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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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重加算税

関税評価と事後調査

最終更新日2017年12月8日 By 河副太智 Leave a Comment

輸入申告をするにあたって基本的にインボイスに記載された価格を申告しますが
インボイス金額だけを申告すれば良いという訳ではありません。

関税制度の仕組みは非常に複雑でして
インボイスに記載された価格以外の金額も含めて申告しなくてはならない
場合が多数あります。

 

こういったものを関税評価と呼びます。
通関士ですら内容を把握するのに非常に苦労する内容ですが、
この分野に関しましては輸出入者様の知識に委ねられている部分が
非常に大きいので常に注意が必要です。

 

本来申告しなくてはいけなかったインボイス価格以外の金額を
輸入申告価格に含めないで申告した場合は
定期的に行われる税関事後調査でほぼ確実に指摘を受け
本来の関税額に加え、過少申告加算税、重加算税、延滞税が後日
請求される事になり、輸入者様に多大なる損害を与えます。

関税評価に関する解説は直接関税削減というテーマに直接結びつく物では
ありませんが、こういった事後調査の指摘によって予想外の損失を
予め防ぐという点では間接的に関税削減につながるかと思います。

 

関税評価に関する知識は貿易をするからといって
親切に誰かが教えてくれる物ではありません。

殆どの場合は事後調査委にて追徴課税を受けた後で
「知らなかった」という輸入者様が大多数を占めます。

 

中には申告を依頼している通関士が教えてくれるようなケースも
あるのでしょうがなかなかそこまでしてくれる親切な通関士は
少ないかもしれません。

 

関税評価に関しては輸出入者様自身が理解する必要があります。

 

しかし身構える必要はありません。

基本的に事後調査で指摘される評価申告漏れは
ほとんどが似たような内容です。

 

もちろん特殊で非常に難解な規則もありますがそういった事情のある
輸出入者様は少数かと思われますので
事後調査で指摘の多い評価申告漏れの予想ポイントを予め掴んでおけば
多くの評価申告漏れは事前に防げるものばかりです。

 

以下関税評価に関して分かり易く解説しようと思います。

事後調査実施状況

 

税関による事後調査は輸出入者様を対象に定期的に行われます。

こちらは平成22年度までの追徴税額の合計です。

 

税関事後調査追徴課税額推移

 

当記事執筆中の現在において発表されている
平成27年度の追徴課税額は約160億円となっており、
平成22年度の約50億円から大幅に増えております。

追徴額は年々増えている傾向にあります。

平成27年度の輸入事後調査資料を見ますと
調査を行った輸入者の数は4,302者でそのうち申告漏れのあった
輸入者は2977者となっており、
約70%の輸入者が申告漏れの対象となっております。

その中でも申告漏れの原因のトップを占めるので評価申告漏れです。

 

 

どのような評価申告漏れをしている?

資料によると関税評価の申告漏れが多かった品目は
電気機器、機械類、衣類などにおいて多く発生しています。

その原因としましては必要材料を海外の製造者に無償提供し、
その無償提供した貨物の価格を輸入申告時に
税関に申告しなかったという理由が大多数を占めます。

 

機器、機械などの一部は日本で製造した物を無償で相手国に送り、
その一部を使用して製造した方が有利な場合であったり、
あるいは第三国から仕入れた原料となる生地を製造所となる
相手国に事前に無償で送り、その生地を裁断して衣類を製造する
というパターンが想定されます。

両者共に無償材料は輸入申告時に評価申告の対象です。

 

関税評価の申告漏れの具体例

 

1.輸入者が無償提供した材料費の評価申告漏れ

美容関連機器を輸入している者が
この機器の製造に必要な材料を無償で提供しており、
その材料費は本来申告価格に含めるべきでしたが、
これを含めずに申告した事が事後調査にて発覚

この輸入者の申告漏れの課税価格は約9億円となり
加算税等追徴税額は7,456万円となりました。

 

2.輸入者が支払った価格調整金(インボイス価格以外の貨物代金)

医療機器を輸入している者が輸出者との取り決めにより
過去2年間の間に輸入した貨物について遡及して価格調整を行い、
増額となった金額を輸出者側に支払っていました。

この価格は評価額に含めるべきでしたが
それを行わず、事後調査にて発覚

 

