳細な説明を提供する義務は「輸出者」が負うことになります。

したがって、⽣産者と商社(輸出事業者)の双⽅が輸出締約国内に所在していれば、⽇ EU・EPA では以下のシナリオが適⽤されることが妨げられることはありません。

出典:⽇ EU・EPA ⾃⼰申告及び確認の⼿引き 
参照:EU-Japan EPA Guidance Statement on Origin

上記の解説から原産品申告書を作成できる輸出者とは「生産者(メーカー)」「商社」
等も双方が輸出締約国に所在していれば輸出者に該当する事になる為、原産品申告書
を作成する者は必ずしも輸出申告を行う者である必要はありません。

原産品申告を通関書類上に記載する場合

原産品申告書である附属書 3-D を通関書類の一部として提出する以外にも
インボイス等の通関書類上に「原産地に関する申告文」を記載する事により
日EU・EPA原産品である事を証明し、関税削減の恩恵を受ける事も可能です。

インボイスに「原産地に関する申告文」記載した例

出典:「自己申告制度」利用の手引き~日 EU・EPA~より

「原産地に関する申告文」をインボイスの別添とする例

出典:日EU・EPA自己申告制度について

納品書に「原産地に関する申告文」記載した例


※通常は当該国の言語により作成

出典:日EU・EPAの現状について(財務省・関税局)

原産地申告文を他者作成文書に記載する場合

原産品申告書である附属書 3-Dを使用せずに直接通関書類上に「原産地に関する
申告文」を記載する場合はどのような書式での記載が適切なのかが問題になります。

例えば輸出申告を行う商社が作成するインボイスに申告文を記載するケースや
生産者が作成する納品書に申告文を記載するケースなどが考えられます。

この場合、通関書類の作成者と原産地申告文を記入する者が同じ場合や
異なる場合がある為、通関書類に原産地申告文を記載する様々なケースと
これらの記載要領を紹介します。

1.生産者作成文書に生産者自身が申告文を記載

以下の事例は輸出申告をしない「生産者」が作成した書類に「生産者」自身が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

2.輸出申告をする商社作成文書に商社自身が申告文を記載

以下の事例は輸出を行う「商社」が作成した書類に「商社」自身が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合、商社は生産者と密な連携を取り、日EU・EPA上の原産品であるという
ことを確認して商社自身の責任において「原産地に関する申告文」を作成。

3.輸出申告をする商社作成文書に生産者が申告文を記載

以下の事例は輸出を行う「商社」が作成した書類に「生産者」が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合は書類作成者と原産地に関する申告文を記載する者が異なる為、
「原産地に関する申告文」の後に以下の文面を追記する必要があります。

※追記文例
The exporter who made out a statement on origin is a producer
of the product. The exporter did not issue the commercial
document with the statement on origin.

上記追記文の内容は本事例の場合、仕入書上に「原産地に関する申告文」を
記載した者は当該品目の生産者であるが、生産者は仕入書そのものの作成者では
ありません
という意味になります。

4.生産者作成文書に商社が申告文を記載

以下の事例は「生産者」が作成した書類に輸出を行う「商社」が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合は書類作成者と原産地に関する申告文を記載する者が異なる為、
「原産地に関する申告文」の後に以下の文面を追記する必要があります。

※追記文例
The exporter who made out a statement on origin is a trading company of
the product. The exporter did not issue the commercial document with the
statement on origin.

上記追記文の内容は本事例の場合、納品書上に「原産地に関する申告文」を
記載した者は当該品目の商社であるが、商社は仕入書そのものの作成者ではありません
という意味になります。

出典:日EU・EPAの現状について(財務省・関税局)

Filed Under: FTA/EPA, 日EU・EPA

原産品申告書の法人番号は英語で公表する

最終更新日2020年6月15日 By 河副太智 Leave a Comment

日EU・EPAを活用して関税削減の恩恵を受ける場合、日本側輸出者が
作成する原産品申告書上の輸出者参照番号欄に法人番号を記載する事で
EU側税関における輸出者確認が可能ですが、もしこの情報が
国税庁法人番号公表サイトの日本語版においてのみの公表となっており、
同サイト英語版では公表されていない場合、EU側税関が法人番号を確認でき
ない可能性があります。参照:EU-Japan EPA Guidance Statement on Origin (5p)

輸出者が取得した法人番号は、国税庁法人番号公表サイト(日本語版)から
(1)法人番号
(2)商号又は名称
(3)本店又は主たる事務所の所在地
が公表されますが、英語版Webサイトへの情報は、別に登録手続を行わなければ
公表されません。

もし輸出者が取得した法人番号からの企業情報の公開が日本語版のみで行われ、
英語版では公開されていない場合にはEU側の税関での通関手続きが停止してしまう
おそれがあるため、英語版Webサイトから輸出者の情報が公開されていない場合は
以下のページを参考にして登録手続きをお勧めします。出典:税関HP

国税庁法人番号公表サイト(英語表記の登録について)

 

国税庁 法人番号英語表記登録リーフレット

 

Filed Under: FTA/EPA, 日EU・EPA

自動車部品HSコードリスト100選

最終更新日2023年1月13日 By 河副太智 Leave a Comment

自動車部品のHSコードは8708項に列挙されておりますが、自動車部品で
あれば何でも8708項に分類されるという訳ではなく、材質、用途、特徴等
の様々な要素によって分類先は多岐に渡ります。

本記事では自動車部品のHSコード分類において抑えておくべきポイントを
事例を交えて紹介し、日々の業務で自動車部品のHSコード分類を行う方が
スムーズに分類作業を行うためのノウハウを紹介させていただきます。

