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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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河副太智

特恵関税が使えなくなる(平成31年中国貨物注意)

最終更新日2020年1月26日 By 河副太智 Leave a Comment

平成31年度(2019年)4月1日より中国、メキシコ、タイ、マレーシア、ブラジルの
5か国での一般特恵関税(GSP)(Form-A使用)の適用ができなくなる予定です。

上記5か国より継続的に特恵関税制度を利用して関税削減を行っている
輸入者様は特恵関税制度の卒業要件をご周知願います。

特に中国からの輸入貨物に特恵関税制度(Form-A,GSP)を
利用している輸入者様が多いかと思われますのでご注意ください。


※税関資料より引用
※2018年12月16日現在での資

平成31年度の特恵関税適用除外予定国(2019年)form-aForm-A書式

 

平成30年時点での特恵適用国・地域一覧
※ここから中国、メキシコ、タイ、マレーシア、ブラジルが卒業予定

平成30年4月1日現在

番号

国名又は地域

番号

国名又は地域

1アゼルバイジャン70中華人民共和国(香港地域及びマカオ地域を除く。)
2アフガニスタン *71チュニジア
3アルジェリア72ツバル *
4アルゼンチン73トーゴ *
5アルバニア74トケラウ諸島地域
6アルメニア75ドミニカ
7アンゴラ *76ドミニカ共和国
8イエメン *77トルクメニスタン
9イラク78トルコ
10イラン79トンガ
11インド80ナイジェリア
12インドネシア81ナミビア
13ウガンダ *82ニウエ
14ウクライナ83ニカラグア
15ウズベキスタン84ニジェール *
16エクアドル85ネパール *
17エジプト86ハイチ *
18エチオピア *87パキスタン
19エリトリア *88パナマ
20エルサルバドル89バヌアツ *
21ガーナ90パプアニューギニア
22カーボヴェルデ91パラオ
23ガイアナ92パラグアイ
24カザフスタン93バングラデシュ *
25ガボン94東ティモール *
26カメルーン95フィジー
27ガンビア *96フィリピン
28カンボジア *97ブータン *
29ギニア *98ブラジル
30ギニアビサウ *99ブルキナファソ *
31キューバ100ブルンジ *
32キリバス *101米領サモア地域
33キルギス102ベトナム
34グアテマラ103ベナン *
35グレナダ104ベネズエラ
36ケニア105ベラルーシ
37コートジボワール106ベリーズ
38コスタリカ107ペルー
39コソボ108ボスニア・ヘルツェゴビナ
40コモロ *109ボツワナ
41コロンビア110ボリビア
42コンゴ共和国111ホンジュラス
43コンゴ民主共和国 *112マーシャル
44サモア113マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
45サントメ・プリンシペ *114マダガスカル *
46ザンビア *115マラウイ *
47シエラレオネ *116マリ *
48ジブチ *117マレーシア
49ジャマイカ118ミクロネシア
50ジョージア119南アフリカ共和国
51シリア120ミャンマー *
52ジンバブエ121メキシコ
53スーダン *122モーリシャス
54スリナム123モーリタニア *
55スリランカ124モザンビーク *
56スワジランド125モルディブ
57赤道ギニア *126モルドバ
58セネガル *127モロッコ
59セルビア128モンゴル
60セントビンセント129モンテネグロ
61セントヘレナ及びその附属諸島地域130モントセラト地域
62セントルシア131ヨルダン
63ソマリア *132ヨルダン川西岸及びガザ地域
64ソロモン *133ラオス *
65タイ134リビア
66タジキスタン135リベリア *
67タンザニア *136ルワンダ *
68チャド *137レソト *
69中央アフリカ *138レバノン

特恵受益国及び地域 138(133か国、5地域)
注:*印があるのは、特別特恵受益国(LDC)47か国

Filed Under: 一般特恵関税, 中国

累積制度の解説スライド

最終更新日2019年3月13日 By 河副太智 Leave a Comment

日本貿易関係手続簡易化協会による「特恵原産地規則における累積制度」が
累積制度をスライドでわかりやすく解説しているので紹介させていただきます。

 

Filed Under: 解説書

原産品申告書作成演習解説

最終更新日2019年3月13日 By 河副太智 Leave a Comment

公益財団法人日本関税協会による「原産品申告書作成演習解説」が
自己証明による原産品申告書の作成手順をわかりやすく解説しているので
紹介させていただきます。

 

Filed Under: 解説書

TPP原産品申告書記入例

最終更新日2020年1月2日 By 河副太智 Leave a Comment

TPPを活用して関税削減に必要となる原産地を証明する書類は
「原産品申告書」と呼びます。「原産地申告書」と呼ぶ場合もありま
すが定義は基本的に同じで、輸出者、製造者(生産者)、輸入者自身
にて作成する「自己証明」という形になります。

従来のFTA/EPAで使用した「原産地証明書」は商工会議所が作成する
証明書であり、TPPでは商工会議所が発行する「原産地証明書」は使用
できませんのでご注意ください。

TPP原産品申告書フォーム

原産品申告書のフォーム例は税関様式一覧ページからダウンロードできます。

原産品申告書の記載内容で重要なポイントはTPP原産地規則協定文1502ページ
(付属書3-B必要的記載事項)にて規定されている内容となりますので
この記載事項を順に確認していきます。

 

 TPP原産品申告書フォーム例

※TPP原産品申告書PDFダウンロード
WORD版ダウンロード

 

 

 

 

 TPP原産品申告明細書フォーム例

※原産品申告明細書PDFダウンロード
WORD版ダウンロード

 

 

 

 英語TPP原産品申告書フォーム例

※フォーム例は日豪EPAを参考
英文Word

 英語TPP原産品申告書フォーム例

 

 

 英語版TPP原産品申告明細書フォーム例

※フォーム例は日豪EPAを参考
英文Word

英語版TPP原産品申告明細書フォーム例

 

 

 

必要的記載事項

 

1.証明者

輸出者、生産者、輸入者のうち原産地証明書を作成した者

2.証明者の明細

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス

3.輸出者(証明者ではない場合)

氏名または住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
生産者が原産地証明書を作成した場合で、輸出者が特定できない場合は不要。
輸出者の住所はTPP域内国の産品が輸出された場所とする。

4.生産者(証明者あるいは輸出者ではない場合)

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
生産者が複数いる場合は“various”と記載、あるいはリストを添付。

生産者を秘匿したい場合は、“Available upon request by the importing
authorities”(「輸入締約国の当局の要請があった場合には提供可能」)
と記載可能。生産者の住所はTPP域内国の産品が生産された場所とする。

5.輸入者(特定可能な場合)

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
輸入者の住所はTPP域内国でなければならない。

6.産品の品名及びHSコード

対象産品の品名及び関税分類(HSコード6桁)品名は対象産品を表すのに
充分な形で記載する必要がある(HS2012を使用)
また、1回限りの原産地証明書の場合、インボイス番号がわかっていれば記載。

7.原産性の基準

どの原産性の基準(以下のいずれか)を活用して原産品としたかを記述。
原産性の基準は以下の3つに分かれます。

(a) Wholly obtained or produced(完全生産品)(WO)
(b) Exclusively from originating materials(原産材料のみから生産される産品)(PE)
(c) PSR(品目別分類規則)を満たす産品(更に以下の3つの種類に分かれる)(PSR)
-①関税分類変更基準
-②付加価値基準
-③加工工程基準

 

上記(a)(b)(c)と(c)①、(c)②、(c)③の意味をそれぞれ確認していきます。

(a) Wholly obtained or produced(完全生産品)

TPPWholly obtained or produced(完全生産品)
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

「完全に得られ、又は生産される産品」とはひとつの特恵受益国において
完全に生産された物の事です。詳しくは完全生産品解説ページをご覧ください。

 

(b) Exclusively from originating materials
(原産材料のみから生産される産品)

 

TPP原産材料のみから生産される産品
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

完全生産品とニュアンスは似ていますが少しだけ違います。
日本の一次原料を使用して製造された貨物ではあるけれど、
二次原料以降の原料の元を辿っていくととTPP加盟国以外の国から調達した
原料がどこかに含まれている貨物が対象です。

二次原料(上記の例ではオリーブ)が非締約国から調達した物の場合は
原産材料のみから生産される産品に該当します。
詳しくは解説ページをご覧ください。

 

(c) PSR(品目別分類規則)を満たす産品

 

TPP品目別分類規則の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

PSRとはProduct Specific Rulesの略で品目別分類規則の事を指します。
非原産材料を使用してTPP加盟国内で製造された貨物の場合、
品目別分類規則を満たした製造工程であれば原産性が認められ、
TPP加盟国原産貨物として関税削減の対象になります。