この輸入者の申告漏れの課税価格は約200億円となり
加算税等追徴税額は11億7,643万円となりました。

 

3.処分制限のある貨物

太陽電池モジュールを輸入している者が輸出者との間で
取引形態別に輸入貨物の価格を決めていました。

この輸入者はグループ会社に販売する貨物については
一般顧客に販売する貨物よりも低い価格で購入しており、
その低い価格にて輸入申告を行っておりました。

この場合には本来輸入時に申告すべき申告額は
グループ会社に販売する貨物価格を一般顧客に販売する額にして
計算する必要がありました。

誰に販売するかという点で申告価格を決めるのではなく
本来の貨物代金の額にて申告する必要があったという事が
事後調査にて発覚

 

この輸入者の申告漏れの課税価格は約92億円となり
加算税等追徴税額は6億2,903万円となりました。

 

 

関税評価の原則

 

ではここから関税評価の解説を行っていきます。
全てを本格的に解説をすると気の遠くなるような時間が必要ですので
ここでは重要な点だけを抽出して大まかに解説します。

 

 

関税評価の原則

※税関セミナー資料より引用

 

 

上記の表の左側「現実支払価格」というのは
大まかに以下のようになります。

①仕入書(インボイス)価格
②開発費など仕入書の金額以外に貨物に対し支払った価格
③申告価格から引いても良い価格(割引等)
④輸入申告後に輸出者等に追加で支払う価格等

 

 

上記表の右側にある「加算要素」とは現実支払い価格に加算する
必要のある価格の一例です。

 

①運賃(海上、航空共に)
②仲介料(国内外問わず)、梱包費用等
③無償で製造者に送った原料(値引きの場合は値引き額)
④ロイヤルティ、ライセンス料
⑤販売、売上げ収益の一部を売手に支払う価格

 

 

上記はあくまでも一例ですが、これらを押さえておけば
かなりの部分の関税評価申告漏れを防ぐ事ができます。

 

 

現実支払価格とは

現実支払価格について詳しく解説します。

一般的に輸入の場合は以下のようになっている事が多いです。

 

関税評価の現実支払い価格

※税関セミナー資料より引用

 

 

5万円の貨物の取引の為、5万円を送金しますので
申告価格も5万円となり、そこに関税、消費税がかかります。

 

 

 

輸入貨物の価格が値引きされていた場合、
現実支払い価格は値引き後の価格になります。

 

現実支払い価格の値引き

※税関セミナー資料より引用

 

インボイス価格は5万円ですが、初回購入割引や数量割引などがあれば
値引き後の送金額で申告ができます。

 

 

しかし、この値引きに関してですがどのような理由で値引きになっているかが
ポイントになります。

 

以下のような場合は値引きされていても申告価格には影響しません。

例:
1,クレーム求償額(過去の輸入貨物等、現在の輸入貨物に関係のない割引)
2.賠償金との相殺
3.貸付金、立替金との相殺
4.有償提供した機械の代金との相殺等
5.旧モデル値引き、季節値引き、代理店値引き

 

 

関税評価割引が不適用

 

現実支払価格は原則として上記のように算出します。
他にも例外はございますが一般的には
上記のような取引に多く該当するかと思います。

 

 

加算要素一覧

 

加算要素の全体図を表すと以下のようになります。

 

※税関セミナー資料より引用

 

 

 

貨物のデザイン費用

 

貨物のデザインや設計図に関しては日本国内で開発された物であれば
加算要素にはなりませんが、これらを海外から調達した場合は
加算要素になります。

 

また、間違えやすいのが日本人がこれらを海外で開発したケースです。
日本人であれば加算しないように思われがちですが、
どこで開発されたかがポイントですのでこのような場合は加算となります。

 

 

関税評価、デザイン費用の加算

※税関セミナー資料より引用

 

 

 

権利に関わる費用の支払い

 

権利に関する支払いはその支払いがなければ輸入ができないという場合に
加算要素となります。

 

 

※税関セミナー資料より引用

 

