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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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累積

衣類の特別な原産地規則

最終更新日2017年9月5日 By 河副太智 Leave a Comment

衣類を特恵関税を使って輸入する際に
第三国からの生地を原料としている場合は品目別分類規則の他に
特別な原産地規則がありますのでこちらも考慮する必要があります。

 

ジャケット(HSコード6101.20)をインドネシアから輸入する場合で
第三国からの原料を多数使用しているケースを例として挙げてみます。

 

衣類の特別な原産地規則

※税関セミナー資料より引用

①の表生地はインドネシア産の綿製で表地中の面積割合は61%
②の表生地(袖)はタイ産のポリウレタン製で表地中の面積割合は31%
③のフラットニットは中国産のポリエステルで表地中の面積割合は8%

となっております。

 

原産地規則を満たすかどうかについて検討する場合
HSコード61類から63類に該当する衣類には以下のような
原産地規則の特例に従う必要があります。

■原産地規則解釈例規 平成26年6月13日

衣類における「関税分類を決定する構成部分」は、
原則として、産品の表側の生地に占める面積が
最も大きい構成材料から成る部分とする。

この場合において、産品が属する号(HS6桁)に
規定する材料から成る部分の面積の合計を、
一の構成部分の面積として考慮する。

つまり表生地に複数の異なる種類の生地が使われている場合
表生地の面積が一番大きいものだけが原産地規則を満たすかどうかを
検討するだけでよく、他の表生地は原産地規則を満たすかどうかは
考慮しなくても良いという事になります。

 

今回の例では表生地を一番多く占めているのは
①の面積割合61%のインドネシア産です
②と③は無視できます。

代表となる①はインドネシアから製造、輸入した貨物ですので
これだけで原産地規則を満たす貨物という事になりそうです

 

 

しかし、ちょっとここで注意が必要です。

 

実はこのジャケットは裏生地もあるのです。

 

※税関セミナー資料より引用

 

先ほど紹介した原産地規則解釈例規には裏生地に関して
まだ規定があるのです。

また、上半身用の衣類において、裏側の生地が全面に張られており
かつ、その全周が表側の生地に縫い付けられている場合にあっては、
上記で選択された表側の生地に加え、
当該裏地部分を「関税分類を決定する構成部分」とする。

 

つまり裏生地がジャケットの裏側全体に張り付けられており
更にその裏生地がジャケットの表側の生地に縫われていれば
その裏生地も原産地規則を満たす貨物かどうかの判定が必要となる
という事です。

 

一般的なジャケットであればこのような形態の裏生地は
珍しくないと思いますのでこの規定は非常に重要です。
衣類の原産地規則を検討するには必ず注意してください。

 

では裏生地のHSコードが5407であった場合の
日インドネシアFTAのジャケット(HS6101.20)に対する
品目別分類規則を見てみましょう

 

他の類の材料からの変更
(原料から完成品へHSの頭2桁の変更を要する場合(CC))

 

裏生地のHSは5407なので他の類(HSの頭2桁)の材料からの変更
という部分を満たしておりますが以下のような除外規定があります。

 

(第50.07項、第51.11項から第51.13項までの各項、第52.08
項から第52.12項までの各項、第53.09項から第53.11項までの各項、
第54.07項、第54.08項、第55.12項から第55.16項までの各項又は
第60類の非原産材料を使用する場合には、
当該非原産材料のそれぞれがいずれかの締約国
又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三
国において完全にメリヤス編みされ、
又はクロセ編みされる場合に限る。)

 

残念ながら裏生地(HS5407)は除外規定に該当しております。

もしこの裏生地が第三国(日本か東南アジア諸国連合の加盟国以外)
にて編まれていたものであれば原産地規則を満たさない貨物
という事になります。

 

 

幸いにもこのジャケットの裏地は日本産です。
日本から裏地をインドネシアに予め送っておいて
表生地に縫い合わせたものです。

この場合は累積という救済規定によって原産地規則を満たす
という事になります。

 

例えばこの裏地の原産国が中国だった場合は糸の状態で調達し、
それを日本か東南アジア諸国連合の加盟国にて編むという
製造工程を経なければ原産地規則は満たしません。

 

衣類系はこういった部分が非常にややこしいので
ご注意ください。

 

 

また、このジャケットにタグやボタン等がついていれば
表地とは関係ないのでこれらは原産地規則を満たしているかどうかを
確認する必要があります。

 

一般的にこういった小さな部品であれば僅少の非原産材料という
救済規定を使用して原産地規則を満たす事ができます。

 

日インドネシアFTAの規定によればジャケットの場合
貨物本体の重量の7%以下の非減産材料については
原産地規則を満たす材料としてカウントができます。

日インドネシア協定第31条(僅少の非原産材料)の規定における
閾値は、第61類の産品については、総重量の7%以下。

 

