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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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各国税関による分類事例

※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

プールラウンジャーのHSコード分類判例

最終更新日2021年5月18日 By 河副太智 Leave a Comment

PVCとポリエステル生地の組み合わせによるのプールラウンジャーのHSコードは繊維製品か(HS:6307)あるいはプラスチック製品なのか(HS:3926)?

アメリカの税関(CBP)による分類事例を紹介します。 “HQ H298313”

出典:amazon.com ©AQUA-LEISURE INDUSTRIES, INC.

品目詳細

当該プールラウンジャーは約1m程度のサイズでPVCの浮きとポリエステル生地の
混合物品となっております。

PVCの重量は全体重量の30%、価額は総額の16%となっており、
ポリエステル生地重量は全体重量の70%、価額は総額の84%となっております。

PVCが浮きの役割となり、生地が利用者の体をサポートする形になります。

米国税関はこれを繊維製品に分類(HS:6307)  NY N270096.

6307 その他のもの(ドレスパターンを含むものとし、製品にしたものに限る。)
* * *
6307.90 その他のもの

輸入者Aqua Leisure Industries はプラスチック製品であると主張(HS:3926)

3926 その他のプラスチック製品及び第39.01項から第39.14項までの材料
(プラスチックを除く。)から成る製品
* * *
3926.90 その他のもの

 

1.税関側の意見

本品はPVCとポリエステル生地の混合物品であり、PVCの重量は全体重量の
30%、価額は総額の16%となっており、ポリエステル生地は全体重量の70%、
価額は総額の84%となり、生地がユーザーの体を支える役割を担っているが、
PVC製の浮きの存在もまた重要であり、どちらが重要な要素であるかを判断
する事は適切ではない為、通則3(c)を適用し、後列のHSコードを適用する
事とし、3926と6307では6307が後列であるため本品は6307に分類する。
出典:NY N270096.

2.Aqua Leisure Industries側の意見

輸入者であるAqua Leisure Industriesは裁判所Court of International Trade (“CIT”)
の判例Swimways Corp. v. United Statesを持ち出し、本品に類似する品目がPVC
製の浮きの方が重要であるという判断で3926に分類された事例があると主張し、
NY N270096における6307への分類を見直すよう税関に要求。

 

3.裁判所意見

Court of International Trade (“CIT”)の判例Swimways Corp. v. United Statesにおいて
裁判所は同種の貨物において以下のように意見を述べました。

本品にとってPVCの浮き、ポリエステル生地の両方とも重要である事は明白で
はあるがPVCの浮きがある為に本品は水面に浮く為、「浮き」こそが主要な機能
である。

 

結論

上記裁判所の判断により、本品の重要な要素はPVC製の浮きという事に
なり、HSコード3926に分類される事となり、米国税関は事前教示N270096を
撤回する事になりました。

出典: CUSTOMS BULLETIN AND DECISIONS

著者意見

本品のPVCの重量は全体重量の30%、価額は総額の16%となっており、
ポリエステル生地は全体重量の70%、価額は総額の84%となっております。

そして通則の3(b)(VIII)では
「重要な特性を決定するための要素は、物品の種類によって異なる。
例えば、その材料若しくは構成要素の性質(容積、数量、
重量、価格等)
又はその物品を使用する際の構成材料の役割によって決定
することになる。」
とある事から一見6307への分類が妥当であると考えました。

しかし、それでもどちらが重要かが判断できないというのであれば
通則3(c)を適用してHSコードの数字上の配列において最後となる項である
6307に分類するのが良いのではないかと個人的には考えます。

そうでないと「浮き」と「繊維」のどちらが重要かという点で国や文化、
審査する人間によって結論がバラバラになり、収集がつかなくなる恐れが
あるからです。

また、「浮かす」事が重要というのは理解できますが、繊維の部分が無ければ
ただの「浮き」になってしまい、それはそれで製品としての役割を果たさない
とも考えますので初回の判断N270096で通則3(c)を用いた分類手法が適していた
のではないかと考えます。

しかし、本事例では輸入者側が自社にとって有利な税率に判断された判例
を税関に持込み、再審査を要求した事により判断を覆す事に成功しました。

恐らくこのような判例が無ければ輸入者側が税関の判断を覆すのは難しか
ったのではないかと考えます。

自社の通関する品目をより有利な関税率が適用されるHSコードに分類させる
にはこのように過去の判断事例をくまなく調査する事が重要かと考えます。

 

ちなみにですが他国におけるプールラウンジャーのHSコード分類事例を
調べてみますと100%プラスチック製の場合は3926に分類されるかと思いきや

 

9503のおもちゃに分類されている事例もありました。
様々な議論を呼びそうな品目である為、輸入前に事前教示事例調査は
入念に行ったほうが良さそうです。

Filed Under: HSコード, HS分類判例, 各国税関による分類事例

自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?

