• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar

関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

「ブッシング」のHSコード分類法

最終更新日2020年6月25日 By 河副太智 Leave a Comment

「ブッシング」のHSコード分類は構造や材質によって、当該「材質その
ものに該当するHSコード」や、「特定の機器の部分品」など複数の分類
先があります。

用途は同じであるにも関わらず、複数のHSコードに分類されてしまうと
分類する側に混乱を生じさせてしまうという問題やサプライチェーン上
でのEPAを適用した関税削減への悪影響が考えられます。

そこで、本記事では「ブッシング」のHSコード分類事例を種類別に紹介し、
様々な事例を通じてHSコード分類先の手がかりになる情報をお伝えします。

目次

  • 日本税関によるHSコード判例
    • 日本税関判例:自動車用ブッシング部品
    • 日本税関判例:ブッシング用内筒
  • 諸外国税関によるHSコード判例
    • ドイツ税関判例: サブフレーム用ブッシング
    • ドイツ税関判例: アルミチューブ
  • HSコード分類最終見解
  • 関税削減の為の戦略的HSコード分類
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

日本税関によるHSコード判例

「ブッシング」のHS分類判例の一部を紹介します。
(※本記事中の「判例」とは裁判所の判決ではなく税関による「判断事例」を指します。)

日本税関判例:自動車用ブッシング部品

登録番号 110005335
税関 名古屋
処理年月日 2010-11-19
アルミニウム管(自動車用ブッシング部品)
HSコード:8708.80(分類当時のHSバージョン)

貨物概要:
自動車用ブッシング用に端面を加工したアルミニウム管
製法:特注のアルミニウム引抜管を切断し、切削、面取加工後、両端面に
セレーション加工(7条の溝加工)を施す。
性状:外径-直径32mm+-0.1mm 内径-直径14.2mm+0.1mm
/-0.05mm 全長90.5mm-0.05mm/-0.2mm 端面-円形溝
7本、溝幅0.15mm~0.4mm、深さ0.1mm 締結時の座屈防止の
ため端面の平面面積2/3を確保
材質:アルミニウム合金(JIS A6061-T6)
機能:ブッシングの構成品。両端面加工により、ボルト締結時の負荷により
ボルトとの接地面(山)が許容範囲内(端面表層部)でとどまり座屈変形を
防止する。
用途:自動車後輪部のトレーリングアームのブッシングの内筒として使用する。

分類理由:
本品は、アルミニウム合金製の管を特定の長さに切断したものであるが、その
両端面に、セレーション加工(溝加工)による切込みを入れることにより、自
動車用のブッシング構成品として作り上げた管である。 したがって、本品は、
関税率表第17部注3、同表解説第17部総説(III)「部分品及び附属品」
(a)~(c)を満たすことから、同表第87.08項及び同表解説第87.
08項の規定により、上記のとおり分類する。

出典:税関事前教示事例を一部加工して作成

見解:
上記事例を見ますとアルミの管の両端面に、セレーション加工(溝加工)に
よる切込みがあるという点で自動車用のブッシング構成品としての特徴が認
められ、懸架装置及びその部分品のHSコード8708に分類されました。

 

日本税関判例:ブッシング用内筒

登録番号 110003481
税関 名古屋
処理年月日 2010-08-16
アルミニウム製品(ブッシング用内筒)
HSコード:7608.20(分類当時のHSバージョン)

貨物概要:
自動車用後輪サスペンションメンバーのブッシング用に加工したアルミニ
ウム製品
製 法:特注のアルミニウム引抜管を切断し、両端を切削、外径及び内径に
面取加工を施す。
材 質:アルミニウム合金(鉄0.4~0.8%、けい素0.7%含有)
(JIS A6061-T6) 性 状:外径;直径40mm ±0.2mm 内径
;直径28.5mm +0.2mm/-0.15mm 全長;82.4mm ±
0.15mm 座屈強度;HV148KN以上 用 途:自動車後輪サスペン
ションメンバーの車体との接続部のブッシング用内筒として使用する。
包 装:50個/内箱×12箱×8段/マスターカートン
その他:輸入後、国内で外筒に内筒を入れ、間を加硫ゴムで加工し、
ブッシングとして完成する。

