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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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河副太智

インドネシアでの関税削減と輸入規制調査に便利な”INTR”

最終更新日2019年12月5日 By 河副太智 Leave a Comment

インドネシア向け貨物に対する関税削減や規制法令を把握する場合は
インドネシアシングルウィンドゥ”INSW“内のINTR(Indonesia National
Trade Repository)の利用をお勧めします。

INSWは、輸出入の流れを管理する税関や政府官庁、港湾管理者、輸出
入業者・通関業者・船会社などが利用し、通関手続きを一元的に処理
する機能を持ちます。

INSWでは関税や関税以外の法令等に関わる情報としてINTRという機能
をユーザーに提供しており、輸出入品のHSコードごとに、関税率、
EPA関税率、輸入規制等の情報が簡潔に掲載されており、非常に便利です。

INTR使用方法

INSWのページにある”Indonesia NTR”を選択

青枠の”HS Code Information”からはHSコードをベースとして関税率や
特恵関税率、その他規制法令を調べる事ができます。
赤枠の”Rules Of Origin Repositry”からは原産地規則の検索が可能となって
おります。

 

↓MFN税率の表示

 

↓HS別にインドネシアが締結している各EPAごとの特恵関税率一覧

 

↓インドネシア輸入規制一覧

LARTAS IMPOR – BORDERは輸入通関時の関わる規制で
TATA NIAGA – POST BORDERは輸入通関後の監査等に関わる規制となります。

 

INTR はあくまでも簡易検索ツールであるため、最新法令のアップデートが
完全に網羅されているとは言えない為、実際に貨物を動かす際は輸入者側
によるインドネシア税関への照会や法令原文を確認する必要があります。

詳しい利用方法はJETRO資料が参考になります。

Filed Under: FTA/EPA

魔法瓶の関税削減事例

最終更新日2019年12月3日 By 河副太智 Leave a Comment

日本で製造した「魔法瓶」をタイ向けに輸出する場合に、どのような
サプライチェーンを組む事によってタイでの関税削減を実現できるのか
実例を紹介します。

本事例ではタイでの関税削減を目的とする為、日タイEPAを適用して
輸出する事が前提となります。

製品の構成とHSコード

最終製品である「魔法瓶」のHSコードは9617.00に分類され、当該品目
を製造する際にEPA非締約国から調達した部分品を使用しています。

「魔法瓶」のHSコード9617.00に対する「日タイEPA品目別原産地規則」の
関税分類変更基準(CTC)は”CTH(項、HS頭4桁の変更)”と規定されている為、
使用する非原産材料のHSコードが「魔法瓶」のHSコードと頭4桁が異なれば
非原産材料を使用していてもEPA協定上の原産品としてみなされて、
関税削減が可能になります。

「魔法瓶」を製造する際に使用する非原産材料は以下の通りです。
①フタ
②ゴムパッキン
③ガラス製内部容器

上記の①から③のHSコードそれぞれが「魔法瓶」のHSコード9617.00と
頭4桁が異なれば日タイEPA上の原産品とみなされます。

そこでまずは「魔法瓶」のHS分類の規定を確認すると以下のように定義
されております。

 

これを見るとHSコード9617.00に分類されるのは「魔法瓶」だけでなく
「魔法瓶の部分品」もこのHSコードに分類される事になります。

その為、もし先ほどの非原産材料の①から③が「魔法瓶の部分品」に
分類されてしまうと日本国内で部品に対し、どのように加工をしたと
しても、HSコードに変化が出ない為、日タイEPA上での原産品とはみ
なされないという事になります。

そこでどのような部分品が「魔法瓶の部分品」としてみなされるのか
部分品の範囲が問題となります。

 

部分品の構成とHSコード

「魔法瓶」のHS9617.00の規定には「ガラス製の内部容器」は部分品
に含まれないとなっておりますので、非原産材料として使用する
「ガラス製の内部容器」は「その他のガラス製品」であるHSコード
7020.00に分類する事により品目別原産地規則を満たします。

そこでフタとゴムパッキンの分類先がポイントになります。

 

↓フタ

 

↓ゴムパッキン

 

上記のようにフタとゴムパッキンは形状が「魔法瓶」に適合するように
製造されています。その為「魔法瓶の部分品」の定義を確認する為に
9617項の解説を確認すると以下のような定義があります。

