• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar

関税削減.com【EPA適用HSコード解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

ボルトのHSコード分類法

最終更新日2020年7月4日 By 河副太智 Leave a Comment

EPAを活用した関税削減を検討する際に部分品のHSコードの分類先は非常に
重要な意味を持つ事があります。

最終製品の部分品であってもHSコードの分類上「何かの部分品」として
分類されるのかあるいは「材質」「個別用途」などによって分類されるのかが
非常に曖昧である事が多いのが部分品の特徴です。

本記事では世界各国の税関による事前教示回答事例からネジのHSコード
分類事例をいくつか紹介させて頂きます。

目次

  • ドイツ税関によるHSコード判断事例
  • 米国税関によるHSコード判断事例
  • 米国税関とチェコ税関での意見相違
    • チェコ税関の事例
    • 米国税関の事例
  • まとめ
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

ドイツ税関によるHSコード判断事例

登録番号 DE11518 / 16-1
税関 ハノーバー
処理年月日 2017-7-20
品名:THREADED SCREWS
HSコード:7318.15(分類当時のHSバージョン)

上記品目は第15部注2に規定される「卑金属製のはん用性の部分品」に該当するものであることからHSコード7318.15に分類されました。(全長:約41.6 mm、ねじ径:約9.1 mm)
基本的にボルト(ネジ)は7318項に分類される事が一般的です。

出典:European Commission

米国税関によるHSコード判断事例

登録番号 N057558
税関 ニューヨーク
処理年月日 2009-5-5
品名:bolt-shaped piece of zinc
HSコード:8708.80(分類当時のHSバージョン)

出典:CBP

本事例の品目は見た目は汎用性のあるボルトに見える為、先ほどのドイツ税関の
事例のようにHSコード7318.15に分類されてもよさそうですが米国税関では自動車
用部品に分類されています。

理由としてはサスペンション(懸架装置)のトーコントロールシステムに使用さ
れる事が明らかであることから通則1を適用し、項の規定に従ってHSコード8708.80
に分類される事になりました。

米国税関とチェコ税関での意見相違

自動車用ヘッドライトの位置を調整するボルト(ネジ)のHSコード分類において
米国税関とチェコ税関の間で意見相違のある事例を紹介します。

チェコ税関の事例

登録番号 CZ40-0816-2017
税関 オロモウツ
処理年月日 2017-07-21
品名: THREADED SCREWS
HSコード:3926.90(分類当時のHSバージョン)

出典:European Commission

本事例の品目は自動車ヘッドライトのLEDの高さを調節するボルト(ネジ)であり
材質はプラスチック製という事でHSコードはプラスチック製品のその他3926.90に
分類される事になりました。

本事例の別の分類候補として電気式の照明機器の部分品としてHSコード8512.90も
検討されましたが、照明そのものの機能ではないとして材質分類での判断となりました。※本事例では16部注1(g)を適用してプラスチック製の汎用品と判断している為、
本品目の材質が鉄鋼製であれば7318.15に分類されるものと考えます。

米国税関の事例

上記のチェコ税関の事例とは異なり、米国税関では自動車用ヘッドライト調整用
ボルト(ネジ)を自動車用部品として分類しています。

登録番号 HQ 086396
税関 ワシントンDC
処理年月日 1990-4-27
品名: Headlamp adjusting screw
HSコード:8708.99(分類当時のHSバージョン)

照会品目の画像はありませんが解説を読むと本品の特徴として、ネジに
ナイロン製のハウジングが取り付けられ、これらは恒久的に結合しているようです。
用途は自動車用ヘッドライトのビームを調整するためのものであり、先ほどのチェコ
税関の事例の品目と材質は異なるものの用途は同種と考えてよいと考えます。

本事例では汎用性と材質を考慮しHSコード7318も候補の一つではありましたが
最終的に自動車用部品のHSコード8708.99に分類されました。

その理由としては7318項解説(A)にある「物品の組立て又は締め付けに使用」する
ものではないという事を根拠として7318項から除外しています。

更に7318項解説(A)(c)では7318項の除外規定が設定されており、そこには
ねじ機構(伝動用その他機械の運動部分として使用されるもの。)と規定されて
いるため自動車用部品として分類する事が適切であると判断する事になり、
汎用性のある品目として分類したチェコ税関の考え方が異なります。

まとめ

HSコードの分類システムそのものは世界共通ではありますが、各国によって判断
基準が異なる事は多々あります。
個人的にEUや日本は材質分類を積極的に行う反面、米国税関は何かの部分品に分
類する事例が多いように感じます。

特に部分品に対する国家間における意見相違は顕著に発生するため、サプライチ
ェーンに与える影響は甚大です。

単純に部分品を日本に輸入する場合であれば「何かの部分品」として分類
されれば関税ゼロで輸入する事ができる場合が多いのですが、EPAを適用して
関税削減の恩恵を目的とした場合、部分品以外のHSコードに分類される方が
原産地規則を満たしやすくなるため、分類判断は情況によって有利になったり
不利になったりします。

その為各国の事前教示分類事例から分類動向を調査を行う事は製品の製造工程の
検討段階で行う事が重要と考えます。

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: HSコード, 各国税関による分類事例, 意見相違

関連記事一覧

中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)

RCEPを適用して中国からの輸入品目の関税削減を行うには複数の種類の 原産地証明書式が使用できる事が予想されます。 本記事では中国-ペルーFTAで運用されている原産品申告書の様式を紹介し 日本と中国での原産品申告書の書式 […]