分類理由:
本品は、アルミニウム合金製の管状の物品で、自動車後輪サスペンション
メンバーの車体との接続部のブッシング用内筒として使用される物品であるが、
加工程度は管を短く切り、面取り加工を施しただけの単純な形状のものである
ことから、関税率表第76類注1(e)に規定する管と認められる。 したがって
、本品は、同表第76.08項及び同表解説第76.08項の規定によりアルミ
ニウム製の管として、また、号の決定にあたっては、同表第76類号注1(b)
の規定によりアルミニウム合金のものとして、上記のとおり分類する。
なお、本品はその性状からアルミニウム合金製の管と認められるものであり、
同表第17部解説総説(III)(c)の条件を満たしていないことから、
自動車用の部分品として同表第87.08項には分類されない。

出典:税関事前教示事例を一部加工して作成

見解:
本事例は先ほどの登録番号 110005335の事例とは異なり、用途はほぼ同じですが
アルミニウム製の管を切って面取り加工を施しただけであり、ここに更なる加工
を経て初めてブッシングとして完成する事から、特定の品目の部分品としてでは
なく、材質そのものを根拠としてアルミニウムの管としてHSコード7608.20分類
されました。

諸外国税関によるHSコード判例

ドイツ税関判例: サブフレーム用ブッシング

登録番号 DE16712/14-1
税関 ドイツ
処理年月日 2015-04-09
一般的品名 subframe bushing
HSコード 8708.80(分類当時のHSバージョン)

高さ75.7 mm、直径69.9 mmの円筒形のブッシング

出典:European Commission

サスペンションシステムの部分品としての利用が明らかである為、懸架装置及びその
部分品ではるHSコード8708に分類されました。

ドイツ税関判例: アルミチューブ

登録番号 DE7472/14-1
税関 ドイツ
処理年月日 2014-06-10
一般的品名 ALUMINIUM TUBES
HSコード 7608.20(分類当時のHSバージョン)

全長約360 mmの中空シリンダーで、外径は約40 mm。

出典:European Commission

本事例の実際の用途は不明ですが、ブッシングの製造を目的とした加工前の
アルミ管であった場合は現時点で何かしらの部分品に分類される事は無く、
材質そのものを根拠としてアルミニウムの管としてHSコード7608.20分類され
ることになります。

HSコード分類最終見解

上記事例を見ると品目が何かしらの装置の部分品のHSコードに分類されるか、
あるいはその材質を基にしたHSコードに分類されるかはその加工度合いによ
って変わるようです。
両者を明確に分ける基準は輸入税関の判断にゆだねられている為、上記の
ような税関判例を多く参考にする必要があります。

※本記事による各国の品目分類事例は参考のためのものであり、
一切の法的効果や税関の判断を拘束するものではありません。

関税削減の為の戦略的HSコード分類

EPA非締約国から”アルミ管”を調達し、
EPA締約国Aにて「ブッシング」を完成させ、
EPA締約国Bに輸出する場合は”アルミ管”と「ブッシング」のHSコードの
分類先によって関税削減の対象になるかどうかが決まります。
(※CTCの場合)

このようにしてEPA締約国である輸出先との間で締結しているEPAの規
則に沿って製造工程を検討し、かつ輸入国の税関がそれぞれの部分品と
最終製品のHSコード分類先をどう判断するか、交渉の余地はあるのか等
を考慮する事により、効率的な関税削減が実現できます。

一つの国の判断に縛られる事なく、世界の税関の判断事例を広く
把握する事がEPAを適用した関税削減に重要な考え方になります。

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: 各国税関による分類事例, 自動車部品

関連記事一覧

ニッケルの粉の関税を削減する実例

FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース 導入 輸入者Aは、FTA締約国である英国からニッケル粉末を輸入することを検討しています。ニッケル粉末は、非締約国から調達された原材料を使用して英国で製造されていま […]

靴の関税を削減する実例

FTAを使用した関税削減の可能性 輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達 […]

飴の関税削減事例

  事例 輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。 当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調 […]

インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介

インドとの貿易取引を行う場合、輸出入規制やHS分類、FTA/EPA等において 悩む事が多い事かと存じます。 他の国々と比較してインドの制度はわかりにくい部分も多く様々な混乱が発生する為、 情報収集をしたところ、非常に誠実 […]

バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧

HS:4202.11 – トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 –外面が革製又はコンポジションレザー製のもの HS:4 […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Primary Sidebar

  Linkedinはこちら  

関税削減.comのニュースレターに
登録して頂くと関税削減マニュアル
pdf版(約500p)が無料になります。
解除はいつでも可能です。

関税削減マニュアルを無料で受けとる

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。



■著者:河副 太智について

■ご質問に回答します。

おすすめの記事

■日EU原産地申告書作成方法
■TPP原産品申告書作成方法
■世界の関税率を直接検索
■税関の事後調査は怖い?
■輸出国税関から調査要請
■関税評価と事後調査
■関税率の調べ方
■世界のFTA/EPA協定文を検索
■HSをネット検索する方法
■日本と海外はHSが違う?
■原産地記号一覧
■ 英語版FTA/EPA学習コース
■全記事一覧

新着記事

  • ニッケルの粉の関税を削減する実例
  • 靴の関税を削減する実例
  • 飴の関税削減事例
  • インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介
  • バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧
  • 3DアートペンのHSコードは8516か8477のどちらに分類?
  • ローラースケートプロテクターのHS分類は付属品になるのか
  • ケース、箱、容器のHSコード分類法
  • 吊り棚のHSコードは9403(家具) か 6307(繊維製品)か?
  • 税関事後調査情報は税務署にも繋がっている
  • 税関事後調査でEPA適用が取り消されるケース
  • 税関事後調査でHSコードの誤りから追徴課税になるケース
  • おもちゃのHSコードはどう決まる?(貯金箱の事例)
  • 税関から「会社概要の照会について」が来たら要注意
  • 税関から「会社概要のお伺い」が来たら要注意
  • 税関から「会社概況調査のご案内」が来たら要注意
  • トレッキングポールは「杖」HS:6602に分類される?
  • 元税関職員が語る事後調査を回避する方法
  • 過去の税関輸入事後調査の状況
  • RCEP詳細
  • プールラウンジャーのHSコード分類判例
  • 自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
  • 部分品と付属品の定義
  • 小売用セットか分離課税か?(オーディオアクセサリー)
  • 国によって異なるHSコード分類解釈
  • コロナ関連医療機器のHSコード一覧
  • 日EU・EPAでREXナンバーの記載は必要か
  • 化学品HSコード分類フローチャート
  • 有機化合物の化学式画像によるHSコード分類表
  • 通商法301の追加関税対象製品をHSコードで検索
  • 中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)
  • コロナ対策品目のHSコード一覧
  • 利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する
  • 税関審査官によって異なるHSコード分類
  • 靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)
  • 汎用品に分類されるHSコードとサンプル画像一覧
  • 企業が安価輸入品から利益を守るアンチダンピング関税発動法
  • アンチダンピング関税で不当安価な輸入品から利益を守る
  • プラ製自動車部品のHSコードはどう分類する?
  • 日EU・EPA運用における意見相違
  • 日米貿易協定
  • EPAの仕組みを英語で解説して取引先に理解させる
  • 材質分類か用途分類か
  • HS分類の「改正」なのか分類ミスの「訂正」だったのか?
  • 小売り用セット品目のHSコード分類法
  • 関税率表解説の”通常”や”例えば”という文言の解釈
  • HS分類ミスによる追徴課税
  • 口頭事前教示申請でHSコードの分類を行う
  • 部品メーカーが直面する原産地証明への対応
  • ボルトとねじのHSコード分類法

カテゴリー

  • FTA/EPA
    • CTC実例
    • RCEP
    • 原産地規則実例
    • 日EU・EPA
    • 検認、事後確認
  • HSコード
    • HS分類判例
    • タリフエンジニアリング
    • 各国税関による分類事例
    • 意見相違
    • 自動車部品
    • 部分品の原産地規則
  • NEWS
  • WEB集客
  • ツール
  • 一般特恵関税
  • 中国
  • 未分類
  • 特殊関税
  • 税関事後調査
  • 解説書
  • 貿易通関統計
  • 通関英語
  • 関税法
  • 関税評価

旧HS2002,2007,2012へ変換

Copyright © 2025関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。