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関税削減.com【EPA適用HSコード解説】

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税関が敗訴したHS分類訴訟(カルシウム錠剤)

最終更新日2018年6月18日 By 河副太智 Leave a Comment

今回紹介するHS分類についての裁判事例はカルシウム錠剤のHS分類を
巡ったドイツ税関と輸入者の意見相違による争訟です。
欧州司法裁判所の判例

当該品目は500mlのカルシウム錠剤で
輸入者は3004.90(関税無し)の医薬品で申告しましたが
税関はこれを医薬品として認めませんでした。

税関側の主張としては当該品目の一日の摂取量が医薬品として
必要な摂取量に到達していないという事で調製食料品(2106.90関税率12.8%)に分類

輸入者側の意見は当該品目で得られるカルシウムの量は健康を維持する為に
必要な摂取量に到達しているので医薬品であると主張。

 

この争いの争点はどれほどの量のカルシウムであれば
医薬品として定義されるのかというところです。

 

ドイツ側では健康を維持する為の一日の一般的カルシウム摂取量は
800mgとされているようです。

輸入者によると当該品目で摂取できるカルシウムの量は500mg x 3回の1,500mgとなるが
税関はその程度の摂取量では医薬品には該当しないと主張しました。

 

医薬品とそうでないものの定義は
EU側のHS分類解説(CN)30類の追加類注1(Additional note)を参考にします。
(赤字部分をご覧ください。)

In the case of preparations based on vitamins, minerals,
essential amino-acids or fatty acids, the level of one of these substances
per recommended daily dose indicated on the label
must be significantly higher than the recommended daily allowance to
maintain general health or well-being.

 

上記類注のsignificantly higherというのがポイントです
一日の推奨カルシウム摂取量800mgを大幅に超えるものが30類(医薬品)
に属するとの定義です。

では実際にsignificantly higherというのがどのくらいなのかを定めているのが
EU側のHS分類解説(EN)の30類Additional note1に以下のような表記があります。

 

Vitamins or mineral preparations are preparations based on vitamins of heading 2936, on minerals including trace elements and mixtures thereof. They are used to treat or prevent specific diseases, ailments or their symptoms. Such preparations contain a much higher amount of vitamins or minerals, generally at least three times higher than the recommended daily allowance (RDA).

 

ここでthree times higherというワードが出てきました。
これにより税関側の見解は一日の推奨カルシウム摂取量の800mgの3倍の2,400mgの
カルシウム錠剤であれば医薬品として認めるとの主張です。

これに対し輸入者は一日に2,400mgもカルシウムを摂取したら
逆に有害であるので3倍基準を定める分類ルールはおかしいと主張しました。

 

 

両社の主張に対し、ハンブルグ財政裁判所はEU側のHS分類解説(EN)の
30類Additional note1にある文言に注目しました。
“generally at least three times higher than the recommended daily allowance ”

 

generallyという単語を使用している事から「一般的に3倍」という意味なので
全てがそうでなければいけないというわけではなく、
一日に2,400mgのカルシウムが逆に人体に有害であると考えられれば
このルールは例外として処理しても問題無いと判断、

 

これにより輸入者の訴えが通り、
当該カルシウム錠剤は医薬品に無事分類されたという裁判事例でした。

 

一方的な役人の主張が通らない判例であり
輸入者と税関が平等な土俵で戦ったケースです。

当然の事と言えば当然ではありますが
多くの輸入者にとって勇気づけられる出来事ではないでしょうか

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