特許権、意匠権商標権、意匠権、実用新案権、著作権等がありますが
これらが輸入貨物に関わらないものや、
その支払いが無くても取引(輸入)ができる場合等は加算要素になりません。

 

 

関税評価ライセンス費用の加算

※税関セミナー資料より引用

 

商標等に関する費用を支払わなければ輸入ができないようなケースです
商標使用料などに支払うロイヤルティも
申告価格に加算する必要があります。

 

 

事前に評価申告について相談する

 

HSコードを申告前に税関に相談する事前教示制度というのは
多くの方が利用しているかと思いますが
この事前教示制度には評価加算の方法についても適用があります。

評価申告金額の確定は恐ろしく難解な部分もありますので
複雑な貿易形態の取引がある場合は利用する事をお勧めします。

 

以下、分類別の税関への事前教示の件数です。
2016年に関税評価に関して文書で質問をした方が8件しかおりません。
(口頭での質問は事後調査時にて回答内容は尊重されません。)

常に事後調査における追徴税のトップの原因が評価漏れである事が
なんとなるわかるような気がします。

 

事前教示制度推移

※税関資料より引用

 

 

 

以下評価申告関係の税関HPへのリンクです。

評価申告における事前教示案内ページ

評価申告事前教示事例

 

事後調査で発覚する評価申告の誤りはどの位?

 

以下は少し古い情報ですが、事後調査における追徴課税の原因のグラフです。

 

評価申告申告漏れグラフ

(1)貨物代金別払い
(2)無償提供等
(5)運賃等別払い

上記3点が評価申告による追徴課税の原因です。

 

 

 

関税評価に関しての結論

ここまで大まかに関税評価について解説しましたが、
これは代表的なほんの一部に過ぎません。

 

関税評価の内容は非常に難解で幅広いものです。
それらを全て理解するのは学者レベルの研究が必要かもしれません。

しかし、上記で紹介した内容だけでも把握できれば
多くの場合、事後調査にて申告漏れを指摘される可能性が
大幅に減ることになりますし、
事前に通関士や税関の評価部門に確認するという行動が起こせます。

 

「知らなかった」と言って大きな損害を被るくらいなら
事前にしっかりご自身の貿易形態を確認してみてはいかがでしょうか?

Filed Under: 未分類 Tagged With: インボイス金額, 事前教示, 事後調査, 修正申告, 延滞税, 無償提供, 申告漏れ, 評価漏れ, 評価申告漏れ, 貨物代金別払い, 追徴課税, 運賃等別払い, 過少申告加算税, 重加算税, 関税評価

税関の事後調査とはどのようなものか

最終更新日2017年8月23日 By 河副太智 2 Comments

貿易を行っていれば避けて取れないのが税関による事後調査です。
一定数の通関を行っていれば数年に一度
税関の調査官から電話連絡が来て調査を行う旨伝えられます。
(関税法第105条第1項第6号)

税関事後調査とはどのような物でどのような目的があるのか
解説していきます。

 

税関事後調査では何を要求されるのか?

事後調査の電話連絡の際に説明される事になりますが、
輸入の場合は輸入の許可から保存が7年間義務付けられている
帳簿等の書類になります。

例:許可書、契約書、インボイス、価格用、原産地証明書
会計帳票、決裁書類、発注書類、その他文書(メール等含む)
海外への送金明細、運賃明細書、保険料明細、
その他輸入の許可に関わる書類を包括的に

事後調査に関わる根拠法令はこちら

税関事後調査で要求された書類はどうなるのか?

必要があれば税関の調査が終わるまで書類を持ち帰る事もあります。
(関税法第105条第2項)
調査終了後は当然変換されます。
対象の例としてはパソコン、ハードディスク、書類等があります。

提出時に預かり書をもらう事ができます。

 

税関事後調査は裁判所の令状があるのか?