コロナ対策品目のHSコード一覧

コロナ対策の為の輸出入品目のHSコードの参考一覧がWCOによって発行 されております。 コロナ対策の品目には普段扱いなれない医療品なども含まれる場合があり HSコードの分類に戸惑う事も多いかと思いますので、コロナ対策品目 […]

利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する

海外向けにネット販売を行う場合は相手方とのトラブルを回避する為に 利用規約を英語で作成する必要があります。 しかし、一般的に利用規約で使用される英語と言われてもピンと来ませんので テンプレートを探す必要があります。 検索 […]

税関審査官によって異なるHSコード分類

HSコードの分類法は通常、世界共通であると考えられますが実際矛盾する部分も 多くあります。 特に機械、自動車等の部分品の分類に関しては非常に混乱する事があります。 よくあるケースでは同じ品目を輸出しているにも関わらず、輸 […]

靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)

アメリカでHSコード: 6404.19.3960に分類される靴を輸入する場合、関税率は 37.5%になります。 (本底がゴム製、プラスチック製、革製又はコンポジションレザー製で、甲が紡織用繊維製のものに限る。) 一般的に […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Primary Sidebar


関税削減.comのニュースレターに
登録して頂くと関税削減マニュアル
pdf版(約500p)が無料になります。
解除はいつでも可能です。

関税削減マニュアルを無料で受けとる

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。



■著者:河副 太智について

■ご質問に回答します。

おすすめの記事

■日EU原産地申告書作成方法
■TPP原産品申告書作成方法
■世界の関税率を直接検索
■税関の事後調査は怖い?
■輸出国税関から調査要請
■関税評価と事後調査
■関税率の調べ方
■世界のFTA/EPA協定文を検索
■HSをネット検索する方法
■日本と海外はHSが違う?
■原産地記号一覧
■ 英語版FTA/EPA学習コース
■全記事一覧

新着記事

  • 中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)
  • コロナ対策品目のHSコード一覧
  • 利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する
  • 税関審査官によって異なるHSコード分類
  • 靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)
  • 汎用品に分類されるHSコードとサンプル画像一覧
  • 企業が安価輸入品から利益を守るアンチダンピング関税発動法
  • アンチダンピング関税で不当安価な輸入品から利益を守る
  • プラ製自動車部品のHSコードはどう分類する?
  • 日EU・EPA運用における意見相違
  • 日米貿易協定
  • EPAの仕組みを英語で解説して取引先に理解させる
  • 材質分類か用途分類か
  • HS分類の「改正」なのか分類ミスの「訂正」だったのか?
  • 小売り用セット品目のHSコード分類法
  • 関税率表解説の”通常”や”例えば”という文言の解釈
  • HS分類ミスによる追徴課税
  • 口頭事前教示申請でHSコードの分類を行う
  • 部品メーカーが直面する原産地証明への対応
  • ボルトとねじのHSコード分類法
  • ボルトのHSコード分類法
  • 生産者も日EU・EPA原産品申告書を作成できるのか
  • 原産品申告書の法人番号は英語で公表する
  • 自動車部品HSコードリスト100選
  • 「インジェクター(燃料噴射装置)」のHSコード分類法
  • 税関が敗訴したロッキングプライヤーのHSコード分類裁判
  • 自己証明で原産性立証書類を一切提出しない場合
  • 「オイルフィルター」のHSコード分類法
  • 「革製ハンドルカバー」のHSコード分類法
  • EPA検認事例(非原産ココアパウダーで特恵が否認された例)
  • EPA検認事例(非原産の添加物使用で特恵が否認された例)
  • 「車用サンシェード」のHSコード分類法
  • 「ブッシング」のHSコード分類法
  • 「清浄機用フィルター」のHSコード分類法
  • 輸出貨物のHSコードに事前教示は受けられるのか
  • 「シートベルト部分品」のHSコード分類事例
  • “車用シートカバー”のHSコードは「車シートの部分品」分類されるか
  • 「車用フロアマット」のHSコード分類事例
  • “すのこ板”のHSコードは「ベッド」の部分品に分類されるか
  • “ズーム機構”のHSコードは「カメラ」の部分品に分類されるか
  • “消火器の継手”のHSコードは消火器の部分品に分類されるか
  • EU離脱後、日EU・EPAでの関税削減はどうなるのか
  • 輸出者だけで原産地証明書の発給申請を行えるのか
  • 中古品のEPA関税削減手続き
  • EPA検認時に他の法令違反等を指摘される事はあるのか
  • インドのRCEP交渉断固反対する酪農団体
  • 中国税関での通関情況を追跡する方法
  • 中国HSコード日本語訳一覧(特殊貿易品目)
  • 中国HSコード日本語訳一覧(美術品、収集品及びこつとう)
  • 中国HSコード日本語訳一覧(雑品)

カテゴリー

  • FTA/EPA
    • CTC実例
    • RCEP
    • 原産地規則実例
    • 日EU・EPA
    • 検認、事後調査
  • HSコード
    • タリフエンジニアリング
    • 各国税関による分類事例
    • 意見相違
    • 自動車部品
    • 部分品の原産地規則
  • NEWS
  • WEB集客
  • 一般特恵関税
  • 中国
  • 未分類
  • 特殊関税
  • 解説書
  • 貿易通関統計
  • 通関英語
  • 関税法
  • 関税評価

旧HS2002,2007,2012へ変換

Copyright © 2021関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。