最終更新日2021年5月7日 By 河副太智 Leave a Comment

プラスチック製の自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
本記事ではアメリカとEUによる分類方法の違いについて解説します。

アメリカの事例

アメリカ税関の事前教示事例(CROSS) で “ice scraper”を検索すると
その多くが8708(自動車用付属品)で分類されています。

 

個別事例で N022822を見ると以下の品目が自動車用付属品として
HSコード8708.99に分類されています。

なぜアメリカ税関はアイススクレーパーを自動車用付属品に
分類したのでしょうか?

それにはまず”付属品”の定義を理解する必要があります。

付属品の定義(関税率表解説84.66項(B))
機械に関連して使用される補助装置(例えば、より広範囲な作業を行え
るように機械を変える互換性の装置)、精度を高める装置及び機械の主
たる機能に関連した特殊な作業を行う装置

 

事前教示HQ 082080では上記の定義を基にして「アイススクレーパーは
利用者が速やかに窓の雪を除去する事ができる為、自動車の用途拡張を
行うものであるため、自動車用付属品に分類する」としております。
更に本決定ではアイススクレーパーは自動車以外に使用する事は想定で
きないと結論づけております。

そのような考え方がある為アメリカ税関ではアイススクレーパーを自動車
用付属品として分類するに至りました。(HS:8708).

EUの事例

EU諸国の場合、アメリカ税関とは異なり「材質」で分類を行います。
(HS:3926.90)

ドイツの事例 DEBTI19707/18-1

Bildnummer 1

フランスの事例 FR-E4-2007-004992-R

どちらも自動車の窓に使用する品目であるという前提ではありますが
EU諸国ではこれらをプラスチック製品のその他(3926.90)に分類して
おります。

おそらく自動車以外にも用途があると判断したものと考えられます。

結論

特定の品目が自動車の部分品、或いは付属品として分類される為には
一般的に以下の要件を満たす事が必要です。

17部総説(III)

(a)87.01 項から 87.05 項までの車両に専ら又は主として使用
するものであること。

(b)HS解説17部注2の規定によって除外されているものでないこと。

(c)この表の他の類において、より特殊な限定をして記載をして
いるものでないこと

この中でも特に(a)の「専ら又は主として」という部分において
各国あるいは同国内の審査官によって意見が分かれる事が多いです。

アイススクレーパーは自動車以外に使用できないと考える人もいれば
自動車以外にも使用可能だと考える人もいます。

その為「専ら又は主として」という定義はグレーゾーンとして捉えられ
る事もしばしばあります。

私の知る限りこの問題を解決する方法はありません。
できる対応策としては事前に各国の事前教示事例を確認し、国によって
又は人によって意見相違が極端に大きくないかを調査する事が重要と
考えます。

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

小売用セットか分離課税か?(オーディオアクセサリー)

最終更新日2021年4月26日 By 河副太智 Leave a Comment

オーディオアクセサリーキットは小売り用セットとして一つのHSに
分類できるか?それとも分離課税対象か?

当該品目は以下のアイテムを小売り用セットにした物となります。
①カーチャージャーアダプター
②イヤホンスピリッター
③イヤホン
④USBケーブル
⑤布製の袋

小売り用セットとして通関時に提示される品目を一括して一つの
HSコードに分類できるか、あるいは一つ一つ分離してHSコードを
採番していくのかは通則の3(b)(X)(5P)を参照して判断します。

通則3(b)(X)における小売り用セットの定義は以下になります。

この通則の適用上、「小売用のセットにした物品」とは、次の物品をいう。
(a)異なる項に属するとみられる二以上の異なった物品から成るもの(したがって、例えば、
6本のフォンデューフォークは、この通則の意味する範囲のセットとはみなさない。)で、
(b)ある特定の必要性を満たすため又はある特定の活動を行うため、共に包装された産品又
は製品から成り、かつ、
(c)再包装しないで、最終使用者に直接販売するのに適した状態(例えば、箱若しくはケー
スの中に又は厚紙の上)に包装されている物品

