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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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FTA/EPA

※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

EU関税率の調べ方

最終更新日2019年3月26日 By 河副太智 Leave a Comment

日EU・EPA活用の際に最初にする事はEU側での関税率を調べる事です。

海外の関税率を調べる場合、一般的にFedEx様のWorldTariffを使用する事が
多いかと思いますが日EU・EPAでの関税率を調べるのであれば直接
EU側のシステムを利用する事により、より詳細な情報が入手可能です。

EUTariffsで関税率を調べる

EUが提供するシステムThe Market Access Database(EUTariffs)では
EU側での協定関税率だけでなく原産国を指定すればその国に対して
適用しうる特恵関税率と協定名等を表示してくれます。

例えば日本産の貨物を輸出する場合にEU側で日EU・EPA関税率が
適用できるかどうかも一目でわかります。

検索画面は以下のようになっております。

 

日EU・EPAでの関税率を調べる

Countryの欄に原産地規則上原産国とされる国名を指定し
下段のフォームにはHSコードを6桁から10桁で入力します。

EU側のHSコードが不明な場合

HSコードは頭6桁までは全世界共通となっておりますが残り4桁はEU側で
独自に設定しているものとなりますので日本で申告する際に使用するHSコード
とは異なりますので注意が必要です。

HSコードの頭6桁は把握しているが、EU側で使用する残り4桁が不明な場合は
検索画面にある”Find my product code”のリンクをクリックし、以下の画面から
EU側でのHSコードを検索する事が可能です。

 

 

EU側のHSコードが不明な場合

画面右側SECTIONの部分のカッコ内の数字がHSの頭2桁(類)を表します。
HSコードの頭6桁まで判明している場合は上記のように該当項目を探しながら
最終的に10桁まで掘り下げていく事が可能です。

 

EU側での関税率一覧

EU側でのHSコード全桁を特定し、検索を実行すると以下の画面が表示されます。

最初の検索画面で原産国をJapanと指定しているので日本産の貨物に適用
されうる関税率の一覧が表示されます。

日本産の貨物であっても日EU・EPAを適用しない一般貨物であれば
OriginがAny CountryでMeasure TypeはThird country dutyの欄を確認します。
これはEU以外の国から輸入する一般的な貨物に課される関税率の
事で、この場合は関税率6.5%が課されるという事になります。

また、4段目にあるOriginがJapanでMeasureTypeがTariff preferenceとあるのが
日EU・EPAの特恵関税率を表しております。

更に右側のEU Lawの欄の番号のリンクをクリックするとその関税率となる
法的根拠を表示するページへ移動する事が可能です。

 

EUで特恵関税率が適用できる国を探す

The Market Access Database(EUTariffs)では国別に指定する事より、どの特恵関税が
適用できるかを検索する事ができましたが、複数の国の情報を調べようとすると
何度もフォームに国名を入力して都度検索する手間がありますので、
多数の国を対象とした特恵関税率の検索はFedEx様のWorldTariffをお勧めします。

WorldTariffの検索結果画面のHSコードをクリックすると、当該HSに適用しうる
協定や関税率が一覧で表示されますので多国間との情報の一覧が必要な場合には
WorldTariffの方が便利です。

 

 

Filed Under: FTA/EPA, 日EU・EPA

原産性を証明する秘密情報を輸出側が開示拒否する場合

最終更新日2019年3月18日 By 河副太智 Leave a Comment

FTA/EPAによって関税削減の機会があったとしても、製品の製造者等が
企業秘密を理由に原料や製造工程の情報を開示しないケースが多々あり、
関税削減の機会を台無しにしてしまう例が後を絶ちません。

特に「自己証明制度」ではこのような秘密情報を取引先間で共有する必要が
出てくる場面が多くなってしまう為、情報公開を拒まれれば原産品申告書の
作成が困難になってしまいます。

日EU・EPAではこういった問題によって関税削減の機会を減らさないように
とても有益な対策が規定されております。

 

税関資料「自己申告制度の利用」81Pを確認すると
以下のような記述がございます。
—————————————————————————-
②日本税関からの原産性の確認への対応
輸出者又は生産者が作成した※原産品申告書を用いて申告した場合には、
輸出者等から必要な情報を入手していただき、それを元に回答してください。
企業秘密等の理由により輸出者等から情報を得られないような事情が
ある場合には、その旨回答してください。