自動車部品HSコードリスト

以下に自動車部品のHSコードを紹介します。
※本事例はあくまでも参考情報であるため、品名や画像とHSコードが
一致する事を保証するものではありませんのでご注意下さい。
※本事例で紹介するHSコード分類は実際の品目の材質、用途等の要素に
よって変動する場合があるのでご注意ください。

品名hs code画像
エアコン8415.20
オルタネーター8511.50
アンテナ8529.10
クーラント3820.00
バッテリー8507.10
ベアリング8482.40
ベアリングハウジング8483.20
滑り軸受け8483.30
ゴムベルト4010.35
車体8707.10
ボルト7318.29
ブレーキ材6813.81
ブッシング7326.90
8483.90
電気ケーブル8544.30
ケーブル7312.10
コンデンサー8532.22
カムシャフト8483.10
床材5703.20
カーマット5702.42
チェーン7315.11
歯車8483.40
シャーシ(原動機付き)8706.00
シガーライター9613.80
ヒューズ8536.10
鉄鋼製の管7326.20
ブレーキ材6813.89
コンプレッサー8414.80
パネル、コンソール8537.10
ステッカー4911.99
4908.90
曇り止め8512.40
始動発電機8511.40
ディーゼルエンジン8408.20
ガソリンエンジン8407.34
エンジン部品ガソリン8409.91

ディーゼル
8409.99

ファン8414.59
フィルター8421.23
卑金属製取付具8302.30
プラスチック製取付具3926.30
鉄鋼製継手7307.23
卑金属製管8307.10
ゴム製フロアマット4016.91
プーリー8483.50
インジェクター,燃料噴射装置8409.99
8481.80
ピストンエンジン用ポンプ8413.30
ヒューズ8536.10
ギア8483.40
ゲージ9026.20
ジェネレーター8511.40
車体用の取付具3926.30
ゴム製の部分品、付属品4016.99
ワイヤーハーネス8544.30
ヒーター8415.20
8516.29
ホーン8512.30
ゴム製ホース4009.12
シリンダー8412.21
集積回路8542.31
電球8539.32
8539.10

レンズ7014.00
9001.90
照明用機器8512.20
自動車用のカギ8301.20
磁石8505.20
カタログ、冊子4901.10
ミラー7009.10
モーター(電気式)8501.31
モーター(液体、気体式等)8412.39
ネームプレート8310.00
ナット7318.16
コッター7318.24
プリント基板、印刷回路8534.00
電気制御盤8537.10
真空ポンプ8414.10
液体ポンプ8413.30
ラジオ8527.91
リレー(継電器)8536.49
抵抗8533.21
リベット(鉄鋼)7318.23
リベット(卑金属)8308.20
ねじ7318.15
シール(プラスチック製)3926.90
シール(ゴム製)4016.93
シート9401.20
電動軸(クランクシャフト)8483.10
点火プラグ8511.10
スピードメーター9029.20
スプリング(鉄鋼)7320.20
スプリング(銅)7419.99
ボルト7318.15
スイッチ8536.50
dvdプレーヤー8521.90

サーモスタット9032.10
タイヤ4011.10
ツールキット8206.00
アダプター8504.40
ターボチャージャー(排気タービン式過給機)8414.59
自在継手8483.60
バルブ8481.30
ワッシャー7318.22
フロントガラス7007.11
ワイパー8512.40
レンチ8204.11

出典:European Union Website  , U.S. Customs and Border Protection

8708項の自動車部品除外規定

自動車部品であるにも関わらず8708項から除外される自動車部品の
定義はHS解説17部注2に規定されています。

2 「部分品」及び「部分品及び附属品」には、次の物品(この部の
物品に使用するものであるかないかを問わない。)を含まない。

(a)ジョイント、ワッシャーその他これらに類する物品
(構成する材料により該当する項又は第 84.84 項に属する。)及び
その他の加硫ゴム(硬質ゴムを除く。)製品(第 40.16 項参照)

(b)第 15 部の注2の卑金属製のはん用性の部分品(第 15 部参照)
及びプラスチック製のこれに類する物品(第 39 類参照)

(c)第 82 類の物品(工具)

(d)第 83.06 項の物品

(e)第 84.01 項から第 84.79 項までの機器及びその部分品(この部
の物品のラジエーターを除く。)、第 84.81 項又は第 84.82 項の物品
並びに第 84.83 項の物品(原動機の不可分の一部を構成するものに限
る。)

(f)電気機器(第 85 類参照)

(g)第 90 類の物品

(h)第 91 類の物品

(ij)武器(第 93 類参照)

(k)第 94.05 項のランプその他の照明器具

(l)車両の部分品として使用する種類のブラシ(第 96.03 項参照)

自動車の部分品と付属品の定義

上記の自動車部品除外規定を見るとかなり広大な範囲が8708項から
除外される事がわかります(特に(e)(f)が多く該当する)

ではどのような自動車部品が8708項に分類されるのか、8708項に
分類される自動車部品の条件を確認します。

(a)87.01 項から 87.05 項までの車両に専ら又は主として使用
するものであること。

(b)HS解説17部注2の規定によって除外されているものでないこと。

(c)この表の他の類において、より特殊な限定をして記載をして
いるものでないこと

HSコードの分類方法は通則によって規定されています。
その中でも最も重要な通則1では物品の所属は、項の規定及びこれに
関係する部又は類の注の規定に従うと規定されています。

上記の3点の条件のうち(a)と(b)は通則1がベースとなっており、
これらにおいて分類が可能であれば(c)を検討する必要は無くなります。

この通則1で規定されている部の規定とは87類が属する17部の事を
指し、自動車部品の分類において非常に重要な定義が複数あります。
更に87類の規定、8708項の規定も参照する必要があります。

 

 

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 自動車部品 Tagged With: HSコード, 自動車パーツ

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