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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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FTA/EPA

※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

NAFTA原産地規則を読む上での注意点

最終更新日2018年10月29日 By 河副太智 Leave a Comment

※注意
NAFTAは現在USMCAとなり、協定文や原産地規則が変更になっておりますので
USMCAの協定文と原産地規則はこちらを参考にして下さい。

 

 

NAFTAの品目別分類規則は
NAFTA – Annex 401 – Specific Rules of Originから内容を確認できます。

NAFTAの原産地規則は書き方が非常にややこしい為
正しい読み方を知らないと誤読をしてしまい、関税率の判断を
誤ってしまう恐れがあります。

私自身もNAFTAの「普通乗用車」の品目別分類規則を読む際に
読み違えをしてしまいましたので、誤読に至った経緯を
シェアさせていただきます。

 

普通乗用車(ガソリン、ディーゼル含む)のHSコードは
8703.21 から 8703.90となっております。
そこでこのHSコードからNAFTA品目別分類規則を確認すると
以下のように記載されています。

 

NAFTA原産地規則を読む上での注意点

 

この記述だけを見ると

付加価値基準については”regional value content of not less than 50 percent”
とありますので、ネットコストでの計算で行くと50%だけNAFTA締約国にて
価値を付加すれば特恵関税率が適用できると考えてしまいそうになります。

しかし、実際は違います。
NAFTAの品目別分類規則のHSコードの部分に小さな「青文字数字」が
ちょこんと乗っているのがわかりますでしょうか?

 

これはHS8703.21 から 8703.90までの品目別分類規則に関しては
注意書き「42」を確認しなさいという意味になります。

 

ではこの「42」は何を指しているか品目別分類規則の下部を確認します。

すると以下のような記述がみつかります。

 

 

これはHS8703.21 から 8703.90までの品目別分類規則に関しては
原産地規則の一部である「Article 403の規定が適用される」という意味になります

そこでNAFTA協定文本体に戻って「Article 403: Automotive Goods」を
確認すると以下のような記述があります。

5. Notwithstanding Annex 401, and except as provided in paragraph 6,
the regional value-content requirement shall be:

a) for a producer’s fiscal year beginning on the day closest to January 1, 1998
and thereafter, 56 percent under the net cost method,
and
for a producer’s fiscal year beginning on the day closest to January 1, 2002
and thereafter, 62.5 percent under the net cost method, for

(i) a good that is a motor vehicle provided for in tariff item
8702.10.bb or 8702.90.bb (vehicles for the transport of 15 or fewer persons),
or subheading 8703.21 through 8703.90,8704.21 or 8704.31,

 

これはつまり品目別分類規則より上の規則となり得るもので
付加価値基準で原産性を満たす場合は製造者の会計年度によって
原産地規則が変化しますという意味になります。

今回の例ではHS8703.21 から 8703.90までの「普通乗用車」についてですので
そこに関連する部分を赤文字で表記しました。

 

このように規則があちらこちらに分散されていると誤読のリスクが
非常に大きくなると思いますので、今後はもう少しわかりやすい協定文に
してほしいと願っております。

 

NAFTAの原産地規則を読む際はくれぐれも

上記のような右上の小さな数字を見落とさないよう注意が必要です。

Filed Under: FTA/EPA

Back to Back COや通しB/Lで第三国経由

最終更新日2018年8月6日 By 河副太智 Leave a Comment

輸出先での特恵関税を適用させる為には原則として原産国からの
直送が要件となりますが、どうしても第三国経由をする必要が
ある場合はどのようにすればよいかを解説します。

第三国経由に関する協定文抜粋

日アセアンEPAの協定文には第三国経由の場合にどうすれば
特恵関税を適用させられるかが記載されています。

輸出締約国の原産品が一若しくは二以上の締約国又は
第三国を経由して輸入される場合には、輸入締約国は、
当該原産品について関税上の特恵待遇を要求する輸入者に
対して、次のいずれかのものの提出を要求することができる。

(a)通し船荷証券の写し
(b)公的機関の証明書(Back to Back CO)

各EPAごとに第三国経由の場合に備えた協定がありますので
第三国経由の場合は利用するEPAの協定文の事前確認が必要です。
(ほぼ同じですが国ごとに微妙に異なる部分もあります。)