日 EU・EPA においては、輸入者の手配により輸出者又は生産者から
日本税関に対し、直接情報を送付することもできます。
輸出者又は生産者が原産品申告書を作成した場合には、必要に応じて、
日本税関から輸出者等へ情報提供要請を行うことがあります。

※原産品申告書(ANNEX 3-D)
—————————————————————————-

 

これはつまり原産品申告書を輸出者が作成した場合であっても
輸入者が輸入国税関から原産性の確認を問われた際は
基本的に輸入者が税関に説明する必要がありますが、企業秘密等により
どうしても輸出者から情報の開示が得られない場合は、税関に相談し、
回答を税関が直接輸出者から得る事のできる規定となっております。

この規定があれば貿易取引間での相手方の秘密情報の開示要求をせずとも
税関を通して秘密情報のやりとりができるので、企業秘密を主張して
情報の開示を渋る相手側も納得して協力してくれる可能性が高くなります。

これは日EU・EPAでの規定ですので、日本側が輸出者である場合は
EU側の輸入者に秘密情報を開示せずに、日本側の輸出者が
EU側の税関に直接秘密情報を伝える事も可能とする規定です。

実際の運用には相談が必要になりますので、事前教示制度等を利用して
予めこのような形での関税削減が可能かどうかを確認する必要があります。

事前に確認をせずにこの規定を頼りに輸入してしまうと通関本番で
情報の伝達に不具合が発生した場合に貨物がストップしてしまう可能性も
ありますのでご注意ください。

根拠条文

日本語

第3章・21条
原産品であるかどうかについての確認

4
輸入者は、輸入締約国の税関当局に対し、関税上の特恵待遇の要求が
※第3章 16条2項(a)に規定する原産地に関する申告に基づくものである
場合において、要求された情報がその全てについて又は一若しくは二
以上のデータの要素に関連して輸出者から直接提供され得るときは、
その旨を通報する。

※第3章 16条2項(a)の規定
産品が原産品であることについての輸出者によって
作成された原産地に関する申告

英語

ARTICLE 3.21
4. If the claim for preferential tariff treatment was based on a
statement on origin referred to in*subparagraph 2(a) of Article 3.16,
the importer shall inform the customs authority of the importing
Party when the requested information may be provided in full or
in relation to one or more data elements by the exporter directly.

*subparagraph 2(a) of Article 3.16
a statement on origin that the product is originating made out by
the exporter

Filed Under: 日EU・EPA

乳製品がEU向けに輸出可能に

最終更新日2019年3月15日 By 河副太智 Leave a Comment

農林水産省によると日本産乳及び乳製品の輸出を求めるEUとの交渉の結果、
EU向けに乳製品を輸出を認められた国として、日本がEUの第三国リストに
掲載されました。

 

実際にEU向けに乳及び乳製品を輸出するには、厚生労働省が対EU輸出施設
の認定を行った後、EU側からも認定を受ける必要があります。
また、原料乳を生産している農場の農林水産省への登録も必要となるので
様々な手続きをクリアする事が課題になります。

原則としてEUに輸出される加工食品に使用される動物性原材料は、
認定施設から供給されたものであることの証明が必要ですが
例外措置として以下の条件に合致する一部加工食品は日本で製造されたもの
(第三国リスト掲載国)であれば「動物性原材料が認定施設由来であること
の証明」は免除となりますが2020年12月末までの経過措置である事に注意
が必要です。

① 肉類(肉エキスを含む)を原材料に使用していない。
② 動物性原材料の使用割合が50%未満。
③ 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している。
④ ヒトの食用であることが明記されている。
⑤ 清潔な容器に密封されている。
⑥ 加盟国の公用語で記載された送り状等の商用文書および食品ラベル表示により、
加工食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。

EU根拠条文
COMMISSION REGULATION (EU) No 28/2012
COMMISSION REGULATION (EU) 2017/185
COMMISSION DECISION

 

今後農林水産省は対EU輸出施設の認定等に必要な
「対EU日本産畜産物輸出取扱要綱(仮称)」を作成する予定です。

乳及び乳製品に関する日本のEU第三国リスト掲載について

Filed Under: 日EU・EPA

サプライヤー証明書英語サンプル

最終更新日2019年8月31日 By 河副太智 Leave a Comment

FTA/EPAを活用して関税削減するための原産地証明手続きにおいて
サプライヤー証明書が必要になる場合があります。

例えば輸出の場合であれば相手国の税関に対し日本産であるという事を
証明する為には「原産地証明書」「原産品申告書」を提出しますが
その根拠の裏付けとして「サプライヤー証明書」が必要になる場合があります。

