• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar

関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

“継手”のHSコードは機器の部分品に分類されるか(加湿器の例)

最終更新日2019年12月7日 By 河副太智 Leave a Comment

「加湿器(HS8509.80)」を製造する際に使用するプラスチック製の
“継手”をEPA非締約国から調達する場合に、完成品である「加湿器」
が輸出先において関税削減の対象となる「締約国の原産品」として
みなされるかどうかという点について当該”継手”のHSコードが
「加湿器」の部分品になるかどうかを検討してみます。

↓家庭用「加湿器」本体(HS8509.80)

写真番号1

↓「加湿器」部品の”継手”

Bildnummer 1

出典:EU TAXATION AND CUSTOMS UNION

目次

  • HSコード分類の際に検討する問題点
  • 通則と部注の規定からHSコードを特定
  • 関税監査官による事前教示
  • 部分品として分類された事例
  • EPA関税削減の為の関税分類変更基準
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

HSコード分類の際に検討する問題点

HSコード8509.80に分類される「家庭用加湿器」の場合、”継手”が
当該「加湿器」の部分品となれば同じ項である8509に分類される
可能性があります。

当該”継手”は製品である「加湿器」に設置するように設計されたもの
であるため、対比表を作成するEPA担当者がこれを「加湿器の部分品」
として分類してしまうとHSコードの項(4桁)が共通となってしまい、
HSコードの分類方法の誤りによって自ら関税削減の恩恵を手放す事態
も考えられます。

誤った分類をしてしまうと関税分類変更基準(CTC)において不利な分類
となってしまい、本来原産地規則を満たすものを満たさないと判断し、
関税削減の目的を達成できなくなる恐れがあります。

HSコードの分類において部分品の分類は非常に複雑である為、本事例の
場合は当該”継手”が「加湿器」の部分品であるHS8509.90に分類されるか
どうかについて更に深く検討してみる必要があります。

 

通則と部注の規定からHSコードを特定

当該プラスチック製の”継手”が「加湿器」の部分品になるかどうかは
「加湿器」のHSの属する16部の注規定を確認します。

16部の注1には

この部には、次の物品を含まない。

という除外規定があり、その中の(g)に以下のような定義があります。

第 15 部の注2の卑金属製のはん用性の部分品(第 15 部参照)及びプラスチック製のこれに類する物品(第 39 類参照)

 

15 部の注2で規定されている「はん用性の部分品」に類するプラス
チック製の物品はここから除かれると読めますので次は15部の注2を
確認します。

すると「はん用性の部分品」とはHSでいうと7307,7312,7315,7317,7318の物
と定義されておりますのでHS7307から順に「はん用性の部分品」とは何か
を調べていく必要があります。

これがなかなかしんどい作業なのですが運良く一番最初の7307で
お目当ての品名を発見できました。

現在参照しているHSは非金属製品ではありますが、15 部の注2で規定
されている「はん用性の部分品」に類するプラスチック製の物品が
16部から除かれるという定義となっておりますので、”プラスチック
製の継手”は16部のHS8509.90には分類されないという結論になります。

 

関税監査官による事前教示

このような”継手”の品目分類は日本税関の事前教示に照会事例があり、
「加湿器」の部分品には分類されず、HSコード3917.40 の「継手」に
分類されました。

登録番号 116005576
税関 東京
処理年月日 20161129
一般的品名 プラスチック製の継手
税番 3917.40-000

貨物概要
加湿器とチューブを接続するプラスチック製継手

材質:ABS樹脂
構造:ねじを切ったL字の管で、チューブに接続できるように
凹凸が付いている
用途:加湿器とチューブを接続する
分類理由
本品は、プラスチック製の継手であり、関税率表第39.17項
及び同表解説第39.17項の規定により、上記のとおり分類する。

部分品として分類された事例

上記の例とは逆にプラスチック製の部品(“中蓋”)であっても本体の
部分品として分類される事例もございます。

本事例はHS8479.89に分類される大型の工業用加湿器の部分品(プラ
スチック製の中蓋)で製品の形状にあてはまるよう成型した物です。

本品に関しては先ほどの16部の注規定の規定において16部から除外されず、
「加湿器」に対して専ら又は主として使用する部分品として分類され
た事例となっております。

登録番号 118000203
税関 神戸
処理年月日 20180129
一般的品名 加湿器の部分品
税番 8479.90-000
貨物概要
加湿器の部分品(中蓋)
材 質:プラスチック
性 状:特定形状に成形したもの
サイズ:幅147mm×奥行147mm×高さ66mm
用 途:加湿器の中蓋として使用する
機 能:外部からの異物混入を阻止し、噴霧口(上蓋)を保持する
分類理由
本品は、加湿器に使用されるプラスチック製の中蓋として照会の
あった物品である。 本品が使用される加湿器は、圧電セラミックの
振動子に高周波の交流電圧を加え、次亜塩素酸を主成分とした水の
微粒子を発生させ送風ファンにより噴霧する超音波式ミスト噴霧器
であることから、固有の機能を有する機械として、関税率表第84.
79項に分類されるものである。 本品は、その性状等から、当該加
湿器に専ら又は主として使用する部分品と認められることから、同
表第16部注2(b)、同表第84.79項及び同表解説第84.
79項の規定により、上記のとおり分類する。

 

つまり”継手”は部分品として分類されませんが、”中蓋”は部分品として
分類されたという事になります。(形状等により変動あり)
この為、上記事例ではEPA非締約国から”継手”を調達しても関税削減は
可能ですが、”中蓋”を調達して最終製品を製造すると原産地規則を満た
さず、関税削減ができないという事態に陥る可能性が考えられます。