一般的な事後調査はあくまでも任意調査であり、
輸入者等の協力を得ながら行うものですので裁判所の令状は
ありません。

その為税関職員は以下のような行為は行えません

1.ドアを押し開けて事務所に入る
2.手を払いのけて帳簿をめくる
3.拒絶を押し切って引き出しを開ける
4.社内で見せるだけしか認めていない書類を強引に持ち帰る

上記内容を見ると税関事後調査は拒否できるかのようにも見えます
あくまでも任意ですので断る事もできると誰もが考えますが
関税法第114号の2の10号により「税関職員の質問に答えず、虚偽をし、
執行を拒み、妨げ、忌避した者」に対して罰則を設けております。
(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)

 

つまり任意と言いながら調査を断れば罰則が待っていますので
これを間接強制と呼びます。

どちらにしろ断る事はできないという事になります。

 

 

事後調査の事前通知は必ずあるのか?

一般的には事後調査の事前通知はあります。
但し、税関が保有する情報に鑑み違法または不当な行為等を
疑う場合には事前通知なしで事後調査が行われるケースもあります。

その他にも輸入者との連絡が取れなかったり
調査があると知って行方をくらませたり、
資料を破棄する恐れがある場合などです。
(国税通則法第74条の10)

 

事前通知では何を知らされるのか?

事後調査の事前通知には法令に定められた事項を通知します。

1.事後調査実施の日時
2.調査を行う場所
3.調査の目的
4.調査の対象となる税目
5.調査の対象となる期間
6.調査の対象となる帳簿書類その他の物件
7.調査の相手先である輸入者の氏名及び住所または居所
8.調査を行う税関職員の氏名及び所属官署

事後調査で問題があった場合はどうなる?

例えば本来納税すべき関税額等よりも低い額で申告していた場合
修正申告を勧奨される形になります。

修正申告を行うと本来払うべき関税等の追加支払いに加え
過少申告加算税、延滞税、
その他重加算税が発生する事もあります。

勧奨ですので実際に修正申告を行うかどうかは
輸入者に委ねられているという形にはなっており、
修正申告をする事は任意ではありますが
実際に誤り(非違)を税関から指摘されているわけですので
本当に修正申告を拒否してしまうと別の形で課税手続きが
待っています。

 

調査結果に対して不服を申し立てる事は可能か?

税関職員の処分が不当、違法であると考えられる場合は
不服申し立てを行う事は可能です。

しかし、修正申告を行ってしまうと、
事後調査の内容で適正であったと認めた事になりますので
修正申告後は原則不服申し立てはできません。

 

加算税の税率は?

一般的な誤り(意図的でない過少申告)の場合は
修正申告における増差税額に対し、
10%が過少申告加算税となります。

また、修正申告等により増加した税額のうち、
当初申告税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分に
対してはその超えている部分に相当する金額の5%に相当する
金額の過少申告加算税が加算されます。

更に無申告(輸入した貨物自体を税関に申告しなかった場合)の場合
無申告加算税が課され、こちらは15%となっております。

 

上記の例とは別に輸入者が悪意で書類を隠蔽、仮装、書類破棄、
輸出者と通謀して価格操作等悪質な行為があった場合は
重加算税として40%加算され、さらにこれに併科して
10年以下の懲役または1000万円以下の罰金。
双方が併科される事があり、
これにより関税等の重加算税の賦課は免除されません

 

加算税を少しでも安く済ませられないか?

本来支払うべき関税等を支払うのは当然として、
過少申告加算税の支払いは完全に予測不可能な
マイナス要素になるのでなんとか減らしたいところです。

以前までは税関から事後調査の電話連絡があった時点で
過去の書類等を引っ張り出し、事後調査前に修正申告を行うという
テクニックを使えば過少申告加算税は加算されなかったのですが
この方法が知れ渡り多くの人が使うようになったため
平成29年1月1日以降に法定納期限の来る関税等に関しては
規制が強化されており、このような手段を取っても
過少申告加算税が5%かかる事になりました。

事後調査で指摘された後の修正申告では
過少申告加算税が10%である事に対し、
指摘前の調査予告の段階で自主的に修正申告をすれば5%ですので
現在でも少しだけ加算税を少なくする事が可能です。

また、無申告加算税は税関指摘後であれば15%ですが
調査予告、指摘前であればこちらは10%に減らす事ができます。

人情に訴え謝り続けて遡及期間を少なくしてもらったり
穏便に済ませてもらったという話も聞いた事はありますが
過度な要求はやめておいたほうが無難です。

 

 

関税等過少申告加算税の見直し

※税関HPより引用

 

特恵関税適用についての調査はあるか?