タグ、ボタン等の小さな部品であればおそらく
ジャケットの重量の7%以内に収まるはずです。

 

これによって上記例のインドネシア産のジャケットは
無事原産地規則を満たし、日本にて特恵関税適用可能な貨物となります。

 

 

ちなみに原産地規則解釈例規対象となる協定は以下になります
シンガポール協定、メキシコ協定、マレーシア協定、チリ協定、タイ協定、イ
ンドネシア協定、ブルネイ協定、アセアン包括協定、フィリピン協定、ベトナ
ム協定、ペルー協定

Filed Under: 原産地規則実例 Tagged With: EPA, FTA, ジャケット, 僅少の非原産材料, 原産地規則, 原産地規則解釈例規, 品目別分類規則, 累積, 関税分類変更基準

メガFTAの累積で関税削減手段が増える

最終更新日2017年8月23日 By 河副太智 Leave a Comment

この記事を執筆している時点で日本が締結している
包括経済連携協定は日・ASEAN包括的経済連携協定です。

これは日本とASEAN加盟国(インドネシアを除く)全てと
包括的にFTA/EPAを締結している物であり、
一つの協定で多くの国からの関税削減が望める協定です。

更にこの協定のメリットとしましては累積という方法で
より多くの関税削減の手段があるという事です。

 

累積とは加盟国間内での原産品は相手国の原産品とみなされる
という事になります。

 

例えばタイ原産の貨物を輸入する場合、
その貨物の原料が第三国から調達している場合は原産地規則を
満たさなければ日本において特恵関税の適用ができませんが
この原料が日本から調達(タイ向けに輸出)した物であれば
FTA締約国からの原産品の為、原産地規則等を考慮せず、
日本産をタイ産としてみなす事が可能になるというのが累積です。

 

 

 

日本とASEANの累積 タイの例
※税関セミナースライドより引用

 

 

更にメリットはこれだけではありません。
日・ASEAN包括的経済連携協定では多くの国が対象となっており
累積の規定はここに加盟する国全てが対象となります。

 

例を挙げると以下のような図になります。

 

 

日・ASEAN包括的経済連携協定

※税関セミナースライドより引用

 

 

上記図の解説を順に行っていくと
産品Aはタイにて製造され、日本に輸出される為、
日本にて輸入する際に特恵関税の適用ができるかどうか考慮します。

原料のR1につきましてはタイの締約国である日本の原産品ですので
先ほど説明した累積の規定により当該原産品はタイ産とみなされます

次にR5の原料を見るとマレーシアから調達しております。
通常第三国からの原料から製造した場合は原産地規則を満たす必要
がありますが、マレーシアは日・ASEAN包括的経済連携協定の
加盟国の一つでありますので日本と同じように累積の規定により
タイ産の原産品としてみなされ、
原産地規則を考慮する必要はありません。

 

R4の原料に関しましてはインドネシアから調達した原料ですが
インドネシアはASEAN加盟国ではありますが
日・ASEAN包括的経済連携協定の加盟国ではありません。

よってインドネシアから調達した貨物は第三国からの調達となり
非原産材料R2と同じく原産地規則を満たす必要があります。
ここは間違えやすいので注意が必要です。

 

現時点での日・ASEAN包括的経済連携協定の加盟国は

日本、シンガポール、ラオス、ベトナム、ミャンマー、ブルネイ、
マレーシア、タイ、カンボジア、フィリピン

となっております。

これらの国のどこかで貨物を製造し、原料を上記の国のどこかから
調達した場合は原産地規則の考慮は不要で、
貨物は貨物を完成させた国での原産品とみなされます。

 

この累積の規定を活用する事により原産地規則が満たしやすくなり、
関税削減の機会も増えるという事になります。

 

TPP11,RCEP,日EUEPAといったメガFTAと呼ばれる
包括的経済連携協定もこの累積の規定が適用される事になる予定
ですので、より多くの国を対象としてグローバルサプライチェーン
構築の機会になりそうです。

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: EPA, FTA, 一次原料, 二次原料, 原産地規則, 日・ASEANEPA, 日・ASEAN包括的経済連携協定, 累積, 経済連携協定, 自由貿易協定

輸出国側にて車の関税を削減(累積)

最終更新日2017年6月29日 By 河副太智 Leave a Comment

第三国の原料を使用して、日本で車を組み立てて
海外へ輸出し、相手国側での関税を削減する方法を考えてみます。

 

今回はタイ向け輸出を例に挙げます。

 

タイ向け車の輸出で関税削減

※JETROセミナースライドより引用

 

この例ではアメリカから部品を日本が輸入し、
それを加工して部品Bを製造しているものと
中国から調達した部品をタイにて製造し、
部品Cとなっており、その2つを使用して車が完成します。