非常にわかりづらい部分かと思いますが、これはつまり
TPP加盟国以外の国から調達した一次原料を使用して製造された
貨物であってもTPP加盟国で完成された製品と見なされれば輸出先で
関税削減ができるという事です。

この基準というのが附属書3-Dに貨物のHSコードごとに記載されております。
この基準通りに貨物の製造がおこなわれていれば原産地規則を満たし「PSR」と
記入する事ができるようになります。
附属書3-Dは読みにくいので税関HPの品目別分類規則をお勧めします。

 

(c) のPSR(品目別分類規則)は以下の3種類に分かれます

①関税分類変更基準
②付加価値基準
③加工工程基準

①から③の意味をそれぞれ確認していきます。

①関税分類変更基準

TPP関税分類変更基準の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

「関税分類変更の基準」とは
TPP加盟国以外の国から調達した一次原料のHSコードと
TPP加盟国で完成した製品のHSコードが2,4,6桁レベルで変わる程度の
加工がされている場合に適用できる基準です。

詳しくは関税分類変更基準の類、項、号解説をご覧ください。

加工によるHSコード変更の程度については以下をご覧ください。
HSコードの桁数が2桁変更していれば基準をクリア(CC)
HSコードの桁数が4桁変更していれば基準をクリア(CTH)
HSコードの桁数が6桁変更していれば基準をクリア(CTSH)

TPPの品目別原産地規則で各HSコード別に上記3つの基準のうちいずれ
かが指定されている事がほとんどですので、指定された基準を満たす製
造工程であれば原産性を満たし非原産材料を使用していてもTPP締約国
にて製造された貨物とみなすことができます。

②付加価値基準

付加価値基準というのはTPP締約国で製造された貨物の価格と
非原産材料の価格の割合配分によって原産性を満たすかどうかを
判断する基準で附属書3-Dに品目別に計算方法が指定されています。

以下の例では非原産材料を使用してTPP加盟国内で自動車を完成させた
場合の例です。

TPP付加価値基準の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

上記の例は付加価値基準の内の「控除方式」という計算方法を使用
しています。(点線で囲んだ部分の計算式)

付加価値基準の計算方法はいくつか種類があり、どの計算方法が使用
できるかを品目別分類規則にそれぞれ指定してあります。

例えば上記の自動車の品目別分類規則(附属書3-D)を見てみると
以下のように記載されております。

 

自動車の場合の計算方法は「控除方式」以外にも「純費用方式」という
計算方法も使える事がわかります。

他の貨物の品目別分類規則を見てみると計算方法は以下の4つに分かれます。
①控除方式
②積み上げ方式
③重点価格方式
④純費用方式

それぞれの計算方法は以下に記載してあります。

TPP付加価値基準の計算式一覧
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

③加工工程基準

「特定の生産工程の基準」とは品目ごとに定める工程を経て製造された貨物に
原産品としての資格を与える基準で、化学品や繊維製品に適用されます。
こちらも附属書3-Dに品目別に製造工程が指定されています。

TPP加工工程基準の例
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

自動車関連の品目別規則

自動車(完成車)及び自動車部品については、付加価値基準の計算において、
材料について原産地規則を緩和する特別ルールが規定されています。
(根拠条文(附属書三-D・付録1))

1.自動車(完成車)
○ TPP11における原産地規則は、付加価値基準(控除方式で55%又は
純費用方式で45%)。ただし、特定の自動車部品7品目(注1)については、
指定された工程(注2)のうち、1つ以上の工程をTPP11域内で行えば、
原産材料と認められる。

2. 自動車部品
○ TPP11における自動車部品の原産地規則は、関税分類変更基準と
付加価値基準(品目に応じ、控除方式で45~55%、積上げ方式で35~45%又は
純費用方式で35~45%)の選択制(※一部例外を除く)。

ただし、上記付加価値基準の計算上、当該自動車部品の材料は、
指定された工程(注2)のうち、1つ以上の工程をTPP11域内で行えば、
5~10%を限度として、原産材料と認められる。

(注1)強化ガラス、合わせガラス、車体(普通車用のもの)、
車体(貨物車等用のもの)、バンパー、車体用プレス部品及び扉組立、
駆動軸及び非駆動軸

(注2)複雑な組み立て、複雑な溶接、ダイカストその他これに類する
鋳込み成形、押出成形、鍛造、熱処理(ガラスの強化又は金属の焼戻しを含む)
積層、切削、金属成形、鋳造、スタンピング(プレス成形を含む)
(※)自動車用エンジン及び原動機付シャシについては、
関税分類変更基準が適用されず、付加価値基準のみとされている。

繊維製品の品目別規則

61類~63類の繊維製品の原産地規則は、①紡ぐ、②織る、③縫製、
という3つの工程を原則TPP11締約国内において行う必要があり、
これを「ヤーンフォワード・ルール」と呼びます。

TPPの繊維製品の品目別分類規則

出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

但し、ヤーンフォワード・ルール(3工程)を前提としつつ、
「供給不足の物品の一覧表」(ショートサプライ・リスト(SSL)に
掲載された域内での供給が十分でない材料(繊維、糸、生地)については、
例外的に域外から調達しても、その最終用途の要件を満たせば
原産品と認められるという救済規定もあります。

61~63類も含めた繊維等の原産地規則は附属書4-Aに記載されております。

61類~63類の繊維製品が原産品であるか否かは、当該産品の
関税分類を決定する構成部分(原則として、表側の生地に占める面積が
最も大きい部分)について、適用される規則に定める関税分類番号の
変更を満たす必要がある。

デミニミス(僅少の非原産材料)については、
適用される関税分類番号の変更を満たさない非原産材料が関税分類を
決定する構成部分の全重量の10%以下の場合、原産品とみなす。
ただし、弾性糸が含まれるものはTPP11域内産の糸である必要がある。

<その他の要件>
【弾性生地ルール】
61類~62類の繊維製品に弾性糸を使った生地(HS60.02、5806.20)を
使用する場合、当該生地は域内産の糸を使用する。

【縫糸ルール】
61類~63類の繊維製品に縫糸(HS52.04、54.01、55.08の縫糸又は
HS54.02の糸を縫糸として使用)を使用する場合、当該縫糸は
域内産の糸を使用する。

【絹100%の着物・帯に関するルール】
着物又は帯に使用する絹100%の織物は、域内で製織、裁断・縫製する
必要がある(⇒着物・帯は2工程)。

※絹織物はSSLで域外調達が認められているため、
域内で裁断・縫製すれば、最終製品はTPP11原産品となる(⇒1工程)。

8.対象期間

→同一産品の複数回の輸送を対象とする場合、その期間。原則、12カ月が限度。
日豪EPA原産品申告書に期間の欄が無いので「その他特記事項」に追記する。

9.署名と日付

→証明者による署名と日付を明記。あわせて右記の宣誓文を記述。

累積

「累積」とは原産地規則を満たしやすくする為の規定です。

例えば日本がTPP加盟国であるベトナムから輸入する完成品Aがあり、
その完成品Aの原料Bはベトナムがニュージーランドから調達した物で
あった場合、ニュージーランドはTPP加盟国なのでその原料Bは
日本側から原産材料とみなされ、原産地規則を満たす事ができます。

日本から見て逆の立場の場合も同様です。
例えば日本産原料Cをベトナムに輸出し、ベトナムでの完成品Dを
ニュージーランドに輸出した場合も日本産原料CはTPP加盟国からの
調達という事でニュージーランド側から原産材料とみなされます。

つまりTPP加盟国全体から調達した原料であれば、最終製造工程を
行った国以外から調達した原料であっても原産材料とみなされるという
事になります。

(詳しくは累積解説ページをご覧ください。)
※累積の根拠条文TPP原産地規則協定文1462ページ

 

TPP累積の解説

出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

 

TPP完全累積の解説

※Jetroセミナースライドより引用

 

デミニミス(僅少の非原産材料)

デミニミス(僅少の非原産材料)とは(附属書3-D)の品目別分類規則を
満たせない貨物に対する救済規定です。

非原産材料であってもその価格割合が貨物全体の価格から見て
僅かである場合はこれを原産材料と見なす規定です。
「原産地規則は満たせないがどうしても少しだけ非原産材料を使いたい」
という場合に有効です。
(詳しくは僅少の非原産材料解説ページをご覧ください。)

【デミニミスの基準】
○ 関税分類変更基準が適用される産品にのみ適用され、
原則として産品の価額の10%以下
○ ただし、繊維製品の場合、原則として当該産品の重量の10%以下
(根拠条文はTPP原産地規則協定文1505ページ)