 

この項には、次の物品を含む。
(2)外部ケース、ふた及びカップ:金属、プラスチック等から作り、
魔法瓶その他の真空容器に使用するもの

 

この規定によりフタは「魔法瓶の部分品」としてHSコード9617.00に
分類され、ゴムパッキンも「~等から作り、魔法瓶に使用するもの」
にある「等」という文言によってゴム製もここに含まれるとされ、
「魔法瓶の部分品」としてHSコード9617.00に分類されると解します。

 

各品目と原産地規則上の種別を表にすると以下のようになります。

 

最終製品「魔法瓶」のHSコード 9617.00
日タイEPA品目別原産地規則“CTH”(4桁変更)
構成品名原産性原産地規則構成材料のHSコード
フタ非原産CTCを満たさない9617.00
ゴムパッキン非原産CTCを満たさない9617.00
ガラス製内部容器非原産CTCを満たす7020.00

フタとゴムパッキンの2点は最終製品「魔法瓶」のHSコードと
同じHSに分類される事になるので、これらを使用して日本国内にて
どのように高度な加工を施しても日本の原産品としてはみなされない
事になり、このままでは原産地規則を満たさず、タイ側での特恵関税
適用は不可となります。

 

部分品HSコードからの離脱

本事例の場合、タイでの輸入時に関税削減を実現するにはフタとゴム
パッキンのHSコードを「魔法瓶の部分品」から離脱させ、HSコードを
材質で分類し、フタのHSコードを3923.50「栓、ふた、キャップ…」に
分類し、パッキンのHSを4016.93「その他のシール」に分類する事が
できればCTCを満たす事になり、タイでの関税削減が可能になる為、
それぞれ離脱先である39類と40類の規定を確認してみます。

まず、39類注の規定2の除外規定を確認しますと⒵ で以下のように
規定されています。

この(z)に列挙されている品目はそもそも39類からは除かれるという
規定になりますので魔法瓶に使用するフタは残念ながら「魔法瓶の部
分品」から離脱はできないという事になります。

 

また、40類注の規定2の除外規定を確認しますと(e) で以下のように
規定されています。

この(e)に列挙されている品目はそもそも40類からは除かれるという
規定になりますので96類に属する魔法瓶に使用するパッキンも「魔法
瓶の部分品」から離脱はできないという事になります。

これにより本事例の場合は「部分品からの離脱」は実現できません
のでCTCルールを満たさないという事になります。

しかし、ここで諦めずに他の方法を検討して何とか原産地規則を満た
す事ができないか検討してみます。

他の手段で原産地規則を満たす

本事例は非原産材料を使用して日本で製造した製品をタイ向けに
輸出し、タイ側での関税削減が目的となる事から「日タイEPA」だけ
ではなく他のEPAを適用して関税削減が実現できないかを考えます。

まず、非原産材料であるフタとパッキンの原産国を特定し、その
国を絡めたEPAが無いかどうかを確認します。

本事例で出てきた非原産材料であるフタとパッキンの原産国を
調査したところ「ベトナム産」である事が判明しましたので
サプライヤー証明書を準備した後に再度EPA適用の方法を検討します。

候補として挙がった方法が「日タイEPA」の適用を見送り、「日アセ
アンEPA」を適用して日本からタイに向けて輸出し、ベトナム産であ
る非原産材料を「日アセアンEPA」の「累積」規定を適用し、ベトナ
ム産のフタとパッキンを「日アセアンEPA」上の原産材料としてみな
すという方法です。

このように適用するEPAそのものを変更して原産地規則を満たす場合
は他のEPAに変更する事によって品目別原産地規則や特恵関税率がど
のように変化するかを入念に調査する必要があります。

幸い日本からタイに向けて輸出する場合は「日タイEPA」であろうが
「日アセアンEPA」であろうが品目別原産地規則も特恵関税率も変わ
らないという事が判明したのでベトナム産材料を原産品としてみなせ
る「累積」規定が適用できる「日アセアンEPA」が関税削減において
圧倒的に有利であるという事が判明しました。

 

このような複数のEPAの比較については以下の
RULES OF ORIGIN FACILITATORによる調査が有効です。
※最終決定は必ず条文を確認して下さい。

 