オーディオアクセサリーキットの構成をこの通則3(b)(X)における
小売り用セットの定義に当てはめると(a)(c)は満たしますが(b)は
満たさないという結論に至ります。

上記のオーディオアクセサリーキットは全ての品目を使用する事
によって一つの目的を達成するという訳ではなく、それぞれ個々の
目的を有する品目であると判断されるため、本品はHS分類上の小売
り用セットとはみなされず分離課税対象となりました。

分離課税対象となる事により上記キットはそれぞれ以下のように
HSコードを分離して申告する事になります。

①カーチャージャーアダプター(HS:8504.40)
②イヤホンスピリッター(HS:8536.69)
③イヤホン(HS:8518.30)
④USBケーブル(HS:8544.42)
⑤布製の袋(HS:6307.90)

出典: Customs Bulletin Weekly, Vol. 54, December 16, 2020, No. 49

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例

国によって異なるHSコード分類解釈

最終更新日2021年4月24日 By 河副太智 Leave a Comment

HSコードは世界共通の制度ではありますが、特定の品目においては
同じ品目であってもHSコードの分類解釈は国によって異なることが
しばしばあります。

本記事を読むことにより国ごとに解釈が異なる事実を知り、HSコー
ドという制度が絶対的なものではないという事を理解する事ができ
ます。

この事実を知っておくとHS分類解釈の意見相違を事前に防ぐ事が
できる可能性が高くなりますので是非参考にして下さい。

 

私自身が見てきた国によって意見相違が極端に大きい品目は
「ソープディスペンサー」です。

プラ製の容器とポンプからなる手動式の品目で電気式ではありません。
手でディスペンサー上部を押すとポンプが作動し、内容物が適用量排出
される仕組みです。

この品目のHS分類は5つの国で解釈が異なります。

EUとスイスHS:8479.89
アメリカHS:8424.89
日本HS:3924.90 (GRI3(b))
台湾HS:8413.20
インドHS:3924.90 (GRI1)

 

EUの事例 HS:8479.89

EU諸国は共通して8479.89(その他の機械)にて分類しています。

事前教示参照番号: DEBTI21927/19-1
Issue date: 2019-07-22
HS code: 84798997900
解説(機械翻訳):
ソープディスペンサー(品番:18791):プラスチック製の立方体の筐体に、取り外し可能な、容器の開口部に取り付けられた手動式のピストンポンプと、バネ式の吸引管およびソープディスペンサーの注ぎ口(図は別紙参照)が付いており、ピストンポンプを押すことで液体を定量的に吐出するものです。”コード番号8479 1000 00 0から8479 8997 85 0以外の、第84章の他の場所で指定されていない、または含まれていない、個々の機能を持つ機械、装置および器具 – いわゆるソープディスペンサー”

原文解説:

 

アメリカの事例 HS:8424.89

アメリカ税関の場合8424.20(噴射用の機器)に分類します。

事前教示参照番号: HQ H305296
Issue date: July 6, 2004
HS code: 8424.89.7090
解説(機械翻訳):

問題となっている商品は、手で操作する石鹸とローションのディスペンサーで、手描きの液体ガラスポンプと識別されています。このユニットは、ガラス瓶のリザーバー、プラスチック製のポンプアセンブリ、ディスペンサーヘッドで構成されています。ポンプアセンブリを上下に押すことで、ソープやローションがリザーバーからポンプを通って移動し、ディスペンサーヘッドを通って外に排出されます。
ソープ&ローションディスペンサーに適用される小分類は、液体を投射、分散または噴霧するためのその他の機械的器具を規定する米国の調和関税表(HTS)8424.89.7090です。