 

TPPデミニミス(僅少の非原産材料)の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

また、僅少の非原産材料の規定を適用しない材料もありますので
この救済規定を使用する際は以下に該当する貨物でないかどうかを
確認する必要があります。

 

(a)第4類の非原産材料又は第1901.90号若しくは
第2106.90号の原産品でない酪農調製品(乳固形分の含有量が全重量の
10%を超えるものに限る。)であって、
第4類の産品(第0402.10号、第0402.21号、第0402.29号
及び第0406.30号(注)の産品を除く。)の生産において使用されるもの

(b) 第4類の非原産材料又は第1901.90号の原産品でない酪農調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)であって、
次のいずれかに掲げる産品の生産において使用されるもの
(1) 第1901.10号の育児食用の調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)
(2) 第1901.20号の混合物及び練り生地(乳脂肪の含有量が
全重量の25%を超えるものに限り、小売用にしたものを除く。)
(3) 第1901.90号又は第2106.90号の酪農調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)
(4) 第21.05項の産品、第2202.90号の飲料
(ミルクを含有するものに限る。)
(5) 第2309.90号の飼料
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)

(c) 第08.05項又は第2009.11号から第2009.39号までの
各号の非原産材料であって、第2009.11号から第2009.39号
までの各号の産品の生産において使用されるもの又は
第2106.90号若しくは第2202.90号の単一の果実若しくは
野菜を使用したジュース(ミネラル又はビタミンを加えたものに限り、
濃縮したものかどうかを問わない。)に使用されるもの

(d) 第15類の非原産材料であって、
第15.07項、第15.08項、第15.12項又は第15.14項の
産品の生産において使用されるもの

(e) 第8類又は第20類の原産品でない桃、梨又はあんずであって、
第20.08項の産品の生産において使用されるもの

原産品申告書記載要領

上記の点を踏まえて以下のように記述する形になります。

※TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA原産地規則について【実務編】より

宣誓文

宣誓文で文書の内容が真実ですと宣誓する必要があります。
TPP協定文にその宣誓文が指定されております。
※日本語訳文がちょっとおかしいのが気になります、、、

私は、この文書に記載する産品が原産品であ
り、及びこの文書に含まれる情報が真正かつ
正確であることを証明する。私は、そのような
陳述を立証することに責任を負い、並びにこの
証明書を裏付けるために必要な文書を保管し、
及び要請に応じて提示し、または確認のため
の訪問中に利用可能なものとすることに同意
する。

英語版宣誓文

I certify that the goods described in this
document qualify as originating and the
information contained in this document is true
and accurate. I assume responsibility for proving
such representations and agree to maintain and
present upon request or to make available
during a verification visit, documentation
necessary to support this certification.

保存書類

輸入者は輸入許可の日の翌日から5年間以下の書類を保存。
①当該輸入に関する文書。
(特恵待遇の要求の根拠となった原産品申告書を含む)
②特恵待遇の要求が当該輸入者が作成した原産品申告書に基づ
く場合には、当該産品が原産品であり、かつ、関税上の特恵待
遇を受ける資格を有することを示すために必要なすべての記録。

輸出者、生産者は作成の日から5年間当該輸出者又は生産者が提供した
原産品申告書に記載した産品が原産品であることを示すために
必要な全ての記録。

 

相手国から原産性の事後確認(検認)

FTA特恵関税を適用した貨物を輸出し、相手国側での関税削減を行った
場合、後日相手国から原産性の事後確認が行われる可能性があります。
これを検認(Verification)と呼びます。

TPPの場合の検認は相手国の税関から直接輸出者や生産者に対して
原産性の確認を行う事が可能ですので、税関や商工会議所からの
事後調査よりもハードルが高くなります。

質問は英語で来ますので事前にFTA/EPAで使われる英語も事前に
把握しておく必要があります。

TPP関税率

日本側関税率とカウント方法

TPPによって恩恵を得られる関税率は譲許表で確認します。
日本に輸入する場合の関税率は日本側譲許表にHSコード別に記載
されております。

協定上の1 年⽬、2 年⽬のカウント方法は
発効時から翌年(2019 年)3 ⽉ 31 ⽇までが「1 年⽬」、
2019 年 4 ⽉ 1 ⽇から 2020 年 3 ⽉31 ⽇までが「2 年⽬」、
その後の各年は毎年 4 ⽉ 1 ⽇に始まります。

輸出先(日本以外)の関税率とカウント方法

TPP加盟国への輸出で相手国での関税率を調べるには各国の
譲許表を確認する事になります。

-オーストラリア(Australia)
-ブルネイ(Brunei)
-カナダ(Canada)
-チリ(Chile)
-日本(Japan)
-マレーシア(Malaysia)
-メキシコ(Mexico)
-ニュージーランド(New Zealand)
-ペルー(Peru)
-シンガポール(Singapore)
-ベトナム(Vietnam)

⽇本以外の原締約国で2018 年 12 ⽉ 30 ⽇に発効する国(メキシコ、
シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア)の譲許表は
発効時から(2018 年)12 ⽉ 31 ⽇までが「1 年⽬」、
2019 年 1 ⽉ 1 ⽇から 12 ⽉ 31 ⽇までが「2 年⽬」、
その後の各年は毎年 1 ⽉ 1 ⽇に始まります。

2018 年 12 ⽉ 30 ⽇以降の協定の発効⽇の後、新たに発効する国についての
⽇本が適⽤する関税撤廃のスケジュールは
①新締約国の発効⽇を起点として適⽤する
②協定の発効⽇(2018 年 12 ⽉ 30 ⽇)に発効したものとして適⽤する(キャ
ッチアップする)のいずれかを、その都度、決定することとなります。

ベトナムについては、⽇本としては、キャッチアップを⾏う(②)と決定
しており、これにより、ベトナムも⽇本に対して、キャッチアップを⾏う
こととなります。

当記事は税関によるTPP原産地規則解説スライドからの引用で
作成しております。

Filed Under: FTA/EPA

協定別検認回答期限一覧

最終更新日2020年2月27日 By 河副太智 Leave a Comment

EPA関税率を適用して関税削減を行った場合、輸入国税関は
輸出国税関等に対し対象貨物の原産性の確認を行う事ができます。

例えば日本からA国に向けて輸出をして、本来A国にて発生する関税を
EPA関税率を適用して削減した場合、A国側が日本側税関等に対して
「本当に日本製なのか」というような原産性に関する質問をする事があります。

この制度を検認と呼び、輸入国側からの原産性に関する質問に回答できない場合は
特恵関税適用貨物に対する特恵待遇を否認する事ができます。

特恵待遇を否認されると通関中の貨物の関税はもちろん、過去の特恵待遇も
遡って否認され、追徴課税やペナルティが発生する事も考えられます。

輸入国からの検認に関する規定は主に以下の3つがあります。
1.原産性に疑義を持った貨物に対する「情報提供の要請」
2.上記1で得た回答に更なる疑義がある場合の「追加情報提供の要請」
3.実際に輸出国の製造所等施設を訪問する「輸出施設訪問」

上記3点の検認要請は一定の期限が定められており、(3の場合は告知期間)
これらの期限を超えてもなお適切な回答ができない等の状況が続く場合、
特恵待遇の否認ができるという事になります。

このような期限は各協定によって異なりますので
以下に協定別の検認要請に対する期限一覧を参考にして下さい。

協定情報提供の要請追加情報提供の要請輸出施設訪問の告知
日メキシコ協定6月以内(44条3項)3月以内(44条3項)30日前(44条10項)
日マレーシア協定3月以内(43条2項)2月以内(43条2項)40日前(44条2項)
日チリ協定3月以内(47条2項)2月以内(47条2項)40日前(48条2項)
日タイ協定3月以内(43条2項)2月以内(43条2項)40日前(44条2項)
日インドネシア協定6月以内(43条2項)4月以内(43条2項)40日前(44条2項)
日ブルネイ協定3月以内(40条2項)2月以内(40条2項)40日前(41条2項)
日アセアン協定3月以内(6の2項)3月以内(6の2項)60日前(7の2項)
日フィリピン協 定3月以内(43条2項)2月以内(43条2項)40日前(44条3項)
日ベトナム協定90日以内(6の2項)90日以内(6の2項)60日前(7の2項)
日スイス協定10月以内(25条7項)両国合意期間内両国合意期間内
日インド協定3月以内(6の2項)2月以内(6の2項)60日前(7の2項)
日ペルー協定3月以内(66条4項a)2月以内(66条4項b)30前(66条5項a)
日オーストラリア協定45日以内(3.21条3項)45日以内(3.21条3項)40日前(3.22条2項a)
日モンゴル協定4月以内(3.18条3項)2月以内(3.18条3項)40日以内(3.19条2項)
TPP30日以内(3.27条6項c)–30日以内(3.27条6項b)
日EU協定3月以内(3.24条1項a)3月以内(3.24条1項b)–