逆に日本側に輸入する場合にもFTA/EPA締約国にて製造された貨物である事を
証明する為に「原産地証明書」「原産品申告書」を税関に提出しますが
同じように根拠の裏付けとして「サプライヤー証明書」が必要になる場合が
あります。

問題はサプライヤー証明書の定義が曖昧であり、いつ必要なのか、
どのような状況で要求されるのか、書式は何を使用するのか、何を記載すれば
よいのかという部分がわかりずらい事にあるかと思います。

本記事ではサプライヤー証明書の解説を行い、原産品申告書の作成をスムーズに
進める為の考え方を紹介します。

サプライヤー証明書とは

輸出者が原産品申告書を作成する場合には輸出先の税関に対し該当貨物が
締約国での原産品である事実を輸出者自身が証明する事になりますが、
必ずしも輸出者=製造者では無いので、証明者である輸出者が自社の貨物の
原産国がどこになるのかを完全に把握できない場合にサプライヤー証明書が
必要となります。

実際の通関手続きでは税関に対して原産地証明書や原産品申告書を提出すれば
特恵関税率を適用して通関許可になる事が多いかと思いますが
検認や事後調査等で揉めることの無いように初めからサプライヤー証明書を
取得しておく事を強くお勧めします。

サプライヤーの協力

ここで問題となるのはサプライヤーが快くサプライヤー証明書の作成に
応じてくれるかどうかというところですが現状は応じてくれずに輸出者が
困る事が多いようです。

その理由として多いのが以下の3つです。

1.サプライヤー証明書、原産地規則の趣旨の理解ができない
2.製造に関する秘密情報保持の為
3.忙しく、そもそも協力する意思が無い

証明書発行以前に上記のような問題がありますとそもそも関税削減どころの
話ではないのでこの点に関しては根気よくサプライヤーとの交渉が必要にな
るかと思います。

特に上記2.の秘密情報保持の為にサプライヤーが協力して頂けない場合は
非常に困難を伴います。

原料に関する情報、仕入れ価格、製造工程など、サプライヤーにとっては
死活問題となる秘密情報です。
いくら長いお付き合いがあろうともサプライヤーが貨物製造に関わる
秘密情報を原産品申告書の作成の為にスムーズに提供してくれるか
というとなかなか難しい部分があると思います。

商工会議所が発行する「原産地証明書」の場合は上記のようなサプライヤー様側
による秘密保持意識によりサプライヤー証明書が取得できない場合は
サプライヤー自身が輸出者に情報を開示しなくても「同意通知」制度を利用して
直接商工会議所に情報を開示すれば「原産地証明書」の発行が可能でした。

しかし、TPPや日EUEPAでは商工会議所が介入する「原産地証明書」ではなく
輸出者等が自身で作成する「自己証明制度」になっており商工会議所が間に
入らない為、「同意通知」という概念が存在せず、輸出者が原産品
申告書を作成する際にサプライヤーから製造方法等情報を開示して
もらう必要が出てきてしまいます。

交渉の方法としてはサプライヤー証明書の作成によりグローバルな販売促進が
加速する事を説明したり、原産地規則の知識や作成した証明書のノウハウを
使ってサプライヤー自身による新規開拓にも貢献できる事をアピールする
事でサプライヤーに興味を持っていただく体制が重要になります。

企業秘密を理由に情報開示をしない場合

日EU・EPAの場合、上記のような問題によって関税削減の機会を
減らさないようにとても有益な対策が規定されております。

税関資料「自己申告制度の利用」81Pを確認すると
以下のような記述がございます。
—————————————————————————-
②日本税関からの原産性の確認への対応
輸出者又は生産者が作成した※原産品申告書を用いて申告した場合には、
輸出者等から必要な情報を入手していただき、それを元に回答してください。
企業秘密等の理由により輸出者等から情報を得られないような事情が
ある場合には、その旨回答してください。

日 EU・EPA においては、輸入者の手配により輸出者又は生産者から
日本税関に対し、直接情報を送付することもできます。
輸出者又は生産者が原産品申告書を作成した場合には、必要に応じて、
日本税関から輸出者等へ情報提供要請を行うことがあります。

※原産品申告書(ANNEX 3-D)
—————————————————————————-

これはつまり原産品申告書を輸出者が作成した場合であっても
輸入者が輸入国税関から原産性の確認を問われた際は
基本的に輸入者が税関に説明する必要がありますが、企業秘密等により
どうしても輸出者から情報の開示が得られない場合は、税関に相談し、
回答を税関が直接輸出者から得る事のできる規定となっております。