米国の税関が8424.20を8424.89に分類するように変更した理由は以下の通りです。
コンパクトなオックスフォード英語辞典では、スプレーガンを “a device resembling a gun which is used to spray a liquid such as a paint under pressure. “と定義しています。ENに記載されているように、スプレーガンは通常、圧縮空気や蒸気ラインに取り付けられるように設計されており、投射される材料が入ったリザーバーと接続され、ノズルからの流れを制御するためのトリガーやバルブが取り付けられています。 x、HTSUSの8424.20項の記述には該当しません。
HTSUSの8424.89.90小分類は、液体を投射または分散させるためのその他の機械的器具を規定しています。我々は以前、インスタント商品と同様の方法で動作する手動式ポンプディスペンサーは、HTSUSの8424.89に分類されると判断したことがある。HQ H070635(2010年7月13日)、HQ H012731(2008年3月27日)、HQ 956522(1994年8月29日)、HQ 956530(1994年8月29日)を参照してください。したがって、対象となるポンプディスペンサーのハンドポンプは、HTSUSの8424.89に分類されると結論づけています。

さらに、「Harmonized Commodity Description and Coding System Compendium of Classification Opinions」によると、Pumpは8424.89に分類されます。

8424.89「ポンプ」は
押しボタン,ノズル,ピストン・スプリング,シール・ピストン,ステム,容器ガスケット,スクリュー・キャップからなる。
コンテナガスケット,スクリューキャップ,ハウジング,スプリング,シールボール,二重管からなる。
本製品は,液体,粉体,発泡体を噴射する容器の首部に取り付けられるように設計されている。
液体,粉末,または泡を,ピストンポンプを用いてノズルから噴出させるために,容器の首部に取り付けられるように設計されている。

 

 

日本の場合 HS:3924.90

日本の分類方法はポンプと容器を別々に検討し、通則3(b)を適用して
内容物を保存する容器に重要な特性があると判断し,3924.90のプラス
チック製品に分類した事例が多く存在します。

Source: Yahoo Shopping

事前教示参照番号: 115003375
Issue date: 2015-07-17
HS code: 392490010
解説: 

Source: Japan customs

台湾の場合 HS:8413.20

台湾税関はその名のまま8413.20の(ハンドポンプ)に分類
しました。

事前教示参照番号: 104AA0113
Issue date: 2015-03-05
HS code: 841320
解説(機械翻訳):ソープポンプ 本件に添付された情報によれば、本件商品は、ハンドポンプとコンクリート製の容器を組み合わせたソープディスペンサーである。その機能は、ハンドポンプを単発または繰り返し操作することにより、液体石鹸を定量化するものである。アップグレードは、ハンドポンプ商品のカテゴリーに属し、カタログ番号8413.20.00.00-1に記載されているはずです。

Original description:

インドの場合 HS:3926.90

インドの事前教示回答では通則1を適用して3926.90のプラスチック
製品に分類しています。

事前教示参照番号: GUJ/GAAR/R/34/2020
Issue date: 03/07/2020
HS code: 3926.90
English description:

解説(機械翻訳):申請者は、2011年から中国から「プラスチック製機械式液体ディスペンサー」を輸入し、現地で販売していることを明らかにした。これらのディスペンサーは、ボトルのキャップとして使用される。これらのディスペンサーは、ボトルのキャップとして使用され、直接吐出、スプレータイプの吐出、または泡タイプの吐出のいずれかによって液体を吐出するために使用されます。

問題の商品は、機械器具、消火器、スプレーガンと類似の器具、スチームまたはサンドブラスト機と類似のジェット噴射機ではなく、CTH 8424.89にも分類されません。なぜなら、CTH 8424.89は農業または園芸用の器具以外を対象としており、同じタイプの機能を持つ工業用ベローと類似の他の製品が対象となるからです。

スイスの場合 HS:8479.89

EU諸国と同じく8479.89(その他の機械類)に分類

事前教示参照番号: Customs ruling in Switzerland
Issue date: 01/04/2020
HS code: 8479.89
English description:ソープディスペンサー
基本的には、容器と手動式のピストンポンプで構成されています。
液体石けんなどの製品を、プラスチック製の容器の中に定量吐出(分配、噴霧、散布ではありません)するための手動式ピストンポンプです。
液体石けんまたは類似の製品を吐出する(分配、噴霧、散布ではない)ための容器と手動操作のピストンポンプで構成されたプラスチック製のディスペンサーです。
単位重量が5000kg以下のもの。

Original description:

Source: Customs ruling in Switzerland

 

結論

同じ品目が5つの国、地域によって全く異なる解釈をしており、
分類先のHSコードが複数に渡って異なります。

EUとスイス HS:8479.89
アメリカ HS:8424.89
日本 HS:3924.90(通則3(b))
台湾 HS:8413.20
インド HS:3924.90(通則1)