 

輸出先国から検認が来てしまった場合、輸出側としては相手国側からの要請を
満たす為に非常に困難な状況に陥る事が考えられます。

原産性を証明する資料の収集や製造工程の説明等を行うにあたって
どの担当者がどの情報を把握しているのかすらわからない状況になってしまい、
最終的には上記期間中に相手側の要求に答える事ができずに過去に輸出した数年分の
貨物に対する追徴課税が発生し、取引先との関係が悪化してしまう事もあり得ます。

現時点では日本側に対し、輸出先から検認要請が来ることはさほど多くはないですが
要請の件数は上昇傾向にあるので注意が必要です。

特にEUは検認を厳しく行う傾向があるので、日EU・EPA締結により、今後EUからの
検認要請が増えていくのではないかと考えております。

Filed Under: FTA/EPA, 検認、事後確認

日EU・EPA原産品申告書記入例(英語等全言語)

最終更新日2020年9月29日 By 河副太智 7 Comments

日EU経済連携協定において原産地を証明する書類は「原産品申告書」
や「原産地に関する申告文」と呼ばれ輸出者、製造者、輸入者自身で
作成する自己証明という証明方式が採用されています。

書式は輸出者、製造者、輸入者のうち誰が作成するかによって変わる
のでご注意ください。

 

輸出者又は製造者がを作成する場合

輸出者又は製造者が作成するは附属書3-Dの書式「原産地に関する
申告文」を使用し、以下に解説する記入方法を参考にしてください。

日EUでのは以下全ての言語での作成が可能です。
ブルガリア語、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、
エストニア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、
ハンガリー語、イタリア語、ラトビア語、リトアニア語、マルタ語、
ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、スロバキア語、スロベニア語、
スペイン語及びスウェーデン語

各言語に適用するはこちらから確認する事ができます。
日本に輸入する場合は日本語のフォームを使用し、
EUに輸出する場合は輸出国の言語に合わせたフォームを使用すれば
スムーズに進むかと思います。

 

日EUEPAフォーム

更に、上記ので申告された原産性を裏付ける為に、
原産品申告明細書を別紙添付し、製造工程、原料等の情報を記載し、
原産性を満たす根拠を示す必要があります。

書式は任意ですが、税関様式C-5293を原産品申告明細書として使用する
事も可能です。

↓原産品申告明細書記入例

出典:日EU・EPA自己申告制度について~ 手続簡略化~

上記の原産品申告明細書はEU側の輸出者、製造者からの入手ができず、
特恵関税の適用が厳しい場合は提出を省略する事も可能ですが、事後
に行われる検認において輸出者、製造者が税関に対し、原産性を立証
できない場合は輸入者に対してペナルティが課される事になります。

その為、原産品申告明細書の提出を省略する場合は後の検認時に輸出者、
製造者が確実に税関に対して原産性を立証できるのかどうかを確認する
必要があります。(検認で原産性を証明できなかった場合は輸出者、
製造者がペナルティを負担する契約を交わしておく等)

原産品申告明細書の提出を省略する場合、2019年11月30日までは
輸入申告を行う端末NACCSの記事覧(税関用)の部分に「私は産品
が原産品であることに係る追加的な説明は提供できません。」との
文言を入力する必要がありましたが2019年12月1日以降は以下のよう
に原産地の欄に特定のコードを入力する形になりますので、輸入申告
の際にNACCSを入力する者(通関業者)にその旨の指示をします。

出典:日EU・EPA自己申告制度について~ 手続簡略化~

日本からの輸出で原産品申告明細書を英語で書く必要がある場合や
英語で書かれた原産品申告明細書の内容を読み解く必要が出てくる
場合は別記事「原産品申告明細書を英語で書くには」を参考に
して下さい。

 

輸入者がを作成する場合

輸入者が作成するは協定上特定の様式は定められておりませんが
税関様式のC-5292-4をを使用する事が可能です。

 

輸入者が作成する

記載要領

出典:日EU・EPA自己申告制度について~ 手続簡略化~

 

更に、上記ので申告された原産性を裏付ける為に、
原産品申告明細書を別紙添付し、製造工程、原料等の原産性を
満たす根拠を示す必要があります。

 

書式は任意ですが、税関様式C-5293を原産品申告明細書として使用する
事が可能です。また、原産品申告明細書は英語版C-5293-2もございます。

輸入者が作成する原産品申告明細書

※輸入者が作成する原産品申告の場合、原産品申告明細書省略の
制度は適用されませんのでご注意ください。

 

日本からの輸出で原産品申告明細書を英語で書く必要がある場合や
英語で書かれた原産品申告明細書の内容を読み解く必要が出てくる
場合は別記事「原産品申告明細書を英語で書くには」を参考に
して下さい。

 

記載要領

輸出者又は製造者が作成するをベースに記載要領を
解説しますが記載内容(記号)は輸入者が作成する
に記載するものと基本的には共通となります。

以下の例は日本語版ですが、ルールは基本的に全言語共通で、
注1から5の各項目の意味を理解した上で記入していく必要があります。

記載要領は日EU経済連携協定文が基礎となりますので
こちらを参照しつつ注1~5の記入内容を確認していきます。

 

※輸出者・生産者による自己申告の場合には、文言が定められており、
仕入書等の商業上の文書に、以下を記載することが協定上明記されている。

日EU原産地申告書フォーム(全言語版)

 

注1.期間

原産地に関する申告が第三・十七条5(b)に規定する
同一の原産品の二回以上の輸送のために作成される場合には、
当該申告が適用される期間を記載する。
当該期間は、十二箇月を超えてはならない。
当該原産品の全ての輸入は、記載された期間内に行われなければならない。
そのような期間の適用がない場合には、この欄は、空欄とすることができる。

まずは第3条17条5(b)とは何かを理解する必要があります。
第3条17条5(b)に規定する同一の原産品とは日EU経済連携協定文の協定本文の71P
参照すると以下のように記載されております。

締約国に輸入される同一の産品の二回以上の輸送
(原産地に関する申告に記載する十二箇月を超えない期間内に行われるもの)

つまり今後も同じ貨物が何度も輸入される予定がある場合、
一定の期間を定めてこのを使いまわしたいのであれば
使用する1年以内の期間を記入します。

何度も作成する手間が省けるのでとても楽になるかと思います。

注2.輸出者参照番号

輸出者が特定される参照番号を記載する。
EU・州連合の輸出者については、当該参照番号は、EU・州連合の法令に従って
割り当てられる番号とする。日本国の輸出者については、当該参照番号は、
日本国の法人番号とする。輸出者が番号を割り当てられていない場合には、
この欄は、空欄とすることができる

日本での通関の許可書には法人番号が記載されておりますので、
輸出する場合はこれと同じ番号を記載するという事になり、
日本側が輸入する場合はEU・州連合が規定する割り当て番号の記入が必要です。

 

注3.原産地(国名)

産品の原産地(EU・州連合又は日本国)を記載する。

ここに記載するのは日EUのEPA上の原産地規則に従った原産国名なので
何も考えずに単に輸出国名を書いてしまうと誤りが発生する可能性があります。

日EU経済連携協定文の協定本文の第3章の52p「原産地規則」をよく確認し、
原産性を満たした国の名前を記入して特恵関税率の恩恵が受けられます。

 

注4.用いられた原産性の基準

場合に応じて、次の一又は二以上の記号を記載する。
第三・二条1(a)に規定する産品については、「A」
第三・二条1(b)に規定する産品については、「B」
第三・二条1(c)に規定する産品については、「C」
(当該産品に実際に適用される品目別規則の種類に係る次の数字を追加的に付する。)

関税分類の変更の基準については、「1」
非原産材料の最大限の割合(価額に基づくもの)又は
最小限の域内原産割合(価額に基づくもの)の基準については、「2」
特定の生産工程の基準については、「3」
付録三-B-1第三節の規定の適用がある場合については、「4」
第三・五条に規定する累積を適用する場合には、「D」
第三・六条に規定する許容限度を適用する場合には、「E」

ここが日EUの中で一番難しい部分で、
赤文字部分と黒文字部分で難易度が変わります。

ざっくり言うと「用いられた原産性の基準」という欄には

〇一つのアルファベット(AかBかDかE)を記載するだけでよい場合
〇一つのアルファベット(C)と数字(1か2か3か4)

 

というように大まかに2種類に分かれる形になります。
では次から原産性の基準について一つづつ内容を確認していきます。

 