この規定があれば貿易取引間での相手方の秘密情報の開示要求をせずとも
税関を通して秘密情報のやりとりができるので、企業秘密を主張して
情報の開示を渋る相手側も納得して協力してくれる可能性が高くなります。

これは日EU・EPAでの規定ですので、日本側が輸出者である場合は
EU側の輸入者に秘密情報を開示せずに、日本側の輸出者が
EU側の税関に直接秘密情報を伝える事も可能とする規定です。

実際の運用には相談が必要になりますので、事前教示制度等を利用して
予めこのような形での関税削減が可能かどうかを確認する必要があります。

事前に確認をせずにこの規定を頼りに輸入してしまうと通関本番で
情報の伝達に不具合が発生した場合に貨物がストップしてしまう可能性も
ありますのでご注意ください。

また、この規定は日EU・EPAのものですが、他のFTA/EPAであっても
税関に事情を説明して間に入ってもらえるよう請願する事によって
柔軟な対応をしてくれるケースもございます。

私自身通関士をしていた際にはやはりこのような問題が多く発生しており
守秘義務を負う通関士にすら情報開示を拒む企業も当然おりましたので
そういった場合には税関に請願して直接第三者から情報を受けてもらえる
ように手配し、目的を達成したことは何度かございます。

情報開示を拒絶されたといってもすぐにあきらめずに何か解決方法を
税関に相談するというのは非常に有効です。

根拠条文:日本語

第3章・21条
原産品であるかどうかについての確認

4
輸入者は、輸入締約国の税関当局に対し、関税上の特恵待遇の要求が
※第3章 16条2項(a)に規定する原産地に関する申告に基づくものである
場合において、要求された情報がその全てについて又は一若しくは二
以上のデータの要素に関連して輸出者から直接提供され得るときは、
その旨を通報する。

※第3章 16条2項(a)の規定
産品が原産品であることについての輸出者によって
作成された原産地に関する申告

根拠条文:英語

ARTICLE 3.21
4. If the claim for preferential tariff treatment was based on a
statement on origin referred to in*subparagraph 2(a) of Article 3.16,
the importer shall inform the customs authority of the importing
Party when the requested information may be provided in full or
in relation to one or more data elements by the exporter directly.

*subparagraph 2(a) of Article 3.16
a statement on origin that the product is originating made out by
the exporter

書式と記載事項

サプライヤー証明書の書式は特に定められておりませんが最低限必要な
記載事項の例示はあります。

 

※原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示にて
紹介されているサプライヤー証明書の例

 

サプライヤー証明書に記載が必要な内容は下記のとおりです。
1.証明書の作成年月日
2.製造された物品の供給先名
3.製造者の氏名又は名称、住所、担当者の氏名、所属部署名、連絡先
4.利用する協定名
5.製造された物品が原産品であることを証明する旨の記載(宣誓文)
6.製造された物品の品名(英文)
7.物品を特定できる情報(製造番号、型番等)
8.HSコード
9.判定基準
10.生産場所(住所、工場名等)

 

 

英語版サプライヤー証明書フォーム

上記の例は日本語によるサプライヤー証明書ですが、TPPや日EUEPAでは
多くの場合英語のサプライヤー証明書が必要になる事かと思います。

日本から輸出する場合は相手国の税関に対し原産性を証明するのでサプラ
イヤー証明書は英語や他の言語で記述する必要があります。

また、日本に輸入する場合はサプライヤーが日本語を理解している場合以外は
基本的には英語で記載する必要がありますのでいくつかの英語版サプライヤー
証明書書式例を紹介します。

日豪EPA版サプライヤー証明書

日豪EPAの英語版サプライヤー証明書の文言の例示は以下になります。


「自己申告制度」利用の手引き(43p)

 

上記の例では表題がOrigin Statement/Declarationとなっており、
原産性の宣言という意味になります。

「サプライヤー証明書」は正式にはSupplier’s declarationと言いますが
どちらも目的はほぼ同一ですので輸入先の税関との協議で分かりやすい表題を
選びましょう。

EU版サプライヤー証明書

EUではサプライヤー証明書フォームが指定されております。
この書式を応用すればEU以外の国での証明の際に参考になります。

 

日EUEPAサプライヤー証明書フォーム

 