協定文では「通し船荷証券」か「公的機関の証明書(Back to Back CO)」
のいずれかを提出すれば第三国経由であっても特恵関税率が
適用されるという事になります。

通し船荷証券(通しB/L)の写し

通し船荷証券(通しB/L)は”Through B/L”ともよばれます。

例えばタイにて製造された貨物をマレーシアに持ち込み、
マレーシア港で貨物を積み込んだ後、日本に輸出するパターンでは
日本の税関で「マレーシア産じゃないの?」と思われないように
B/Lにマレーシアは経由地でしかないという事を記載する必要があります。

以下のB/Lを見るとタイ⇒マレーシア⇒日本という流れにそって
B/Lが発行されております。

 

通し船荷証券(通しB/L)THROUGH B/L

※税関セミナー資料より引用

 

このような形式のB/Lを「通し船荷証券(通しB/L)」「Through B/L”」と
呼びます。

 

Back to Back CO

 

Back to Back COは「連続する原産地証明書」という意味です。

例えばA国原産の貨物をB国に輸出し、
関税削減の為に原産地証明書をB国税関に提出し、特恵関税の
適用を受ける取引があったとします。

しかし、この貨物はA国からB国に直接輸送されるのではなく
C国を経由してB国に到着した場合、B国としては
本当にA国の原産貨物なのか?実はC国で加工されて
いるのではないか?との疑義が出てくる場合があります。

そういった時の為にC国の原産地証明書発給機関が
発行してくれるのがBack to Back COです。

C国から発行されたBack to Back COをB国税関に提出し、
B国税関がA国の原産性を保っていると判断すれば
B国での特恵関税適用対象貨物となります。

 

実質的な流れではA国が発行した原産地証明書を
C国に提出してC国発給機関が国内での加工等により原産性を
失っていないかどうかを確認してからBack to Back COを発行し
それをB国税関に提出するという流れになります。

経由地にて許可された貨物

A国で製造された貨物を一旦C国にて輸入許可にしてC国内の倉庫にて保管
(保税倉庫等ではなく一般の倉庫)した後、B国に輸出した場合
B国にてA国産である事をBack-to-Back COで証明して特恵関税率の適用が
できるのかどうかはグローバルに展開されている企業様にとって非常に
気になる点かと思われます。

実際に貨物が一旦輸入通関され、一般の倉庫にて保管されてしまうと
その貨物に対して「加工がされていないこと」を確認することは困難です。

こういった原産資格の維持を担保・確認する方法については
各国によって異なる為、各経由国の原産地証明書発給機関に個別に相談する必要があります。

協定文上、経由地にて輸入許可された貨物は原産性を失うという規定は
ありませんので、発給機関の理解を得られれば許可後貨物に対してBack-to-Back COを
発行してもらう事は可能と考えます。

「経由貨物は特恵関税が適用できない」は誤り

第三国経由の貨物だからといって最初から特恵関税適用ができないと
最初から諦めているケースもあるようですがそのような事はありません。

こういった知識不足が引き起こす関税削減機会の損失は何年も継続していくと
とてつもない額になってしまいます。
第三国にて陸揚げして許可になった貨物に関しては工夫が必要ですが
単に経由するだけでしたらそれほど労せずして関税削減の可能性がありますので
ここは判断を謝らないようにくれぐれもご注意ください。

第三国経由に関する協定文全文

 

以下日アセアンEPA協定文のBack to Back COに関する部分を引用

附属書四運用上の証明手続

第三規則原産地証明書の提示

3
輸出締約国の原産品が一若しくは二以上の締約国(輸出締約国及び輸入締約国を除く。)又は第三国を
経由して輸入される場合には、輸入締約国は、当該原産品について関税上の特恵待遇を要求する輸入者に
対して、次のいずれかのものの提出を要求することができる。

通し船荷証券の写し
(a)
当該一若しくは二以上の締約国又は当該第三国の税関当局その他の関連する主体が提供する証明書そ
の他の情報であって、当該一若しくは二以上の締約国又は当該第三国において積卸し及び産品を良好な
状態に保存するために必要なその他の作業以外の作業が当該原産品について行われていないことを証明するもの