A.完全生産品


※出典:日EU・EPA原産地規則について

協定本文54pの第3-2条1(a)とは「完全に得られ、又は生産される産品」の事で
この場合は「A」を記入します。

「完全に得られ、又は生産される産品」とはひとつの特恵受益国において
完全に生産された物の事です。詳しくは完全生産品解説ページをご覧ください。

B.原産材料からなる産品

※出典:日EU・EPA原産地規則について

 

協定本文54pの第3-2条1(b)とは
「他方の締約国の原産材料のみから生産される産品」の事で
この場合に「B」を記入します。

完全生産品とニュアンスは似ていますが少しだけ違います。
日本の一次原料を使用して製造された貨物ではあるけれど、
二次原料以降の原料の元を辿っていくとと日本とEU以外の国から調達した
原料がどこかに含まれている貨物が対象です。

二次原料が非締約国から調達した物の場合はこちらに該当します。
詳しくは原産材料のみから生産される産品解説ページをご覧ください。

C.非原産材料を使用して生産される産品

※出典:日EU・EPA原産地規則について

 

協定本文54pの第3-2条1(c)とは
「非原産材料を使用して生産される産品であって、
附属書三B(品目別分類規則)に定める全ての関連する要件を満たすもの」
の事でこの場合に「C」を記入し、更に「C」以外にも数字(1か2か3か4)を
追記する必要があります (例:C-1 や C,2等)

まず「C」の意味についてですが、
非原産材料とは日本とEU以外の国から調達した一次原料、一次製品の事です。
この非原産材料を使用して日本かEUで完成された製品が特恵関税の対象に
なるかどうかの基準をクリアした貨物が「C」と記載する事ができます。

非常にわかりづらい部分かと思いますが、
日本とEU以外
の国から調達した一次原料を使用して製造された貨物であっても
日本かEUで完成された製品と見なされれば輸出先で関税削減ができるので、
製造者としてもこの基準をクリアした貨物を輸出したいと考えます。
(関税削減分できる分安く売れるので他国との競争に優位になるため)

この基準というのが附属書三Bに貨物のHSコードごとに記載されております。
この基準通りに貨物の製造がおこなわれていれば原産地規則を満たし「C」と
記入する事ができるようになります。

この基準には複数の種類があり、製造者にとって好都合な基準を選べる場合も
ありますので、どの基準を適用してクリアしたのかを基準の種類ごとに
数字をふっていく必要があります。

C-1.関税分類の変更の基準
C-2.非原産材料の最大限の割合、最小限の域内原産割合(価格)
C-3.特定の生産工程の基準
C-4.付録三-B-1第三節の規定の適用がある場合

例1:一次製品と完成品のHSが変わって規則をクリアした場合はC-1
例2:一次製品に加工を加えて価値(価格)を上げて規則をクリアした場合はC-2

 

このようにCの横に振る番号は製造工程や適用する規定によって変化する
事になります。

以下にC-1から4をそれぞれ適用するケースを解説します。

C-1.関税分類の変更の基準

「関税分類の変更の基準」とは
日本とEU以外の国から調達した一次原料のHSコードと
日本とEUで完成した製品のHSコードが2,4,6桁レベルで変わる程度の
加工がされている場合に適用できる基準です。

詳しくは関税分類変更基準の類、項、号解説をご覧ください。

加工によるHSコード変更の程度については以下をご覧ください。
HSコードの桁数が2桁変更していれば基準をクリア(CC)
HSコードの桁数が4桁変更していれば基準をクリア(CTH)
HSコードの桁数が6桁変更していれば基準をクリア(CTSH)

上記3種類のうちのいずれかの方法によって原産性を満たす貨物の場合、
「用いられた原産性の基準(注4)」に「C-1」と記入することになります。

 

以下にきゅうりの酢漬けの関税分類変更基準例を紹介します。

※出典:日EU・EPA原産地規則について

第三国(非締約国産)のきゅうりをEU内にて酢漬けをした場合に
日本で輸入する際に日EUの特恵関税率が適用できるかを調べる場合は
附属書三Bを確認して最終製品であるきゅうりの酢漬けのHSに対する
品目別分類規則を調べます。(きゅうりの酢漬けのHSは2001)

 

きゅうりの酢漬けのHS2001に対する品目別分類規則はCCとなっており、
先ほど紹介したHSコードの桁数が2桁変更していれば基準をクリア(CC)が
品目別分類規則を満たす条件として設定されております。

非締約国産のきゅうりのHS0707はEU内で加工され、
きゅうりの酢漬けHS2001に変更されておりますのでCC(HSコードの頭2桁
の変更)のルールは満たしているという事になります。(07から20に変更)

 

 

 

C-2.非原産材料の最大限の割合、最小限の域内原産割合(価格)

〇MaxNOM「非原産材料の最大限の割合(価格に基づくもの)」とは
生産に使用されるの最大割合で附属書3-A967pでは”MaxNOM”と呼ばれます。
(詳しくは非原産材料(VNM)解説ページをご覧ください。)

〇RVC「最小限の域内原産割合(価格に基づくもの)」とは
FOB価格のうち、日本及びEUで付加された価格の割合での判定基準で
附属書3-A968pでは”RVC”と呼ばれます。
(詳しくは付加価値基準(RVC)解説ページをご覧ください。)

 

 

※日EU・EPAの場合、自動車、エンジン、自動車部品の原産地規則を
価格を基礎として満たす場合は原産基準が年度によって変動する事が
あるので必ず付録3-B-1を参照する必要があります。
(HS:8407,8408,8701から8708が対象)

上記2点のどちらかの要件を満たして貨物を原産品とする場合、
「用いられた原産性の基準(注4)」に「C-2」と記入することになります。

※根拠条文は附属書三-A 品目別原産地規則の注釈967p

 

例:非締約国より冷蔵庫の鉄鋼部品等を輸入して日本で冷蔵庫を製造する場合。

※出典:日EU・EPA原産地規則について

上記の流れを見ると非締約国から200ユーロ分の原材料を調達し、
それを利用して日本国内で加工し、付加価値(800ユーロ分)を与える
事により最終製品のFOB価格が1,000ユーロとなっている事がわかります。

このような製造工程において製造された冷蔵庫がEUに輸出される際に
当該冷蔵庫が日本の原産品としてみなされるかどうかが問題になります。

そこで、日EU・EPAの品目別規則附属書三Bを確認して、日本の原産品
としてみなされる為の要件を確認します。

附属書三Bにて規定されている冷蔵庫(第84.18項)の品目別原産地規則
はCTH、MaxNOM 50%(EXW) 又は RVC55%(FOB)と規定しています。

 

今回は付加価値基準を用いて原産国を特定するのでCTHは無視し、
①RVC55%②MaxNOM50%の両方の基準を用いて原産国を特定します。

 

①RVCで計算する場合
日本での製造にて付加された価値(800ユーロ)が(運賃含む)
産品全体の価額(1,000ユーロ)に対して55%以上であることから、
当該冷蔵庫は付加価値基準を満たし、原産品と認められる。

②MaxNOMで計算する場合
非原産材料の価額(200ユーロ)が運賃を除いた産品全体の価額(900ユーロ)
に対して50%以下になるので当該冷蔵庫は付加価値基準を満たし、原産品と
認められる(EXW価格が基準となるので運賃の100ユーロを除外して計算する)

①のRVCはFOB価格をベースとして高めの閾値を基準とし、
②のMaxNOMはEXWをベースとして低めの閾値を基準にする事になり、
双方の規定が品目別原産地規則に指定されていればどちらか有利な計算
式を選択して原産国の特定を行う事が可能です。

C-3.特定の生産工程の基準

「特定の生産工程の基準」とは品目ごとに定める工程を経て製造
された貨物に原産品としての資格を与える基準で、化学品や繊維
製品に適用されます。

※根拠条文は附属書三-A 品目別原産地規則の注釈968Pの
「附属書三-B第五部から第七部までに規定する工程の定義」
(詳しくは加工工程基準解説ページをご覧ください。)

その為、非原産材料から品目別原産地規則に指定された製造工程を
経て生産された品目の場合「用いられた原産性の基準(注4)」に
「C-3」と記入することになります。

例:非締約国よりリジン(HS2922.41)を輸入して日本でリジン塩酸塩
(HS2922.41)を製造してEUに向けて輸出。

 


※出典:日EU・EPA原産地規則について

 

この例では非締約国から調達した原料のHSコードと日本での完成品の
HSコード(HS2922.41)が同じなのでそもそも関税分類変更基準を満たす
事はできません。

そこで代わりに加工工程基準を適用する事により、化学反応(精製、
粒径の変更、標準物質の生産、異性体分離若しくは生物工学的工程)が
締約国である日本国内で施されたという事実をもって原産地規則を満た
すという形になります。