一般の事後調査であっても特恵関税適用の可否、
原産地証明書の有効性や原産地規則についての調査もあります。

しかし、原産地規則に関しての有効性の判定は非常に難しい為、
一般的な事後調査とは別に
原産地調査官による原産地規則判定の為の事後調査もございます。

原産地証明書を使用して特恵関税適用の申告をしていれば
一般的な事後調査と原産地規則に関する事後調査と
2種類の事後調査があると考えておいたほうがよいでしょう。
(原産地調査は正確には事後確認と呼びます。)

私自身が通関をしていた際に
とある輸入者様は毎回原産地証明書を使用して
靴を特恵関税を適用して輸入しておりました。

通関時は特に問題なくスムーズに進みましたが
ある時通関を担当していた私に原産地調査部門から連絡があり、
〇〇という輸入者に対し、今回ランダム調査と対象となりました
ので、こちらの輸入者様の担当者様の名前と
連絡先を教えてくださいとの要求が来ました。

その後原産地調査官からの原産地規則の有効性について
事後調査が輸入者様に対してあったようなのですが
原産地規則の証明に非常に手間取って少々パニック気味でした。

このような事が無いよう日々原産地規則については勉強したほうが
良いでしょう。

ちなみにこの輸入者様の貨物は特恵関税適用国での
完全生産品でしたので安心しておりましたが、
実際は「なぜ完全生産品といえるのか」とその証明を
求められたようですので完全生産品といえども油断はできません。

 

特恵関税を適用した申告が多いのであれば
原産地規則の確認を定期的に行うべきでしょう。

特に付加価値基準のパーセンテージを原産地規則ぎりぎりで
通している場合は為替の大きな変動があれば
突然原産地規則を満たさない貨物になってしまう可能性もあります
ので注意が必要です。

このような事後トラブルを避けるためにも
原産地規則の適用は付加価値基準ではなく
関税分類変更基準を使用した方が事後調査対策に有効です。

 

原産地証明書は第三者機関(相手国の商工会議所等)を
通じて発給されますが、このような機関を通したからといって
原産地規則の判定も間違いないとのお墨付きにはなりません。

むしろこういった第三者機関の知識不足の為、
「原産地規則を満たさないもの」であるにも関わらず
「満たすもの」と誤って判断をするケースが多発しております。

原産地規則、特恵税率適用に関する事後確認の実施リーフレット

※税関HPより引用

 

 

事後調査の日程は延期できるのか?

調査の日程は輸入者と打ち合わせをして、双方の都合が合う日に設定
する事になります。

設定日の変更も協議することにより可能です。
その際は理由を説明する事になります。

例えば一時的な入院や葬式、出張などやむを得ない事情が
発生した場合等です。

 

事後調査は一日で終わる?

事後調査に要する日数はケースバイケースであり、
複数回に分けて行う事もあります。
不明点などがあれば調査は日延べになる事もあります。

また、事後調査が完了しても、その後に新たな疑義等あれば
事後調査の再開もあり得ます。

 

調査対象になった理由は教えてもらえるのか?

基本的に調査対象になった理由は教えてもらえません。
数年に一度、定期的に輸入者を選んで選択するか
疑義が発生した場合に行われるものかと思われます。

 

ディスプレイ表示での証明は可能か?

膨大なデータがある場合や印刷物を保存する事が困難な資料を
求められた場合は必ずしも印刷物ではなく
ディスプレイでの表示による証明も可能です。

 

事後調査時に税関職員に差し入れはできるか?

基本的にできません。
通関でトラブルを起こした輸出入者が税関職員にお詫びのしるしに
お菓子を持参した事がありましたが職員は受け取りませんでした。

一切こういったものは受け取りませんし、
あまり露骨にやると逆効果になると思いますので
お茶かコーヒー程度が無難かと思われます。

 

どのような理由で過少申告の指摘を受けるケースが多い?