4
第二規則5の規定にかかわらず、輸出締約国の権限のある政府当局又はその指定団体によって原産地
証明書(以下この4において「最初の原産地証明書」という。)が発給された原産品が輸入締約国から
他の締約国に輸出される場合において、当該輸入締約国における輸出者又は権限を与えられたその代理
人が有効な最初の原産地証明書を提示して申請を行うときは、当該輸入締約国の権限のある政府当局又
はその指定団体は、当該原産品のための新たな原産地証明書として、連続する原産地証明書を発給する
ことができる。

(b)
(a)の規定に基づき連続する原産地証明書が発給される場合には、第三章及びこの附属書に規定する
「輸出締約国の原産品」については、その権限のある政府当局又はその指定団体が最初の原産地証明書
を発給した締約国の原産品とみなす。

 

 

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: Back to Back CO, Through B/L, 公的機関の証明書, 第三国経由, 通しB/L, 通し船荷証券

日欧EPAの特恵関税が否認されるとどうなる?

最終更新日2019年3月13日 By 河副太智 Leave a Comment

2018年7月17日 総理官邸にて日欧EPAが署名に至りました。
(日本と欧州連合(EU)経済連携協定)

輸出者様にとっては相手国での関税削減を
輸入者様にとっては日本側での関税削減を見込んでおられるかと思います。

しかし関税削減のメリットばかり喜んでもいられません。
協定に定められている原産地証明書を利用した関税削減を
スーパーの割引クーポンと同じ感覚で使用してしまうと
輸出入者様にとって取り返しのつかない大惨事を招く事になるかもしれません。

今回は日欧EPAで得られる関税削減のリスクを解説しますので欧州との取引を
EPAを用いた関税削減と共に計画されている方は是非一度ご覧ください。

日欧EPA協定文全文

協定文の全文は2018年4月に公表された暫定条文であり
実際の発行時には変更される可能性もございますのでご注意ください。

 

日EUEPA協定文

 

 

 

検認(Verification)

日欧EPA協定文ARTICLE 3.21Verificationに検認に関する規定があります。

The customs authority of the importing Party may conduct a
verification either at the time of the customs import declaration,
before the release of products, or after the release of the products.

これは輸入国側の税関がEPA特恵税率を適用した貨物に対し、
輸入通関時、許可後どちらでも「検認」を行う事ができるという意味です。

 

日欧EPA協定文ARTICLE 3.22Verificationにはお互いの国の政府機関が
協力して原産地規則を満たす品目であるかどうかを協力する
との規定があります。

In order to ensure the proper application of this Chapter,
the Parties shall cooperate, through

the customs authority of each Party, in verifying
whether a product is originating and in compliance

with the other requirements provided for in this Chapter.

この規定がある為に、日本側輸出者がEUへ輸出する貨物に対して
EU側の税関が原産性の確認を日本側に求めた場合は
日本の財務省等から輸出者に対し原産地規則を満たす品目かどうかの
再確認が来る形になります。
(※EPAの種類によって問い合わせをして来る機関は異なります。
商工会議所、経済産業省、税関、相手国税関からの直接の質問等)

 

要求される書類や情報

日欧EPA協定文ARTICLE 3.22Verificationに検認時に求められる
資料や情報が規定されています。

(a) the requested documentation, where available;
(b) an opinion on the originating status of the product;
(c) the description of the product subject to examination and
the tariff classification relevant to the application of this Chapter;
(d) a description and explanation of the production process sufficient to
support the originating status of the product
(e) information on the manner in which the examination was conducted; and
(f) supporting documentation, if appropriate.