上記例では4パターンのサプライヤー証明書が紹介されております。
それぞれの詳細は以下のようになります。

①ANNEX 22-15
締約国での原産品である事を宣言すサプライヤー証明書

②ANNEX 22-16
期限を定めた締約国での原産品である事を宣言すサプライヤー証明書

③ANNEX 22-17
非原産材料を加工した締約国原産品である事を宣言するサプライヤー証明書
(①、②とは異なり関税分類変更基準、付加価値基準の記載欄がある)

④ANNEX 22-18
期限を定めた非原産材料を加工した締約国原産品である事を宣言する
サプライヤー証明書

宣誓文

宣誓文に関しては直接の規定が無い場合は輸入先の税関の心証が良くなるような
文面を用意すればスムーズに話が進むでしょう。

基本的な宣誓文としては以下をベースとして記述し、

I, the undersigned, declare that the goods listed on
this document (品名)originate in (生産国名)and satisfy the
rules of origin governing preferential trade
with (国、地域、FTA/EPAの名称等どの特恵関税制度を利用しているか)

更に、疑義があればいつでも対応する事を明文化すると心証は良くなります。

I undertake to make available to the customs authorities
any further supporting documents they require.

 

絶対確実な正解は無い

サプライヤー証明書はこれを記載すれば確実であるという正解がありません。
HSコードの事前教示のようにサプライヤー証明書の事前教示があれば非常に
嬉しいのですが事前に税関側にサプライヤー証明書を見せて
「これで検認時に問題は出ませんか?」と聞いても明確な回答は期待できません。

何かあれば追加資料や調査に協力するという形で納得してもらうしかないので
この部分については非常に不安になる方が多いかと思います。

この不安を払拭するにはやはり作成者自身による原産地規則の理解が
不可欠であり、その理解をもって原産性を証明する書類の作成が重要です。

どんな厳しい事後調査や検認があっても証明できるという自信をもって
原産品判定書類の作成に挑んで頂ければと思います。

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: サプライヤー証明書

TPP相手国による「税率差」

最終更新日2018年12月23日 By 河副太智 Leave a Comment

日本がTPP締約国から輸入する際の関税率は基本的には締約国すべてに
対して同じ税率が設定されておりますが、一部の品目については
相手国によって異なる関税率を設定しております。

当記事はTPPを利用して以下のHS6桁に該当する貨物を輸入する場合に
知っておく必要のある規則です。
HS:1005.90、1702.60、3505.10、4407.11、4407.12、4410.11、
4410.12、4412.31、4412.32、4412.39、7202.11、7202.30、7202.60、
7202.92、7501.20、7502.10、7502.20、7504.00の一部

 

税率差のある品目の例

財務省関税局によるTPP解説スライドを参考にすると
エステル化でん粉 HS3505.10-100の例が税率差のある品目の例として
紹介されております。

 

TPP相手国による「関税率差」の解説

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

上記の図を見るとTPPが始まっても5年間は「エステル化でん粉」の
関税率は6.8%のまま変わりません。
しかし、オーストラリア、カナダ、チリ、ベトナム原産の品目に限り
TPP発動から6年目からは関税率ゼロに変わります。
この4か国以外の原産の「エステル化でん粉」はTPPの恩恵を受ける事なく
ずっとMFN税率である6.8%が適用される形になります。

 

(拡大図)
TPP日本側譲許表を見ると以下のようになっております。

 

(全体図)

TPP相手国による「関税率差」の解説

アメリカの関税率も記載されており、上記4か国以上に優遇されていました。

許可書の原産地種別コード

輸入通関許可書の原産地(申告)種別の欄はTPPの場合は”TP”と
記載される事になりますが、上記のような関税率差のある貨物の場合
関税率差のある国のコードが記載される事になるので
“TP”とは記載されない場合があります。

 

 

例として針葉樹の木材HS:440710-110を見てみますと以下のように国によって
関税率差が発生しております。(HS2017では440711-110)

 

 

 

 

この貨物をTPPによる特恵関税率を利用して輸入する場合、
輸入通関許可書の原産地(申告)種別の欄は

カナダ産であれば“1C”(赤枠部分)
ニュージーランド産であれば“1B”(青枠部分)
それ以外のTPP加盟国から輸入する場合は“TP”(緑枠部分)と
それぞれ記載される事になります。

 

税率差が3%を超える場合

TPPにおける原産地の決定は「国」ベースで決定するのではなく
「協定原産」ベースで決定される事になります。

関税率差のある国々でグローバルサプライチェーンを組んでいる場合は
どの国の原産貨物とみなされるかについて「税率適用国決定ルール」が
共通規定として存在しますが
3%を超える関税率差がある場合は別途規定が存在します。