これにより原産地規則上の種別の表は以下のように変わります。

最終製品「魔法瓶」のHSコード 9617.00
日アセアンEPA品目別原産地規則“CTH”(4桁変更)
構成品名原産性原産地規則構成材料のHSコード
フタベトナム累積9617.00
ゴムパッキンベトナム累積9617.00
ガラス製内部容器非原産CTCを満たす7020.00

 

これによりベトナム産原料を使用して日本にて製造された「魔法瓶」
は無事にタイにおいて「日アセアンEPA」上の原産品とみなされ、
関税削減が可能となりました。

 

本事例から学ぶこと

本事例ではまず非原産材料が完成品と同じHSコードに分類された事
からCTCルールを満たさず躓いてしまいましたが、「部分品からの離脱」
を試みる事は非常に重要です。

「部分品」に分類されるかどうかという部分は審査官の考え方に大きく
左右される分野でもあるので解釈の仕方によっては「部分品」以外に
分類(※材質分類等)される事も多くありますので、事前に輸入国税関
と協議を行い、「部分品からの離脱」が可能かどうかを深く追求する
姿勢は非常に重要です。

本事例では残念ながら「部分品からの離脱」は実現できませんでしたが
思い切って他のEPAに切り替える事によって非原産材料を原産材料と
みなせる「累積」を適用する事によってうまく問題を切り抜ける事が
できました。

このような対処法は税関や商工会議所から積極的なアドバイスを期待
する事は難しいかと思いますので(担当者によりますが…)常に原産地
規則についての情報を収集する事が重要かと考えます。

Filed Under: CTC実例

家庭用機器と加工機械のHSコード分類(3Dペンの事例)

最終更新日2019年11月30日 By 河副太智 Leave a Comment

HSコードの分類は絶対的なものではなく、審査する人の考え方に
よって変動する事が多く、国によって分類先が異なる事も多々
あります。

今回は米国税関CBPにおける「3Dペン」の分類事例について紹介
させて頂きます。

上記のような「3Dペン」は主に子供を対象とした家庭内で使用される
機器で、プラスチック原料を電熱で溶かして様々な形を創作する事
ができます。

米国税関(CBP)は2013年12月18日に当該機器の対する事前教示において
本品は家庭用で使用する物として「家庭用電熱機器(HS:8516.79)」に
分類しました。事前教示番号:N248177

しかし、その後5年ほどが経過した2019年10月7日、米国税関(CBP)は上記
決定を変更し、「プラスチックを材料とする物品の製造機械(HS:8477.80)」
に分類すると発表しました。事前教示番号: H293445

変更の理由は「家庭内で使用される機器ではあるが、商用環境や
教育現場でも使用できる事から”家庭内”に限定する必要はない」という
ことでHSコード8477項の規定「プラスチックを材料とする物品の製造
機械」が最も適していると判断したようです。

本来この製品は子供が家庭内で使用する事だけが想定されていて、
その後に建築デザイン、アートデザイン、ものづくり、プラスチック部品
の修理・接着、教育、各種アイデアの展示といった分野への可能性が
見出されたのかもしれません。

そうであれば「家庭用電熱機器(HS:8516.79)」から「プラスチックを材料と
する物品の製造機械(HS:8477.80)」へのHSコード分類の変更は時代と共に
変化する人間の認識に対して相対的に変動する面もあると考える事ができ
るのではないでしょうか。

このような現象を目の当たりにすると関税削減におけるHSコードの分類に
おいては書面による事前教示が非常に重要であると痛感します。

Filed Under: HSコード, 意見相違

車用アームレストのHSコードは附属品になるか

最終更新日2020年2月6日 By 河副太智 Leave a Comment

自動車用アームレストを製造する際に使用するプラスチック原料等を
EPA非締約国から調達する場合に、完成品である車用アームレストが
輸出先において関税削減の対象となるEPA締約国の原産品としてみな
されるかどうかという点について当該車用アームレストのHSコード
が自動車の附属品になるかどうかを検討します。

Hyundai 84660-2W100-RYN ARMREST ASSEMBLY-CONSOLE

出典:hyundaipartsdeal.com

HSコード分類の際に検討する問題点

車用アームレストのHSコードが自動車付属品である8708.29となる場合、
非締約国から調達した「プラスチック原料」から加工して製造されて
いればHS39からHS87へと変更されている事になる為、原産地規則を
満たしやすいと考えます。