EPA関税削減の為の関税分類変更基準

関税分類変更基準においては非原産材料のHSコードと製品のHSコードは
できるだけ離れている方が原産地規則を満たしやすくなります。

本事例の場合、締約国での加工によって39類から85類にHSコードの頭2桁
が変更となる為、特恵関税率を適用するための関税分類変更基準を満たし
やすいと考えますが、”継手”を「加湿器」の部分品として
HS8509.90に分類してしまうとHSの項(頭4桁)は共通となってしまうため、
関税分類変更基準において不利になる可能性があります。
その為、最終製品の部分品のHSコードに分類されるのかどうか、他の類
への分類される余地の有無を検討する事は関税削減において非常に重要です。

また、”中蓋”の事例のようにどうしても「部分品からの離脱」ができない
品目もありますので、その場合は原産地規則を満たす方法での調達方法を
検討する必要があります。

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: 部分品の原産地規則

関連記事一覧

ニッケルの粉の関税を削減する実例

FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース 導入 輸入者Aは、FTA締約国である英国からニッケル粉末を輸入することを検討しています。ニッケル粉末は、非締約国から調達された原材料を使用して英国で製造されていま […]

靴の関税を削減する実例

FTAを使用した関税削減の可能性 輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達 […]

飴の関税削減事例

  事例 輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。 当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調 […]

インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介

インドとの貿易取引を行う場合、輸出入規制やHS分類、FTA/EPA等において 悩む事が多い事かと存じます。 他の国々と比較してインドの制度はわかりにくい部分も多く様々な混乱が発生する為、 情報収集をしたところ、非常に誠実 […]

バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧

HS:4202.11 – トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 –外面が革製又はコンポジションレザー製のもの HS:4 […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Primary Sidebar

  Linkedinはこちら  

関税削減.comのニュースレターに
登録して頂くと関税削減マニュアル
pdf版(約500p)が無料になります。
解除はいつでも可能です。

関税削減マニュアルを無料で受けとる

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。



■著者:河副 太智について

■ご質問に回答します。

おすすめの記事

■日EU原産地申告書作成方法
■TPP原産品申告書作成方法
■世界の関税率を直接検索
■税関の事後調査は怖い?
■輸出国税関から調査要請
■関税評価と事後調査
■関税率の調べ方
■世界のFTA/EPA協定文を検索
■HSをネット検索する方法
■日本と海外はHSが違う?
■原産地記号一覧
■ 英語版FTA/EPA学習コース
■全記事一覧

新着記事

  • ニッケルの粉の関税を削減する実例
  • 靴の関税を削減する実例
  • 飴の関税削減事例
  • インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介
  • バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧
  • 3DアートペンのHSコードは8516か8477のどちらに分類?
  • ローラースケートプロテクターのHS分類は付属品になるのか
  • ケース、箱、容器のHSコード分類法
  • 吊り棚のHSコードは9403(家具) か 6307(繊維製品)か?
  • 税関事後調査情報は税務署にも繋がっている
  • 税関事後調査でEPA適用が取り消されるケース
  • 税関事後調査でHSコードの誤りから追徴課税になるケース
  • おもちゃのHSコードはどう決まる?(貯金箱の事例)
  • 税関から「会社概要の照会について」が来たら要注意
  • 税関から「会社概要のお伺い」が来たら要注意
  • 税関から「会社概況調査のご案内」が来たら要注意
  • トレッキングポールは「杖」HS:6602に分類される?
  • 元税関職員が語る事後調査を回避する方法
  • 過去の税関輸入事後調査の状況
  • RCEP詳細
  • プールラウンジャーのHSコード分類判例
  • 自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
  • 部分品と付属品の定義
  • 小売用セットか分離課税か?(オーディオアクセサリー)
  • 国によって異なるHSコード分類解釈
  • コロナ関連医療機器のHSコード一覧
  • 日EU・EPAでREXナンバーの記載は必要か
  • 化学品HSコード分類フローチャート
  • 有機化合物の化学式画像によるHSコード分類表
  • 通商法301の追加関税対象製品をHSコードで検索
  • 中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)
  • コロナ対策品目のHSコード一覧
  • 利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する
  • 税関審査官によって異なるHSコード分類
  • 靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)
  • 汎用品に分類されるHSコードとサンプル画像一覧
  • 企業が安価輸入品から利益を守るアンチダンピング関税発動法
  • アンチダンピング関税で不当安価な輸入品から利益を守る
  • プラ製自動車部品のHSコードはどう分類する?
  • 日EU・EPA運用における意見相違
  • 日米貿易協定
  • EPAの仕組みを英語で解説して取引先に理解させる
  • 材質分類か用途分類か
  • HS分類の「改正」なのか分類ミスの「訂正」だったのか?
  • 小売り用セット品目のHSコード分類法
  • 関税率表解説の”通常”や”例えば”という文言の解釈
  • HS分類ミスによる追徴課税
  • 口頭事前教示申請でHSコードの分類を行う
  • 部品メーカーが直面する原産地証明への対応
  • ボルトとねじのHSコード分類法

カテゴリー

  • FTA/EPA
    • CTC実例
    • RCEP
    • 原産地規則実例
    • 日EU・EPA
    • 検認、事後確認
  • HSコード
    • HS分類判例
    • タリフエンジニアリング
    • 各国税関による分類事例
    • 意見相違
    • 自動車部品
    • 部分品の原産地規則
  • NEWS
  • WEB集客
  • ツール
  • 一般特恵関税
  • 中国
  • 未分類
  • 特殊関税
  • 税関事後調査
  • 解説書
  • 貿易通関統計
  • 通関英語
  • 関税法
  • 関税評価

旧HS2002,2007,2012へ変換

Copyright © 2025関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。