税率適用国決定ルール(附属書2-D第B節)

最終生産工程が行われた締約国の税率を適用する。
ただし、「軽微な作業」と呼ばれる最低限の作業は除く。
輸入者の選択により、すべてのTPP締約国若しくは生産に関与した
TPP締約国の中の最も高い税率を適用することも可能。

国別のルール(税率差が3%超の品目)(附属書2-D付録C)

税率差が3%を超える品目等として協定(附属書2-D付録C)
に掲げるものについて、どの締約国の関税率を適用するかを
決定するルールを規定。

 

この税率差ルールの一覧が以下のようになります。

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

これを見ただけではなかなかイメージしにくいと思いますので
事例ごとに分解して解説させていただきます。

例1:税率差が3%以下の場合

オーストラリアで伐採された木材
↓
ニュージーランドで合板に加工
↓
マレーシアにてラベル張り
↓
日本に輸出

 

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、完成品である合板を日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア5.4%
ニュージーランド3%
オーストラリア5.4%
というように国ごとに関税率が分かれておりますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)マレーシアでの作業は「軽微な作業」に分類される為、
原産国候補からは外れる事となる(品目別分類規則を満たさない行為)

(2)オーストラリアでの生産は伐採を行っただけであり、
合板の製造には関与していない

(3)ニュージーランドにて最後の生産工程が行われ合板が完成した。

⇒
「軽微な作業」を超える最後の生産工程が行われた国(NZ)の税率を適用
という事になります。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

例2:税率差が3%超えで非原産材料がある場合

インド(非原産国)で生産されたばれいしょ
↓
オーストラリアででん粉の製造
↓
マレーシアにてエステル化
↓
日本に輸出

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、完成品である「エステル化でん粉」を
日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア6.8%
オーストラリア無税
というように国ごとに3%を超える関税率差がありますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)マレーシアでHS1108から3505に変更される作業工程があった

(2)オーストラリアでHS0701から1108に変更される作業工程があった

(3)税率差ルールでは「TPP域内で主要な関税分類変更が行われた国」の
税率を適用するように規定されている

⇒
完成品である「エステル化でん粉HS3505」に対しての主要な関税分類
変更が行われたマレーシアの関税率が適用される事になります。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

 

 

 

※化学品や繊維製品の加工工程基準で原産地規則を満たす必要がある場合も
複数の製造に関わる国で3%越えの関税率差があれば同じように考えます。
税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

例3:税率差が3%超える完全生産品の場合

ニュージーランドで生産されたばれいしょ
↓
オーストラリアででん粉の製造
↓
マレーシアにてエステル化
↓
日本に輸出

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、
完成品である「エステル化でん粉」を日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア6.8%
オーストラリア無税
ニュージーランド6.8%
というように国ごとに3%を超える関税率差がありますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)製造に関わる国全てがTPP加盟国である

(2)非原産材料が使用されていない場合は付加価値のみで判断する

(3)一番大きな付加価値を与えたのはオーストラリアである

⇒
原料調達国や製造国全てがTPP加盟国であれば原産国の決定に
HS分類は検討する必要が無く、どの国でどれほどの付加価値(金額ベース)
を与えたのかによって原産地が決定するのでこの例ではオーストラリアが
原産国となる。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

 

※非原産材料を使用して3%を超える関税率差のある国が関わる製造の
場合も同じように一番大きな付加価値を与えた国が原産国となります。

 

関税率差まとめ

税率差ルールの一覧を見ただけではよくわかりませんが
上記のように個別事例別に分解して理解してから改めて以下の一覧を
見るとそれぞれの意味が理解しやすくなっているかと思います。

 

関税率差が発生して原産国が規則によって決定される場合であっても
輸入者が希望する場合は最も高い関税率の国を原産国とする事も可能です。

TPP特恵関税率を適用する貨物で
HS:1005.90、1702.60、3505.10、4407.11、4407.12、4410.11、
4410.12、4412.31、4412.32、4412.39、7202.11、7202.30、7202.60、
7202.92、7501.20、7502.10、7502.20、7504.00の一部を輸入する場合は
この関税率差ルールを認識する事が重要です。

Filed Under: FTA/EPA

TPP原産品申告書記入例

最終更新日2020年1月2日 By 河副太智 Leave a Comment

TPPを活用して関税削減に必要となる原産地を証明する書類は
「原産品申告書」と呼びます。「原産地申告書」と呼ぶ場合もありま
すが定義は基本的に同じで、輸出者、製造者(生産者)、輸入者自身
にて作成する「自己証明」という形になります。