しかし以下の「プラ製自動車内張品取付具のHSコードは部分品になるか」
という記事にてプラスチック製の自動車部分品はHS3926.30に分類される
場合もあるという事例を紹介させて頂きました。

プラ製自動車内張品取付具のHSコードは部分品になるか

そこで車用アームレストがHS8708.29の自動車付属品に分類されるのか
HS3926.30のプラスチック製自動車部分品に分類されるのかを検討
してみます。

 

通則と部注の規定からHSコードを特定

当該「車用アームレスト」が自動車の付属品になるかどうかは
自動車附属品のHSの属する17部の注規定を確認します。

17部の注2には

「部分品」及び「部分品及び附属品」には、次の物品を含まない。

という除外規定があり、その中の(b)に以下のような定義があります。

プラスチック製のこれに類する物品(第 39 類参照)

 

 

この規定を見ると例え自動車専用の部品であってもそれがプラスチック製
である場合は自動車部品のHSの属する17部からは除外される場合もあり得
るという事になります。

そこで39類の分類を確認すると「自動車用の取付具」という分類を見つけ
る事ができます。

 

しかし、車用アームレストは取付具とは異なりますので、この39類には
属さないと考えるのが自然かと考えます。

 

次に、第17部総説(III)を見ると以下のような品目は
17部の自動車付属品に分類されないとする除外規定がございます。

装飾用のビーズストリップで製品にしたもの、ヒンジ、ドアの取手、
支え棒、足掛け及び窓開閉装置、ナンバープレート、国籍プレート等
(卑金属製の物品は 83 類に属し、プラスチック製のこれに類する物品は
39 類に属する。)

アームレストは特にここで指定はありませんので自動車用付属品のHS
に属する17部から除外されることは無いという結論になります。

そこで改めて第17部総説(III)にある自動車用付属品に含まれるものの要件
を確認します。

(a)この部の注2の規定により除外されているものでないこと
(b)86 類から 88 類までの物品に専ら又は主として使用するものであること
(c)この表の他の類において、より特殊な限定をしているものでないこと

(a)は先ほど確認しました、(b)は87類の自動車に主として使用する事が明らか
であり、(c)に関しては他の類をくまなく探さなくてはならないのでここを
立証するのは極めて手間のかかる作業ではありますが特に他の類に該当する
という事は無いという結論になります。

その為、アームレストは17部の自動車用付属品(HS8708.29)に分類される事に
なります。

 

関税監査官による事前教示

車用アームレストの品目分類は日本税関の事前教示に照会事例があり、
自動車用付属品に分類されました。

登録番号 116005445
税関 名古屋
処理年月日 20161125
一般的品名 自動車用アームレスト型カバー
税番 8708.29-000

貨物概要 自動車用コンソールボックスの上部トレイに取り付ける
アームレスト型カバー

性状:特定車種のコンソールボックスの蓋部分の上部トレイにはめ込み、
ベルクロファスナーで留めることができる。ベルクロファスナーが取り
付けられているサイドの耳には、カード収納ポケットを有する

材質:(表)PVC100%、(中)ポリウレタン100%、
(裏)ポリエステル100%

サイズ:縦400mm×横185mm×厚さ70mm

用途:車内アクセサリー
運転席及び助手席の間にあるコンソールボックスの上部トレイに
マジックテープで固定して使用

分類理由
本品は、自動車のコンソールボックスの蓋に取り付けるアームレスト
型カバーとして照会があった物品である。
本品は、その性状等から、特定車種の自動車のコンソールボックスに
適合した形状であると認められるため、関税率表第17部注3、
同表解説第17部総説(III)、同表第87.08項及び同表解説
第87.08項の規定により、自動車に専ら又は主として使用する
附属品として、上記のとおり分類する。

また、米国税関(CBP)においても似た事例がございますので
参考にしてください。

EPA関税削減の為の関税分類変更基準

関税分類変更基準においては非原産材料のHSコードと製品のHSコードは
できるだけ離れている方が原産地規則を満たしやすくなります。

本事例の場合、締約国での加工によって39類から87類にHSコードの頭2桁
が変更となる為、特恵関税率を適用するための関税分類変更基準を満たし
やすいと考えますが、アームレストをプラスチック製品の39類に分類
してしまうとHSは近くなってしまうため、(非締約国から調達した部品と
締約国内で製造した完成品のHSの頭数桁が同じになる)関税分類変更基準
において不利になる可能性があります。