上記で挙げた「製造工程」の定義そのものについては附属書3-A 968Pに
製造工程の定義が列挙されておりますので、この規定から実際の品目の
製造工程に当てはめて「化学反応」があったのかどうかを検討する事に
なります。

製造工程の定義はいくつかあります。「化学反応」の定義は「注釈五附
属書3-B第五部から第七部までに規定する工程の定義」の(c)にあります。

(c)「化学反応」とは、分子内の結合を切断し、かつ、新たな分子内の
結合を形成すること又は分子内の原子の空間的配列を変更することに
より、新たな構造を有する分子を生ずる工程(生化学的なものを含む。)
をいう。ただし、この定義の適用上、次の工程は、化学反応とはみな
さない。

(i)水その他の溶媒への溶解
(ii)溶媒(溶媒水を含む。)の除去
(iii)結晶水の追加又は除去

上記定義に当てはめる事によって事例にある非締約国から調達した
リジンが締約国である日本にてリジン塩酸塩となる工程は「化学反応」が
あったということになります。

以下は附属書三Bにて指定されている該当HSの品目別分類規則です。

 

C-4.付録三-B-1第三節の規定の適用がある場合

「付録3-B-1第三節」とは「特定の部品に関連する生産工程が行われた特定の
自動車についての品目別原産地規則の適用」について定めた規定です。

自動車(ガソリン、ディーゼルHS:8703.21から8703.90)に対して使用される
部品に関しては一定の条件を満たした製造工程を経ていれば
締約国での生産品として認められます。

この規定を適用して製造された自動車の場合は
「C-4」と記入する事になります。

※根拠条文は付録三-B-1特定の車両及び車両の部品に関する規定1060p

D.累積

「第3.5条に規定する累積」とは日EU・EPA加盟国全体から調達した
原料や部品等を日EU・EPAにおける原産品としてみなす規定であり、
複数の国が絡むサプライチェーンにおいて非常に有益な制度です。

例えば日本がEU加盟国であるフランスから輸入する完成品Aがあり、
その完成品Aの原料Bはフランスがドイツから調達した物であった場合、
ドイツはEU加盟国なのでその原料Bは日本側から日EU・EPA原産材料
とみなされ、原産地規則を満たす事ができます。

日本から見て逆の立場の場合も同様です。
例えば日本産原料Cをフランスに輸出し、フランスでの完成品Dを
ドイツに輸出した場合も日本産原料Cは日EU・EPA加盟国からの
調達という事でドイツ側から原産材料とみなされます。

つまり日EU・EPA加盟国全体から調達した原料であれば、最終製造工程を
行った国以外から調達した原料であっても原産材料とみなされるという
事になります。
(詳しくは累積解説ページをご覧ください。)

 

また、原料の調達だけではなく「生産行為による付加価値」も累積の
対象となっております。

以下の冷蔵庫の生産例を見ると汎用部品と基幹部品を日EU・EPA締約国
以外で調達しておりますがこのような場合であっても汎用部品から基幹
部品に変える生産行為が日EU・EPA加盟国内で行われている為、この付
加価値の度合いによっては累積の対象となり、日EU・EPA加盟国産品と
して見なされる場合があります。

本事例ではEU加盟国内で行われた汎用部品から基幹部品に変える生産行為
に関わる費用が最終製品の30%分にあたり、更に日本での付加価値30%が
追加されて合計60%の付加価値が日EU・EPA加盟国内で累積として計算す
る事ができます。

この為、冷蔵庫の付加価値基準である55%を超える事となり、当該冷蔵庫
は日EU・EPA原産品としてみなされる事になります。

※出典:日EU・EPA原産地規則について

 

※根拠条文は協定本文59p

E.協定本文第3.6条に規定する許容限度を適用

「第3.6条 許容限度」とは附属書三Bの品目別分類規則を
満たせない貨物に対する救済規定です。

非原産材料であってもその価格割合が貨物全体の価格から見て
僅かである場合はこれを原産材料と見なす規定です。
「原産地規則は満たせないがどうしても少しだけ非原産材料を使いたい」
という場合に有効で、一般的には僅少の非原産材料と呼びます。
(詳しくは僅少の非原産材料解説ページをご覧ください。)

日EU・EPAにおいて許容限度は以下のように規定されています。

(a)統一システム(※注)の第一類から第四九類まで又は
第六四類から第九七類までの各類に分類される産品については、
全ての非原産材料の価額が当該産品の工場渡しの価額又は本船渡しの価額の
10パーセントを超えないとき。
※注この章において言及する統一システムの関税分類番号は、
2017年1月1日に改正された統一システムに基づくものである。

これはHSコードの頭2桁01から49までの貨物と64から97まで(類)に
分類される貨物の場合、非原産材料を用いて原産地規則を満たさないと
しても、完成品のEX-WORKS価格およびFOB価格の10%以下の場合は
原産材料を使用したものとみなすという救済規定です。

(b)統一システムの第五〇類から第六三類までの各類に分類される産品については、
附属書三A注釈六-から注釈八までに定める許容限度が適用されるとき。

これはHSコードの頭2桁50から63までの貨物に分類される貨物(繊維製品)
の場合は附属書3Aの970Pにある注釈6から8に該当する繊維原料であれば
品目別分類規則を満たさなくても原産品として認められるという事になります。

以下許容限度の注意点です。

2.1の規定は、産品の生産において使用される非原産材料の価額が、
附属書三Bに定める要件において特定される非原産材料の最大価額
(百分率で表示されるもの)を超える場合には、適用しない。

3.1の規定は、第3.3条に規定する締約国において
完全に得られる産品については、適用しない。
附属書三Bの規定が産品の生産において使用される材料が
完全に得られる産品であることを要求する場合には、
1及び2の規定を適用する。

※根拠条文は協定本文60p

 

例1:繊維以外の許容限度規定

以下の例では非原産材料の価格が完成品の僅か5%しかないため
この許容限度の基準を満たし、締約国内での原産品として認められます。

 


※出典:日EU・EPA原産地規則について

例2:繊維の許容限度規定

 

繊維製品に対する許容限度の規定は上記の例1とは異なり、附属書3Aの
970Pにある注釈6から8により繊維の材質別に規定がされております。
(当該産品の価額の8%以内/総重量の10%~40%以内)

 


※出典:日EU・EPA原産地規則について

例3:セット品の許容限度規定

複数の種類(複数のHS)の貨物が1セットになっている場合は
基本的に全ての構成要素が原産品である場合に締約国での原産品となりますが
非原産材料の価格がセットのトータル価格の15%以下である場合は
締約国の原産品とみなすことが可能です。


※出典:日EU・EPA原産地規則について

第3.9条 セット
統一システムの解釈に関する通則3及びの規定に従って
関税分類が決定されるセットは、その全ての構成要素が
この章の規定に基づく原産品である場合には、締約国の原産品とする。
セットは原産品である構成要素及び非原産品である構成要素から
成る場合には、非原産品である構成要素の価額が当該セットの
工場渡しの価額又は本船渡しの価額の15パーセントを超えない
ことを条件として、当該セット全体として締約国の原産品とする。

※根拠条文は協定本文63p

注5.場所及び日付

場所及び日付は、これらの情報が文書自体に含まれる場合には、省略することができる。

が作成された場所と作成された日付を記入しますが
書類そのものに記載があれば省略が可能です。

記載要領

上記の点を踏まえて以下のように記述する形になります。

付属書3-Dを使用する場合

※TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA原産地規則について【実務編】より

 

 

インボイス等に直接原産地に関する申告文を記述する場合

出典:「自己申告制度」利用の手引き~日 EU・EPA~より

原産品申告書を作成できる輸出者の定義

日EU・EPA 第3.17条1項 「原産地に関する申告」を確認すると原産品申告書を
作成できる者の定義は以下の通りです。

日EU・EPA 第3.17条1項
原産地に関する申告については、産品が原産品であることを示す情報
に基づいて当該産品の輸出者が作成することができる。

この条文を見ると「輸出者」が原産品申告書を作成できるとある為、
「生産者」等はここに含まれるのかどうかが曖昧です。

そこで税関が発行する⽇ EU・EPA ⾃⼰申告及び確認の⼿引き の1P(PDF3P)を
確認すると以下のような解説があります。

輸出者⾃⼰申告1
輸⼊者が⽇ EU・EPA 第 3・16 条 2(a)(輸出者⾃⼰申告)により特恵待遇を要求する場合、輸出者⾃⼰申告は、輸出者(同 EPA 上「輸出者」とは「⽣産者」を含む(以下同じ。))が同 EPA 第 3 章(原産地規則及び原産地⼿続)附属書 3-D に規定された原産地に関する申告⽂のうちいずれかの⾔語をインボイスその他の商業上の⽂書上に記載することとなっています。