従来のFTA/EPAで使用した「原産地証明書」は商工会議所が作成する
証明書であり、TPPでは商工会議所が発行する「原産地証明書」は使用
できませんのでご注意ください。

TPP原産品申告書フォーム

原産品申告書のフォーム例は税関様式一覧ページからダウンロードできます。

原産品申告書の記載内容で重要なポイントはTPP原産地規則協定文1502ページ
(付属書3-B必要的記載事項)にて規定されている内容となりますので
この記載事項を順に確認していきます。

 

 TPP原産品申告書フォーム例

※TPP原産品申告書PDFダウンロード
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 TPP原産品申告明細書フォーム例

※原産品申告明細書PDFダウンロード
WORD版ダウンロード

 

 

 

 英語TPP原産品申告書フォーム例

※フォーム例は日豪EPAを参考
英文Word

 英語TPP原産品申告書フォーム例

 

 

 英語版TPP原産品申告明細書フォーム例

※フォーム例は日豪EPAを参考
英文Word

英語版TPP原産品申告明細書フォーム例

 

 

 

必要的記載事項

 

1.証明者

輸出者、生産者、輸入者のうち原産地証明書を作成した者

2.証明者の明細

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス

3.輸出者(証明者ではない場合)

氏名または住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
生産者が原産地証明書を作成した場合で、輸出者が特定できない場合は不要。
輸出者の住所はTPP域内国の産品が輸出された場所とする。

4.生産者(証明者あるいは輸出者ではない場合)

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
生産者が複数いる場合は“various”と記載、あるいはリストを添付。

生産者を秘匿したい場合は、“Available upon request by the importing
authorities”(「輸入締約国の当局の要請があった場合には提供可能」)
と記載可能。生産者の住所はTPP域内国の産品が生産された場所とする。

5.輸入者(特定可能な場合)

氏名または名称、住所(国名を含む)、電話番号、電子メールアドレス。
輸入者の住所はTPP域内国でなければならない。

6.産品の品名及びHSコード

対象産品の品名及び関税分類(HSコード6桁)品名は対象産品を表すのに
充分な形で記載する必要がある(HS2012を使用)
また、1回限りの原産地証明書の場合、インボイス番号がわかっていれば記載。

7.原産性の基準

どの原産性の基準(以下のいずれか)を活用して原産品としたかを記述。
原産性の基準は以下の3つに分かれます。

(a) Wholly obtained or produced(完全生産品)(WO)
(b) Exclusively from originating materials(原産材料のみから生産される産品)(PE)
(c) PSR(品目別分類規則)を満たす産品(更に以下の3つの種類に分かれる)(PSR)
-①関税分類変更基準
-②付加価値基準
-③加工工程基準

 

上記(a)(b)(c)と(c)①、(c)②、(c)③の意味をそれぞれ確認していきます。

(a) Wholly obtained or produced(完全生産品)

TPPWholly obtained or produced(完全生産品)
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

「完全に得られ、又は生産される産品」とはひとつの特恵受益国において
完全に生産された物の事です。詳しくは完全生産品解説ページをご覧ください。

 

(b) Exclusively from originating materials
(原産材料のみから生産される産品)

 

TPP原産材料のみから生産される産品
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

完全生産品とニュアンスは似ていますが少しだけ違います。
日本の一次原料を使用して製造された貨物ではあるけれど、
二次原料以降の原料の元を辿っていくととTPP加盟国以外の国から調達した
原料がどこかに含まれている貨物が対象です。

二次原料(上記の例ではオリーブ)が非締約国から調達した物の場合は
原産材料のみから生産される産品に該当します。
詳しくは解説ページをご覧ください。

 

(c) PSR(品目別分類規則)を満たす産品

 

TPP品目別分類規則の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

PSRとはProduct Specific Rulesの略で品目別分類規則の事を指します。
非原産材料を使用してTPP加盟国内で製造された貨物の場合、
品目別分類規則を満たした製造工程であれば原産性が認められ、
TPP加盟国原産貨物として関税削減の対象になります。

非常にわかりづらい部分かと思いますが、これはつまり
TPP加盟国以外の国から調達した一次原料を使用して製造された
貨物であってもTPP加盟国で完成された製品と見なされれば輸出先で
関税削減ができるという事です。