日本とインドは分類先のHSコードは同じですが、結論に至るまでの
解釈、適用する通則が異なります。

これを見るとHSコードという制度は世界共通ではありながらも
絶対的なものではないという事がよくわかると思います。

このような解釈の違いが貿易取引において大きな問題を引き起こす
可能性も十分にありますので、普段扱わない品目を通関する場合は
できるだけ
〇各国の事前教示を受ける
〇事前教示回答事例を確認する
〇現地代理人を通じてHS分類の事前確認を受ける
事などをお勧めします。

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

税関審査官によって異なるHSコード分類

最終更新日2020年12月15日 By 河副太智 Leave a Comment

HSコードの分類法は通常、世界共通であると考えられますが実際矛盾する部分も
多くあります。
特に機械、自動車等の部分品の分類に関しては非常に混乱する事があります。

よくあるケースでは同じ品目を輸出しているにも関わらず、輸出先国の税関に
よってHSコードが異なるという現象があります。

今回紹介する事例は同一国に輸出した同一の品目であっても対象国の税関審査官に
よってHSコードの分類先が異なるという事例です。

ドイツ税関の場合

以下の品目は自動車内部機関に使用されるケーブルを束ねるためのホルダーです。
2017年にHSコード:3926.30(プラスチック製自動車部品)に分類されています。

画像

発行国ドイツ 出典:EU Customs Union
IDDE239/17-1
日付2017-05-26
品名CABLE HOLDER
HSコード3926.30

以下の事例は同じくドイツ税関によるHSコード分類事例です。
上記の事例と同じ品目で自動車内部機関に使用されるケーブルを束ねるための
プラスチック製ホルダーですが2018年通関時には税関審査官が異なるせいか
HSコード8707.99(自動車部品)に分類されています。

画像

発行国ドイツ 出典:EU Customs Union
IDDEBTI5248/18-1
日付2018-09-06
品名CABLE HOLDER
HSコード8708.99

HSコード:3926.30(プラスチック製自動車部品)と8707.99(自動車部品)は
境界のはっきりしない部分ですので税関審査官によって意見のばらつきが発生し
やすく注意が必要です。

アメリカ税関(CBP)の場合

アメリカ税関審査官の意見とアメリカの裁判所(CIT 米国国際貿易裁判所)の
HSコードの分類意見が異なるという事例もあります。

以下の品目は「プライヤー」(HSコード:8203)でもあり、
「レンチ」(HSコード:8204)でもあるという両方の機能を備えた工具です。

出典:Customs Bulletin

プライヤーとしての特徴である人の手で握りしめて対象物を傷つけながら
締め付け、レンチのような調節機能により締め付けたまま固定する事が可能
であるため、「プライヤー」(HS:8203)なのか「レンチ」(HS:8204)なのかで
判断に迷う部分ではあります。

裁判所はアメリカ税関(CBP)が主張するHSコード分類「レンチ」(HS:8204)の判断を
退け、輸入者が主張するHSコード分類「プライヤー」(HS:8203)の判断を認容するに
至りました。

裁判所の意見としては当該品目は用途的には米国税関が主張するレンチに該当
するがHSコード分類の規定におけるレンチの定義に用途に関する規定が無いとして
用途よりも外見的特徴から「プライヤー」(HS:8203)に分類する事になりました。

アメリカ税関はこの判断を不服とし、今後同種の品目が輸入されてもHSコードは
初回の判断を貫き、8204での通関を続けると主張しているため、同種品目をアメリカに
輸出する方は混乱するかもしれません。

インド税関の場合

インド税関を悪く言うつもりは無いのですがインド税関でのHSコード分類基準は
一体どうなっているのか甚だ疑問に思います。

税関審査官によって意見がコロコロ変わるだけでなく、輸入地、時期によっても
分類基準が異なる場合があるためインド向けに輸出している方はHSコードの分類
基準で悩むことが多いのではないかと考えます。

実際インドでのHSコード意見相違についての相談を受ける事がよくありますので
インド税関での事前教示をお勧めする事もありますが、回答を得るまでに1年近く
もかかるという実情があるようでインド税関では事前教示制度は事実上の運用に
過ぎないと評価せざるを得ません。