また、アームレストを製造する際に使用する非締約国から調達した原料が
そもそも自動車部分品や付属品に分類される場合は関税分類変更基準を
満たさない可能性があります。

本事例では自動車付属品のHSコードに分類される事になりましたが、
自動車部分品や付属品であってもプラスチック製である場合は39類に
分類される品目もございますので注意が必要です。

Filed Under: 部分品の原産地規則

プラ製自動車内張品取付具のHSコードは部分品になるか

最終更新日2019年11月25日 By 河副太智 Leave a Comment

自動車部品として分類されるフロントピラー一式(HS8708.29)を製造する
際に使用するプラスチック製の「内張品取付具」をEPA非締約国から
調達する場合に、完成品であるフロントピラーが輸出先において
関税削減の対象となる締約国の原産品としてみなされるかどうかと
いう点について当該「内張品取付具」のHSコードが自動車の部分品
になるかどうかを検討してみます。

HSコード分類の際に検討する問題点

フロントピラーのHSコードが8708.29となる場合、「内張品取付具」が
当該フロントピラーの部分品となれば同じHSである8708.29に分類され
る可能性があります。

当該「内張品取付具」は製品であるフロントピラーに設置するように
設計されたものであるため、フロントピラーの部分品として分類する
と考えられるケースもあるかもしれませんが、そのように分類すると
HSコードが共通となる為関税分類変更基準においては不利な分類と
言える為、当該「内張品取付具」が自動車の部分品であるHS8708.29に
分類されるかどうかについて更に深く検討してみる必要があります。

 

通則と部注の規定からHSコードを特定

当該「内張品取付具」がフロントピラーの部分品になるかどうかは
フロントピラーのHSの属する17部の注規定を確認します。

17部の注2には

「部分品」及び「部分品及び附属品」には、次の物品を含まない。

という除外規定があり、その中の(b)に以下のような定義があります。

プラスチック製のこれに類する物品(第 39 類参照)

 

 

この規定を見ると例え自動車専用の部品であってもそれがプラスチック製
である場合はフロントピラーのHSの属する17部からは除外される場合も
あり得るという事になる為、39類の分類を確認すると「自動車用の取付具」
という分類を見つける事ができます。

 

 

その他HS3926.30に分類されるプラスチック製自動車用取付具イメージ
として以下のようなものがあります。

Bildnummer 1

Bildnummer 1

Bildnummer 1

出典:EU TAXATION AND CUSTOMS UNION

また、その他にも第17部総説(III)を見ると以下のような品目も
自動車部品に分類されないとの規定がございます。

装飾用のビーズストリップで製品にしたもの、ヒンジ、ドアの取手、
支え棒、足掛け及び窓開閉装置、ナンバープレート、国籍プレート等
(卑金属製の物品は 83 類に属し、プラスチック製のこれに類する物品は
39 類に属する。)

どれも自動車専用部品であるため、どうしてもHS8708の自動車部品に
分類するものかと考えがちですが39類のプラスチック製品に分類される
場合もございます。

 

関税監査官による事前教示

このような内張品取付具の品目分類は日本税関の事前教示に照会
事例があり、フロントピラーの部分品には分類されず、HSコード
3926.30 の「プラスチック製の車体用取付具」に分類されました。

登録番号 116005430
税関 横浜
処理年月日 20161118
一般的品名 プラスチック製車体用取付具
税番 3926.30-000

貨物概要
自動車の車体に内張品を固定するプラスチック製の部品

材質:ポリアセタール
製法:射出成形
性状:自動車の車体(フロントピラー)内板に内張品を固定する
プラスチック製の部品
サイズ:高さ28mm×幅20mm×長さ24mm
用途:自動車のフロントピラー内張品を固定する

分類理由
本品は、自動車の車体に内張品を固定するためのプラスチック製品であり、
その性状から、関税率表第15部注2の卑金属製のはん用性の部分品に類
するプラスチック製の取付具と認められることから、同表第17部注2
(b)の規定により、同表第17部から除外される。
したがって、本品は、プラスチック製の車体用取付具として、同表第
39.26項及び同表解説第39.26項の規定により、上記のとおり
分類する。

 