つまり原産性を確認できるあらゆる資料を要求できるという
事になります。

最低限必要な書類の一例としては契約書、インボイス、
部品や一次製品の価格一覧、部品一覧、製造工程表等があります。

要求される資料を事前に100%把握する事は困難ですが
ガイドラインに従って資料を保存しておけば
相手方に不信感を与える事はほぼ無いと考えられますので是非参考にして下さい。

 

HS事前教示(BTI)

日欧EPA協定文ARTICLE 4.7Advance rulingsにEUに対する
事前教示についての記述があります。

2.An advance ruling shall cover tariff classification of the goods,
origin of goods including theirqualification
as originating goods under Chapter 3 or any other matter

EUに対し、事前にHSコードの分類、原産地規則等を審査してもらい
書面にて回答をもらえる制度です。
検認に怯えながら関税削減を行うのは精神衛生上非常によろしくないので
こういった制度を利用して事前に関税率を確定させておく事を
強くお勧めします。

3. Subject to any confidentiality requirements in its laws and
regulations, a Party may publish itsadvance rulings,
including through the Internet.

法令に従い秘密を保持する事とインターネットでの照会も可能とあります。
日欧EPAにおける事前教示についてはこちらの記事をご覧ください。

 

原産地規則の事前教示(BOI)

EUの税関に対する原産地規則の事前教示はBOIと呼ばれており、
上記のHS事前教示とは異なり、特に共通の申請フォームはありません。

一通りマニュアルをご覧になってからEUの輸出先税関に対し
メールにて各税関のフォーム等を入手する形になります。

EU税関の原産地規則の事前教示問い合わせ先(住所、メールアドレス)

 

原産地規則の事前教示に関するマニュアル

 

 

 

 

特恵関税の適用が否認されたら

EU側税関にて原産地規則を満たさないと判断された場合は
当該貨物について通常の関税が課せられるだけではなく、
制裁的な意味として過少申告加算税、延滞税等のペナルティが発生します。

許可後の貨物であっても後から遡って数年分の未払い関税に対しても
差額関税プラス上記のペナルティが発生する事になりますので
事前に間違いが無い事をよく確認しないと大変な事になりますので
くれぐれもご注意ください。

 

本当に検認が行われるのか?

これまでEPA特恵関税を活用してきた輸出者様にとって
相手国税関からの原産地規則に関する問い合わせ(検認)を受ける機会は
殆どなかったのではないかと思います。
なぜならば日本の財務省は締結してきたEPAの相手先(途上国)に対し
原産地規則等適正な関税徴収に関する知識を「教える側」であった為であり、
相手国側にとって日本は「先生」のような存在で、
「先生である日本の言う事であれば大丈夫だろう」という感じです。

関税同盟の長い歴史を持つEUを相手にする土俵で日本は「先生」ではなく
「新参者」の位置付けになる上、EUは検認が厳しいという事でも知られています。

日本の輸出企業はこれまでのEPAとは違った視点で再度原産地規則の知識を
磨いていく必要があると思います。

Filed Under: FTA/EPA, 日EU・EPA Tagged With: EPA, EU, FTA, 原産地規則, 原産地証明書, 欧州連合, 経済連携協定, 自由貿易協定

対中国アンチダンピング税の原産地規則

最終更新日2018年7月7日 By 河副太智 Leave a Comment

2018年7月6日アメリカは中国に対しアンチダンピングとして
制裁関税措置を発動しました。

これによりアメリカが指定する818品目について25%の関税が
上乗せされ、更に今後284品目についても同様の措置が予定されています。

対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(1)818品目
対中国制裁措置対象HS(HTS)コードリスト(2)284品目

 

上記で指定された中国産の品目は追加の制裁関税を課されてしまうのですが
中国産でない貨物であっても上記のHSに該当する品目に関しては
製造工程、原料等を確認し、中国が絡んでいないかの確認がされる事が
予想されます。

当然この中には一次製品に中国産の物を使用して他国にて製造されている
品目もあるかと思います。

このような場合は中国原産材料を使用して他国にて製造された品目に対し、
MFN税率(通常のWTO税率)を適用するには原産地規則の確認が必要です
そうでないと一次製品に中国産を使用しているという事で純中国産と
みなされてしまう危険性があります。

当サイトで紹介している原産地規則は特恵関税の適用の為にありますが
今回のようなアンチダンピング税の場合は非特恵原産地規則を使用して、
複数の国が係る貨物の原産地を特定します。

 

 