「輸出者」は、⽇ EU・EPA に定める義務を履⾏できる者である限り、産品の輸出に関与し、原産地に関する申告を作成するいかなる者(例えば、⽣産者や商社など)がなり得ます。また当該産品の輸出申告を⾏う者である必要はありません。

⽇ EU・EPA では原産地に関する申告は「輸出者」により作成されることを義務づけていますが、当該申告の作成に使⽤される商業上の⽂書を発⾏する者に関する明確な要件は⼀切規定されていません。

たとえ原産地に関する申告が、他者が作成した⽂書上に作成されたとしても、
産品に関する詳細な説明を提供する義務は「輸出者」が負うことになります。

したがって、⽣産者と商社(輸出事業者)の双⽅が輸出締約国内に所在していれば、⽇ EU・EPA では以下のシナリオが適⽤されることが妨げられることはありません。

出典:⽇ EU・EPA ⾃⼰申告及び確認の⼿引き 

上記の解説から原産品申告書を作成できる輸出者とは「生産者(メーカー)」「商社」
等も双方が輸出締約国に所在していれば輸出者に該当する事になる為、原産品申告書
を作成する者は必ずしも輸出申告を行う者である必要はありません。

原産品申告を通関書類上に記載する場合

原産品申告書である附属書 3-D を通関書類の一部として提出する以外にも
インボイス等の通関書類上に「原産地に関する申告文」を記載する事により
日EU・EPA原産品である事を証明し、関税削減の恩恵を受ける事も可能です。

インボイスに「原産地に関する申告文」記載した例

出典:「自己申告制度」利用の手引き~日 EU・EPA~より

「原産地に関する申告文」をインボイスの別添とする例

出典:日EU・EPA自己申告制度について

納品書に「原産地に関する申告文」記載した例


※通常は当該国の言語により作成

出典:日EU・EPAの現状について(財務省・関税局)

原産地申告文を他者作成文書に記載する場合

原産品申告書である附属書 3-Dを使用せずに直接通関書類上に「原産地に関する
申告文」を記載する場合はどのような書式での記載が適切なのかが問題になります。

例えば輸出申告を行う商社が作成するインボイスに申告文を記載するケースや
生産者が作成する納品書に申告文を記載するケースなどが考えられます。

この場合、通関書類の作成者と原産地申告文を記入する者が同じ場合や
異なる場合がある為、通関書類に原産地申告文を記載する様々なケースと
これらの記載要領を紹介します。

1.生産者作成文書に生産者自身が申告文を記載

以下の事例は輸出申告をしない「生産者」が作成した書類に「生産者」自身が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

2.輸出申告をする商社作成文書に商社自身が申告文を記載

以下の事例は輸出を行う「商社」が作成した書類に「商社」自身が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合、商社は生産者と密な連携を取り、日EU・EPA上の原産品であるという
ことを確認して商社自身の責任において「原産地に関する申告文」を作成。

3.輸出申告をする商社作成文書に生産者が申告文を記載

以下の事例は輸出を行う「商社」が作成した書類に「生産者」が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合は書類作成者と原産地に関する申告文を記載する者が異なる為、
「原産地に関する申告文」の後に以下の文面を追記する必要があります。

※追記文例
The exporter who made out a statement on origin is a producer
of the product. The exporter did not issue the commercial
document with the statement on origin.

上記追記文の内容は本事例の場合、仕入書上に「原産地に関する申告文」を
記載した者は当該品目の生産者であるが、生産者は仕入書そのものの作成者では
ありません
という意味になります。

4.生産者作成文書に商社が申告文を記載

以下の事例は「生産者」が作成した書類に輸出を行う「商社」が
「原産地に関する申告文」を記載するケース。

この場合は書類作成者と原産地に関する申告文を記載する者が異なる為、
「原産地に関する申告文」の後に以下の文面を追記する必要があります。

※追記文例
The exporter who made out a statement on origin is a trading company of
the product. The exporter did not issue the commercial document with the
statement on origin.

上記追記文の内容は本事例の場合、納品書上に「原産地に関する申告文」を
記載した者は当該品目の商社であるが、商社は仕入書そのものの作成者ではありません
という意味になります。

出典:日EU・EPAの現状について(財務省・関税局)

日EU・EPA運用における意見相違

日EU・EPAは多数の国が加盟国となるメガFTAであり、関税削減においては
非常に利便性の高い制度ではありますが、多くの国による様々な意見により
運営が必ずしも統一的でないという問題点もあります。

例えば以下のような問題点があります。
①生産者(製造者、メーカー)が作成した原産地に関する申告(原産品申告書)が
受領されず、輸出申告を行う者が作成する原産地に関する申告を要求される。

②原産地に関する申告を記載することのできる「商業上の文書」の範囲

③第三国において発行されたインボイスに伴って使用される原産地に関する申告
の取り扱い

上記3点は2019年6月26日に開催された日EU・EPA原産地規則及び税関に関連する
事項に関する専門委員会の第一回会合においてガイドラインが作成されています。

日EU・EPA新ガイドライン(和文/英文)
日EU・EPA新ガイドライン解説書(和文/英文)

本ガイドラインでは上記3点の問題が生じないよう明確な定義があるため、日EU・EPA
を活用して関税削減を行う輸出入者様、製造者様において上記問題が発生した場合は
本ガイドラインを活用して頂ければと思います。
また、EU側の取引先との意見相違がある場合は英語版を送付することにより相手方の
理解を得やすくなるのではと考えます。

①生産者が作成した原産地に関する申告が受領されない問題

協定文に特恵関税率の適用を要求する場合「輸出者によって作成された原産地に関する
申告」が必要と記載されているため、確かに読み方によっては製造者が作成した原産地
に関する申告は受理できないようにも見えますが、新ガイドラインの別添1.【EU税制
関税同盟総局と⽇本税関の間で合意した共通⽂書】において輸出者とは

a) ⽇本⼜は EU のいずれかに所在し、
所在する締約国で課される法的義務を履⾏する者である。

b) 原産品を輸出し、⼜は⽣産する者(原産地に関する申告を作成する者に限る)
である。

つまり協定文にある「輸出者によって作成された原産地に関する申告」というのは
生産者によって作成された申告でもよいと考えられます。

②原産地に関する申告を記載する「商業上の文書」の範囲

新ガイドラインの別添1のQ&AのサブQ3において「商業上の文書」の範囲についての
回答があります。

サブ Q3︓
原産地に関する申告に使⽤される「その他の商業上の⽂書」とは何ですか︖

A︓
何が「商業上の⽂書」であるのか協定上の定義はありませんが、商業取引が記録された
書類と考えられます。したがって、「商業上の⽂書」は、仕⼊書そのもの以外に、プロ
フォーマインボイス、船積書類(パッキングリスト、デリバリーノート)等の各種⽂書
が含まれます。

原産地に関する申告に⽤いられる仕⼊書その他の商業上の⽂書には、原産品について
特定するのに⼗分詳細な説明があることのみが協定上の要件として求められます。
なお、原産品ではない他の産品が同仕⼊書その他の商業上の⽂書に含まれる場合には、
原産品と明確に区別して下さい。

原産地に関する申告は、以下の条件を満たせば、仕⼊書その他の商業上の⽂書以外の
別紙(例えば、⽩紙もしくは企業名のレターヘッド⼊りの⽤紙)に作成することがで
きます。

– 仕⼊書その他の商業上の⽂書から当該別紙との関連が明らかな場合、 または
– 当該別紙から仕⼊書その他の商業上の⽂書との関連が明らかな場合
このような場合には、当該別紙を仕⼊書その他の商業上の⽂書の⼀部とすることができ
ます
上記の取扱いについてはQ1への回答に記載された4つのシナリオにも適⽤されます。

どの書類に原産地に関する申告文を記載するにしてもリファレンス番号等を付記し、
仕入書との関連性を明白にする必要があると考えます。

③第三国において発行されたインボイスに伴う原産地に関する申告

サブ Q2︓
第三国で作成された仕⼊書上に原産地に関する申告を記載することはできますか︖

A︓
輸出者(⽣産者または貿易事業者)が輸出締約国に所在する⼀⽅で仕⼊書を発⾏する
貿易事業者が第三国に設⽴されている場合、第三国の貿易事業者が発⾏する⽂書上に
「輸出者」が原産地に関する申告を作成することは想定されていません。この場合、
原産地に関する申告は、輸出締約国に所在する「輸出者」(サブ Q1で記載したシナ
リオのいずれかに該当するシナリオで、第三国に設⽴された貿易事業者ではなく、
輸出締約国に所在する⽣産者や貿易事業者)により発⾏された商業上の⽂書(例えば、
デリバリーノート)に記載されなければなりません。