EPA関税削減の為の関税分類変更基準

関税分類変更基準においては非原産材料のHSコードと製品のHSコードは
できるだけ離れている方が原産地規則を満たしやすくなります。

本事例の場合、締約国での加工によって39類から87類にHSコードの頭2桁
が変更となる為、特恵関税率を適用するための関税分類変更基準を満たし
やすいと考えますが、「内張品取付具」をフロントピラーの部分品として
HS8708に分類してしまうとHSは共通となってしまうため、(非締約国から
調達した部品と締約国内で製造した完成品のHSが同じになる)関税分類変
更基準において不利になる可能性があります。

本当に自動車部分品のHSコードに分類されるのかどうか、他の類への分類
される余地の有無を検討する事は関税削減において非常に重要です。

 

Filed Under: 部分品の原産地規則

プロジェクター用光学ガラスのHSコードは部分品になるか

最終更新日2021年2月27日 By 河副太智 Leave a Comment

液晶プロジェクターを製造する際に当該プロジェクターの光学部品
として使用する光学ガラスをEPA非締約国から調達する場合に、
完成品が輸出先において関税削減の対象となる締約国の原産品として
みなされるかどうかという点について当該光学ガラスのHSコードが
プロジェクターの部分品になるかどうかを検討してみます。

HSコード分類の際に検討する問題点

プロジェクターのHSコードは8528となり、当該品目の部分品となれば
HS8529に分類される可能性があります。

当該光学ガラスは製品であるプロジェクター内部に設置するように
設計されたものであるため、プロジェクターの部分品として分類する
と考えられるケースもあるかもしれませんが、そのように分類すると
HSコードの頭2桁が共通となる為関税分類変更基準においては不利な
分類と言える為、本当に部分品に分類されるのかどうかについて更に
深く検討してみる必要があります。

 

出典:プロジェクターの技術と応用

 

通則と部注の規定からHSコードを特定

当該光学ガラスがプロジェクターの部分品になるかどうかは
プロジェクターのHSの属する16部の注規定を確認します。

16部の注1(m)には90類の物品が16部(85類)から除外されるという規定
となっている為、プロジェクターの部分品であっても16部(85類)から
除外される為、通則1の規定の部の規定に従う事によりHSコード8529の
プロジェクターの部分品には分類されません。

 

 

※上記のように規定されているとしても「90類=光学ガラス」と
即座に判断する事は非常に困難であるため、入念な調査によって
初めてこのような判断が可能になります。

関税監査官による事前教示

このような光学ガラスは日本税関の事前教示に照会事例があり、
プロジェクターの部分品には分類されず、HSコード9001.90の
「プリズム、鏡その他の光学用品」に分類される事になりました。

登録番号 116005487

税関 東京

処理年月日 20161124

税番 9001.90-000

一般的品名 光学材料部品

貨物概要 :偏光性を有する直方体状の光学材料部品

製法:光学用特殊プラスチックフィルムの両面にガラス製の三角プリズム
を接着してカットしたもの

形状:直方体 材 質:光学ガラス(99%以上)、特殊光学フィルム及び
アクリル系化合物(1%未満) サイズ:(縦×横)約5~15mm、
(長さ)約5mm~30mm

機能:直線偏光で入射された照明光を透過し反射させ、組み合わせて使用
する液晶パネルの偏光方向変換機能により照明光入射方向に対し90℃
向きを変えて出射させる

用途:小型液晶プロジェクター用光学部品として使用する

 

EPA関税削減の為の関税分類変更基準

関税分類変更基準においては非原産材料のHSコードと製品のHSコードは
できるだけ離れている方が原産地規則を満たしやすくなります。

本事例の場合、締約国での加工によって90類から85類にHSコードの頭2桁
が変更となる為、特恵関税率を適用するための関税分類変更基準を満たし
やすいと考えますが、光学ガラスをプロジェクターの部分品として分類し
てしまうとHSの頭2桁は共通となってしまうため、関税分類変更基準にお
いて不利になる可能性があるので本当に部分品のHSコードに分類されるの
かどうか、他の類への分類される余地の有無を検討する事は関税削減にお
いて非常に重要です。

※日本が締結しているEPAにおけるHS8528に対する品目別原産地規則は
CTH(HS4桁変更)で満たす事ができる為、2桁変更が必須という訳ではありません。

Filed Under: 部分品の原産地規則

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