アメリカ非特恵原産地規則の品目別分類規則はこちら

対中国アンチダンピング税の原産地規則

左側のHS(HTS)コードが完成品のHSコードで
中国等第三国の原料を使用した場合どのような製造工程を経れば
原産地規則を満たすかが右側に記載されております。

アメリカ税関で貨物を輸入する際に
中国産の一次原料を使用しているが、完成品は別の国の原産だと
証明するにはあらかじめアメリカ向けに輸出する貨物の
製造工程、原料を確認しておく必要があります。

 

上記の品目別分類規則リストは
“CODE OF FEDERAL REGULATIONS Title19 Customs Duties”
の一部となっておりますので全文を読みたい方は上記リンクを
ご覧ください。※非特恵原産地規則に関しては592pから633p。

 

※参考Jetro”原産地規則と原産地証明書:米国”

Filed Under: FTA/EPA, NEWS, 特殊関税

原産地規則を満たさない例(床用敷物)

最終更新日2018年6月20日 By 河副太智 Leave a Comment

今回紹介する貨物は一般特恵(GSP)適用国であるA国にて製造されたとする
床用敷物(HS5702)です

当該貨物は特恵関税の適用を受ける為に原産地証明書を提出して
申告しましたが特恵関税の適用が受けられませんでした。

その理由は以下のようになります。

1.原産地証明書の特恵符号の欄に(W5702)の記載があった
2.特恵符号(W5702)はA国以外の第三国から調達した原料から製造という事
3.第三国から何を調達したのかを税関が調べる
4.調達した原料は糸であったという事が判明する
5.床用敷物のHS57.02の原産地規則を確認する

6.第三国から調達した糸から作られた床用敷物は原産地規則を
満たさないという事が判明

 

※税関原産地ポータルより引用

今回の事例では救済手段として僅少の非原産材料を検討したようです。

糸からの輸入であっても
僅少の非原産材料の要件を満たせば原産地規則を満たしますが
糸の重量が貨物全体の重量の10%を超える為、
この救済手段も使えなかったという結論に至ったようです。

床用敷物の原産地規則はかなり厳しいようで、
化学品、木材パルプ関連品、紡織用天然繊維、
人造繊維の短繊維又は紡織用繊維くずからの製造以外の原料を
第三国から調達して製造した場合は規則を満たさないという事になりますので
よく調べてから輸入手配を行わないと厄介な事になりそうです。

Filed Under: 原産地規則実例

原産地規則を満たさない例(容器の詰め替え)

最終更新日2018年6月15日 By 河副太智 Leave a Comment

特恵関税率を適用した申告に対する事後調査によって判明した
違反事例を紹介します。

 

対象貨物はタイにて製造されたとする潤滑油(HS2710.19)です
特恵関税の適用を受ける為に原産地証明書を提出して輸入申告。

特恵符号は”PS”となっている為、原料はタイ以外の国の物を調達し
タイでの製造において品目別分類規則を満たす作業、加工工程を経ている
という内容で申告されたようです。

 

しかし税関が製造工程を確認した所、
タイにて潤滑油が製造されたわけではなく
単に第三国から調達した潤滑油をタイにて容器の詰め替えを行っただけである
という事実が判明し、特恵関税の適用ができなくなりました。

 

特恵符号を”PS”で申告するのであれば、タイでの製造、加工工程をしっかりと
税関に証明する必要があり、かつ、以下の品目別分類規則も満たす必要があります。

 

HS2710.11の品目別分類規則
第2710.11号若しくは第2710.19号の産品への他の項の材料からの変更又は、
使用される非原産材料についていずれかの締約国において化学反応の工程を経ること(第2710.11号
又は第2710.19号の産品への関税分類の変更を必要としない。)

 

 

今回の例はそもそもタイでの加工が存在しないので品目別分類規則を
検討するまでもありません。

こういった場合は原産資格を与える事とならない作業とは何かを
知っておく必要があります。

 

参照:原産資格を与えることとならない作業

1. 輸送又は保存のための乾燥、冷凍、塩水漬け等
2. 単なる切断
3. 選別
4. 瓶、箱その他これらに類する包装容器に詰めること
5. 改装
6. 仕分け
7. マーク、ラベル等の貼付
8. 非原産品の単なる混合
9. 単なる部分品の組立て
10. セットにすること
11. これらから成る操作

Filed Under: 原産地規則実例

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