HSコード分類意見相違への対処法

上記のような問題を解決する方法として最も有効な手段は事前教示制度の活用と
いう事になりますが、対象品目が多い、通関を急いでいる、相手国税関との取次
をどうするかなど事前教示制度の活用はまだまだ困難であると考えます。

そのため、代替案として各国税関の事前教示回答データベースを参照する事を
お勧めします。対象品目が過去にどのHSコードで分類されているかを調査し、
分類根拠を関税率表解説(Explanatory Notes)から引用し、通関審査時に先に
輸入者側から税関に提出し、税関側に疑問を持たせないように誘導するという
方法です。

どの国でも税関職員は非常にプライドが高いため、一度HSコードの分類に対する
疑義を発したらよほどの事がない限り撤回する事はありません。
その為、分類に至った根拠を税関職員から質問される前にしっかりと提示する事が
スムーズに通関する為に重要なポイントになる事があります。

 

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)

最終更新日2020年10月31日 By 河副太智 Leave a Comment

アメリカでHSコード: 6404.19.3960に分類される靴を輸入する場合、関税率は
37.5%になります。
(本底がゴム製、プラスチック製、革製又はコンポジションレザー製で、甲が紡織用繊維製のものに限る。)
一般的によくある普通の靴ではありますが、この靴がスポーツシューズとしても使える
機能を持ってる場合、関税率を20%に(マイナス17.5%)にする事ができる可能性があ
ります。

通常の外出で使用する靴ではあるがそのままスポーツ用にも使える歩行&運動両用の
靴として関税削減を行う為にアメリカ税関はどの部分を重視するかを紹介します。

 

靴の分類事例

以下に一般的な靴とスポーツシューズの分類事例を紹介します。

通常の靴 HS:6404.19

ドイツ税関
DEBTI28444/19-1
2019-07-17

ドイツ税関
DEBTI28444/19-1
2019-07-17

 

Classified as HS: 6404.11 (Sports Shoes)

イギリス税関
GB123015822
2013-07-11

イギリス税関
NLRTD-2009-000266
2009-03-24

出典:European Union Website

一般の靴とスポーツシューズの違い

上記の事例を見てみると両者は異なるHSコードで分類はされていますが
個人的に見た目に大きな差があるようにはあまり感じません。

そのため、一般の靴とスポーツシューズの定義を明確にする為、以下の
CUSTOMS BULLETIN AND DECISIONS, VOL. 54, NO. 41, OCTOBER 21, 2020.を参考に
すると裁判所はスポーツシューズの定義としてデザイン、足の位置を固定する甲の
特性、衝撃や摩耗からの保護機能があげられると判断しました。

更にアメリカ税関による事前教示回答事例CROSSの実例H236274を見ると
アメリカ独自の分類基準Additional U.S. Note 2 to Chapter 64によると
スポーツシューズはアスレチック用途専用である必要はないが、そのような外観、
品質、特性を有する必要があるという事です。
※Additional U.S. Note 2 to Chapter 64 はこちらから確認できます。 census

結論

上記の事例を見ると通常の靴にスポーツ用途的外観、品質、特性(足の位置を
固定する甲の特性、衝撃や摩耗からの保護機能など)を追加する事によって
大幅な関税削減になる可能性があります。

実際このような事例で貿易企業とアメリカ税関でのやり取りが事前教示の記録に
残されています。

輸入者はアメリカ税関に対しスポーツシューズとして事前教示申請をしたが
一般的な靴としてHSコード: 6404.19.3960に分類され、関税率は37.5%になりました。
実際の記録はこちらから参照できます→N279073

輸入者はこれを不服として再度アメリカ税関に審査の再検討を要請したところ
当該品目はスポーツ用としても利用できると判断し、6404.11.90(関税率20%)に
分類変更を行いました。(事例H285615によって再分類)

アメリカ向けにHSコード: 6404.19.3960に分類される一般的な靴を輸出する事業者様
はスポーツにも使える特性を追加するコストと差額の関税率を比較考量し、どちらが
利益ができるかを検討してみてはいかがでしょうか。

簡単な事ではないかもしれませんが継続的に大量に輸出する場合、このような
タリフエンジニアリング手法が大きな利益をもたらす可能性があります。

※検討する際は必ず事前に必ずアメリカ税関に事前教示申請等確認を行ってください。

Filed Under: HSコード, タリフエンジニアリング, 各国税関による分類事例, 意見相違

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