また、「輸出者」(サブ Q1で記載したシナリオのうちいずれかのシナリオでの⽣産者
⼜は貿易事業者)によって発⾏された⽂書上に作成された原産地に関する申告に基づく
関税上の特恵待遇の要求は、仕⼊書が第三国において発⾏されたことのみを理由として、
否認されないことに留意して下さい。

保存書類

輸入者は輸入許可の日の翌日から5年間以下の書類を保存。
①輸入者自己申告の場合は、産品が原産品としての資格を得るた
めの要件を満たすことを示すすべての記録。
②輸出者・生産者の自己申告の場合は、その申告書面。

輸出者、生産者は作成の日から4年間以下の書類を保存。
①申告書面の写し、
②産品が原産品としての資格を得るための要件を満たすことを示す
すべての記録。

相手国から原産性の事後確認(検認)

FTA特恵関税を適用した貨物を輸出し、相手国側での関税削減を行った
場合、後日相手国から原産性の事後確認が行われる可能性があります。
これを検認(Verification)と呼びます。

日EU・EPAの場合の検認は日本の機関税関からの問い合わせになります
ので日本語での回答が可能ですが、書面による資料に関しては英文での
提出を要求される事が考えられます。

 

輸出者が情報開示をしない場合

日EU・EPAによって関税削減の機会があったとしても、製品の製造者等が
企業秘密を理由に原料や製造工程の情報を開示しないケースが多々あり、
関税削減の機会を台無しにしてしまう例が後を絶ちません。

特に「自己証明制度」ではこのような秘密情報を取引先間で共有する必要が
出てくる場面が多くなってしまう為、情報公開を拒まれればの
作成が困難になってしまいます。

日EU・EPAの場合、上記のような問題によって関税削減の機会を
減らさないようにとても有益な対策が規定されております。

税関資料「自己申告制度の利用」81Pを確認すると
以下のような記述がございます。
—————————————————————————-
②日本税関からの原産性の確認への対応
輸出者又は生産者が作成した※を用いて申告した場合には、
輸出者等から必要な情報を入手していただき、それを元に回答してください。
企業秘密等の理由により輸出者等から情報を得られないような事情が
ある場合には、その旨回答してください。

日 EU・EPA においては、輸入者の手配により輸出者又は生産者から
日本税関に対し、直接情報を送付することもできます。
輸出者又は生産者がを作成した場合には、必要に応じて、
日本税関から輸出者等へ情報提供要請を行うことがあります。

※(ANNEX 3-D)
—————————————————————————-

これはつまりを輸出者が作成した場合であっても
輸入者が輸入国税関から原産性の確認を問われた際は
基本的に輸入者が税関に説明する必要がありますが、企業秘密等により
どうしても輸出者から情報の開示が得られない場合は、税関に相談し、
回答を税関が直接輸出者から得る事のできる規定となっております。

この規定があれば貿易取引間での相手方の秘密情報の開示要求をせずとも
税関を通して秘密情報のやりとりができるので、企業秘密を主張して
情報の開示を渋る相手側も納得して協力してくれる可能性が高くなります。

これは日EU・EPAでの規定ですので、日本側が輸出者である場合は
EU側の輸入者に秘密情報を開示せずに、日本側の輸出者が
EU側の税関に直接秘密情報を伝える事も可能とする規定です。

実際の運用には相談が必要になりますので、事前教示制度等を利用して
予めこのような形での関税削減が可能かどうかを確認する必要があります。

事前に確認をせずにこの規定を頼りに輸入してしまうと通関本番で
情報の伝達に不具合が発生した場合に貨物がストップしてしまう可能性も
ありますのでご注意ください。

また、この規定は日EU・EPAのものですが、他のFTA/EPAであっても
税関に事情を説明して間に入ってもらえるよう請願する事によって
柔軟な対応をしてくれるケースもございます。

私自身通関士をしていた際にはやはりこのような問題が多く発生しており
守秘義務を負う通関士にすら情報開示を拒む企業もありました。

このような場合には税関に請願して直接第三者から情報を受けてもらえる
ように手配し、目的を達成したことは何度かございます。

情報開示を拒絶されたといってもすぐにあきらめずに何か解決方法を
税関に相談するというのは非常に有効です。

情報開示に関する特例の根拠条文:日本語

第3章・21条
原産品であるかどうかについての確認

4
輸入者は、輸入締約国の税関当局に対し、関税上の特恵待遇の要求が
※第3章 16条2項(a)に規定する原産地に関する申告に基づくものである
場合において、要求された情報がその全てについて又は一若しくは二
以上のデータの要素に関連して輸出者から直接提供され得るときは、
その旨を通報する。

※第3章 16条2項(a)の規定
産品が原産品であることについての輸出者によって
作成された原産地に関する申告

情報開示に関する特例の根拠条文:英語

ARTICLE 3.21
4. If the claim for preferential tariff treatment was based on a
statement on origin referred to in*subparagraph 2(a) of Article 3.16,
the importer shall inform the customs authority of the importing
Party when the requested information may be provided in full or
in relation to one or more data elements by the exporter directly.

*subparagraph 2(a) of Article 3.16
a statement on origin that the product is originating made out by
the exporter

 

日EU・EPA関税率の推移を見る

日本側関税率とカウント方法

日EU・EPAによって恩恵を得られる関税率は譲許表で確認します。
以下の譲許表にHSコード別に関税率が記載されております。
-日本側譲許表1から14類まで
-日本側譲許表15類以降

⽇本の譲許表については、発効時から翌年 3 ⽉ 31 ⽇までが「1 年⽬」、
その後の各年は毎年 4 ⽉ 1 ⽇に始まります。

EU側関税率とカウント方法

日本からEU加盟国に輸出する場合の相手国側の関税率は
EU側譲許表にHSコード別に関税率が記載されております。

EUの譲許表については、発効時から 12 カ⽉間を「1 年⽬」、
その後の各年は、前年の終了後の 12 カ⽉間となります。

 

EU側の関税率を調べる

EUが提供するシステムThe Market Access Database(EUTariffs)では
EU側での協定関税率だけでなく原産国を指定すればその国に対して
適用しうる特恵関税率と協定名等を表示してくれます。

例えば日本産の貨物を輸出する場合にEU側で日EU・EPA関税率が
適用できるかどうかも一目でわかります。

検索画面は以下のようになっております。

 

日EU・EPAでの関税率を調べる

Countryの欄に原産地規則上原産国とされる国名を指定し
下段のフォームにはHSコードを6桁から10桁で入力します。

EU側のHSコードが不明な場合

HSコードは頭6桁までは全世界共通となっておりますが残り4桁はEU側で
独自に設定しているものとなりますので日本で申告する際に使用するHSコード
とは異なりますので注意が必要です。

HSコードの頭6桁は把握しているが、EU側で使用する残り4桁が不明な場合は
検索画面にある”Find my product code”のリンクをクリックし、以下の画面から
EU側でのHSコードを検索する事が可能です。

 

 

EU側のHSコードが不明な場合

画面右側SECTIONの部分のカッコ内の数字がHSの頭2桁(類)を表します。
HSコードの頭6桁まで判明している場合は上記のように該当項目を探しながら
最終的に10桁まで掘り下げていく事が可能です。

 

EU側での関税率一覧

EU側でのHSコード全桁を特定し、検索を実行すると以下の画面が表示されます。

最初の検索画面で原産国をJapanと指定しているので日本産の貨物に適用
されうる関税率の一覧が表示されます。

日本産の貨物であっても日EU・EPAを適用しない一般貨物であれば
OriginがAny CountryでMeasure TypeはThird country dutyの欄を確認します。
これはEU以外の国から輸入する一般的な貨物に課される関税率の
事で、この場合は関税率6.5%が課されるという事になります。

また、4段目にあるOriginがJapanでMeasureTypeがTariff preferenceとあるのが
日EU・EPAの特恵関税率を表しております。

更に右側のEU Lawの欄の番号のリンクをクリックするとその関税率となる
法的根拠を表示するページへ移動する事が可能です。

 

 

※本記事は税関による日EU・EPA解説スライド、
「自己申告制度」利用の手引きを参考にして作成されました。

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: 原産地申告書, 原産地証明書, 日EU, 日欧, 日欧経済連携協定, 自己証明

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