 

 

 

 

まずアメリカからの部品Bについてですが
自動車用部品のHSコードは8714.99となり、原産地規則は
「原産資格割合が四十パーセント以上であること」が条件です。

 

(1000-600)/1000=40 となりますので
原産地割合(QVC)は40%となりますので日本産となります。

他方中国からの部品Dはタイにて加工され部品Cとなります。

 

部品Dは金額的には原産地割合(QVC)を満たしませんし、
自動車部品から自動車部品への変更であれば関税分類変更基準も
満たさない事になってしまいます。

 

そこで救済規定を使います。
今回使用するのは累積規定(Accumulation)です。

 

日タイ協定第29条に以下のような規定があります。

 

 

日タイFTA/EPA協定文

 

 

 

よくわからない文章ですが
要するに日本からタイに輸出してタイで減免税を受けるのであれば
タイ産の原料は自国のタイのものであるので
締約国である日本産と同じ扱いをしてよいということです。

 

 

 

これにより部品Bも部品Cもそれぞれ日本産とみなされ
無事車はタイにて特恵関税適用の対象という事になります。

 

累積規定は色々使えますので是非覚えておきましょう。

 

 

 

 

Filed Under: FTA/EPA, 原産地規則実例 Tagged With: 1次製品, EPA, FTA, HSコード, QVC, 一次原料, 二次原料, 付加価値基準, 協定文, 原産資格割合, 品目別分類規則, 実質的変更基準, 日タイEPA, 日タイFTA, 累積, 経済連携協定, 自動車, 自由貿易協定, 車, 関税, 関税分類変更基準

ACUとは?

最終更新日2017年1月12日 By 河副太智 Leave a Comment

ACUとは累積の事です
詳しい解説はFTA/EPAにおける累積のページで解説を
行っております。

ACUは”ACCUMULATION”の略となります。

以下に日タイFTA/EPAの協定文の累積の部分を記載します。

Article 29
Accumulation

For the purposes of determining whether a good qualifies as an
originating good of a Party,
an originating good of the other Party which is used as a material
in the production of the good in the former Party may be
considered as an originating material of the former Party.

 

日本語訳は以下になります。

 

 

 

Filed Under: FTA/EPA, 通関英語 Tagged With: ACCUMULATION, ACU, EPA, FTA, 協定文, 原産地証明書, 原産資格割合, 品目別分類規則, 実質的変更基準, 累積, 経済連携協定, 英語

FTA/EPAにおける累積

最終更新日2019年3月13日 By 河副太智 2 Comments

累積とはFTA/EPA締約国がもう一方の締約国から提供された原材料を
自国の原材料とみなす制度です。

 

以前一般特恵関税での累積の説明を行いましたが
FTA/EPAでは内容が異なりますのでご注意ください。

 

以下は日タイFTA/EPAで累積を使用した例です。

FTA/EPAの累積

※税関セミナースライドより引用

上記の例では日タイFTA/EPAを利用して革靴を特恵関税適用で
日本に輸入しようとするパターンです。

革靴の原産がどこになるかという事が焦点となっており、
実質的変更基準の品目別分類規則を見ると
革靴(HSコード6403.59)の場合は以下のような規定になります。

第64.01項から第64.05項までの各項の産品への
当該各項以外の 項の材料からの変更
(第64.06号の材料からの変更を除く。)

 

つまり第三国から原料を輸入して作るのであれば
項の変更(HSコード頭4桁)の変更があればよいという事になります。
但し、項の変更であっても6406からの変更は不可となります。

 

上記の例で見るとX国から輸入した原料(HSコード3907と6307)は
完成品の6403とは項(HSコード頭4桁)が異なりますので
この2つの原料は品目別分類規則を満たします。

 

しかし、日本からの原料である靴底はHSが6406であるため、
原産地規則にある”6406からの変更は不可”という規定にひっかかり
通常この靴底は非原産材料となるのですが
この原産材料は日本から来たものであるため
日タイFTA/EPAの締約国の原料は自国の物とみなす累積
という制度を使えばこの原料(HS6406の靴底)も
タイの原産品としてカウントが可能となります。

 

 

非原産材料を累積の制度を使って原産品としてみなすには
原産地証明書の8欄目に”ACU”の記載が必要ですので
参考にしてください。

累積ACUを原産地証明書に記載

日本貿易関係手続簡易化協会による「特恵原産地規則における累積制度」が
累積制度をスライドでわかりやすく解説しておりますので参考にして下さい。

 

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: ACU, EPA, FTA, HSコード, 原産地規則, 原産地証明書, 原産資格割合, 品目別分類規則, 実質的変更基準, 累積, 経済連携協定, 革靴

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