事後調査においてよくある指摘として多いのは以下の3つです。
1.インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2.豚肉に関わる高価申告
3.輸入者が輸出者に対し、無償提供した材料の費用の申告漏れ

特に1と3は評価申告という部類に入り、
一般的な輸出入者にとっては非常に難解な内容となっており、
正直通関士であってもその判定は難しい内容です。

その為事後調査にて過少申告加算税の対象となるのは
この評価の部分が非常に大きいです。

調査官も輸入者からの送金履歴や輸出貨物の履歴を見ますので
こういった事情があればすぐに指摘を受ける事になります。

 

事後調査で指摘を受ける輸入者はどれ位いるのか?

平成27年度の関税等の申告にかかわる輸入事後調査の結果では
4,302者に事後調査を行い、申告漏れを指摘された業者は
2,977者となっており、約70%の輸入者が申告漏れを指摘され、
約150億円の関税等の追加徴収となっております。

非常に多くの割合の輸入者が申告漏れを指摘されていることから
日々の取り組みが非常に重要となっております。

 

 

輸入事後調査の状況
※財務省HPより引用

 

申告漏れの多い貨物の種類は?

平成27年度の調査によりますと
1.電気機器
2.光学機器等
3.肉類
4.機械類
5.医療用品
の順に申告漏れの指摘が多いようです。

1,2,4,5に付きましては無償貨物の提供やインボイス価格以外の
支払いが多いかと思われます。

3の豚肉については以前大きな問題になりました。
豚肉の申告は特殊でして、安い豚肉には高い関税を
高い豚肉には安い関税を課すという形になっております。

高額の豚肉と安価な豚肉の区別は1kgあたり524円以上かどうかが
基準となります。

実際に支払った額が1kgあたり524円よりずっと安いにも関わらず
故意に高価申告をして関税率を低く抑えていたという事例です。

豚肉に支払った額は高く申告する事になりますが
結果関税率が低くなる事により、
トータルでプラスになるという手口で一時新聞を賑わせておりました

過少申告する事だけが問題なのではなく
過大申告も意図的に行えば追徴課税の対象になります。

 

 

事後調査にて納付不足税額の多い品目

※財務省HPより引用

 

 

 

輸入者以外の取引先等第三者への調査は行くのでしょうか?

事後調査によって明らかにできない情報がある場合は
反面調査といって取引先等第三者への調査が行われる事もあります
基本的にその場合は相手先へ事前通知を行ってから
調査する形になります。

 

マルサの女や恐ろしい人が来るのでしょうか?

基本的に調査官はすごく丁寧で優しい人が多い印象です。
緊張した状態で待ちかまえ、拍子抜けして余計な事を喋る方が
よくいるようです。(笑)

 

通関業者や通関士は助けてくれない?

基本的に情報提供以外は助けてはくれないと考えておいてください。
事後調査の立ち合いは通関士か弁護士と定められておりますが
余程親切な通関士でなければ立ち合いまではしてくれないでしょう

通関前、通関後に関しては輸入者様自身の責任の上行われるという
認識ですので通関業者を当てにして全て丸投げは危険です。

 

申告漏れ発生原因NO.1の評価申告って?

事後調査の対策としては第一に評価申告の見直しがあります。
ここが最も申告漏れが多い部分ですので
調査では評価申告の適否について慎重に調査します。

単純に輸入貨物の代金を決済するだけの取引であれば
シンプルでわかりやすいのですが、
インボイス決済以外の支払い、無償貨物の提供はよくある事なので
こういった事があれば事前に調べる事が必要です。

 

 

 

申告漏れが生じやすい評価申告

 

 

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: QVC, 事前通知, 事後調査, 付加価値基準, 任意調査, 刑罰, 原産地規則, 原産地規則調査, 原産地証明書, 原産地調査, 原産資格割合, 品目別分類規則, 完全生産品, 延滞税, 強制調査, 検認, 無償貨物, 無申告, 無申告加算税, 申告漏れ, 税番, 税関, 罰則, 罰金, 評価申告, 調査官, 過少申告加算税, 重加算税, 間接強制, 関税, 関税分類変更基準, 関税率, 関税調査, 電話連絡z

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