この基準というのが附属書3-Dに貨物のHSコードごとに記載されております。
この基準通りに貨物の製造がおこなわれていれば原産地規則を満たし「PSR」と
記入する事ができるようになります。
附属書3-Dは読みにくいので税関HPの品目別分類規則をお勧めします。

 

(c) のPSR(品目別分類規則)は以下の3種類に分かれます

①関税分類変更基準
②付加価値基準
③加工工程基準

①から③の意味をそれぞれ確認していきます。

①関税分類変更基準

TPP関税分類変更基準の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

「関税分類変更の基準」とは
TPP加盟国以外の国から調達した一次原料のHSコードと
TPP加盟国で完成した製品のHSコードが2,4,6桁レベルで変わる程度の
加工がされている場合に適用できる基準です。

詳しくは関税分類変更基準の類、項、号解説をご覧ください。

加工によるHSコード変更の程度については以下をご覧ください。
HSコードの桁数が2桁変更していれば基準をクリア(CC)
HSコードの桁数が4桁変更していれば基準をクリア(CTH)
HSコードの桁数が6桁変更していれば基準をクリア(CTSH)

TPPの品目別原産地規則で各HSコード別に上記3つの基準のうちいずれ
かが指定されている事がほとんどですので、指定された基準を満たす製
造工程であれば原産性を満たし非原産材料を使用していてもTPP締約国
にて製造された貨物とみなすことができます。

②付加価値基準

付加価値基準というのはTPP締約国で製造された貨物の価格と
非原産材料の価格の割合配分によって原産性を満たすかどうかを
判断する基準で附属書3-Dに品目別に計算方法が指定されています。

以下の例では非原産材料を使用してTPP加盟国内で自動車を完成させた
場合の例です。

TPP付加価値基準の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

上記の例は付加価値基準の内の「控除方式」という計算方法を使用
しています。(点線で囲んだ部分の計算式)

付加価値基準の計算方法はいくつか種類があり、どの計算方法が使用
できるかを品目別分類規則にそれぞれ指定してあります。

例えば上記の自動車の品目別分類規則(附属書3-D)を見てみると
以下のように記載されております。

 

自動車の場合の計算方法は「控除方式」以外にも「純費用方式」という
計算方法も使える事がわかります。

他の貨物の品目別分類規則を見てみると計算方法は以下の4つに分かれます。
①控除方式
②積み上げ方式
③重点価格方式
④純費用方式

それぞれの計算方法は以下に記載してあります。

TPP付加価値基準の計算式一覧
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

③加工工程基準

「特定の生産工程の基準」とは品目ごとに定める工程を経て製造された貨物に
原産品としての資格を与える基準で、化学品や繊維製品に適用されます。
こちらも附属書3-Dに品目別に製造工程が指定されています。

TPP加工工程基準の例
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

自動車関連の品目別規則

自動車(完成車)及び自動車部品については、付加価値基準の計算において、
材料について原産地規則を緩和する特別ルールが規定されています。
(根拠条文(附属書三-D・付録1))

1.自動車(完成車)
○ TPP11における原産地規則は、付加価値基準(控除方式で55%又は
純費用方式で45%)。ただし、特定の自動車部品7品目(注1)については、
指定された工程(注2)のうち、1つ以上の工程をTPP11域内で行えば、
原産材料と認められる。

2. 自動車部品
○ TPP11における自動車部品の原産地規則は、関税分類変更基準と
付加価値基準(品目に応じ、控除方式で45~55%、積上げ方式で35~45%又は
純費用方式で35~45%)の選択制(※一部例外を除く)。

ただし、上記付加価値基準の計算上、当該自動車部品の材料は、
指定された工程(注2)のうち、1つ以上の工程をTPP11域内で行えば、
5~10%を限度として、原産材料と認められる。

(注1)強化ガラス、合わせガラス、車体(普通車用のもの)、
車体(貨物車等用のもの)、バンパー、車体用プレス部品及び扉組立、
駆動軸及び非駆動軸

(注2)複雑な組み立て、複雑な溶接、ダイカストその他これに類する
鋳込み成形、押出成形、鍛造、熱処理(ガラスの強化又は金属の焼戻しを含む)
積層、切削、金属成形、鋳造、スタンピング(プレス成形を含む)
(※)自動車用エンジン及び原動機付シャシについては、
関税分類変更基準が適用されず、付加価値基準のみとされている。

繊維製品の品目別規則

61類~63類の繊維製品の原産地規則は、①紡ぐ、②織る、③縫製、
という3つの工程を原則TPP11締約国内において行う必要があり、
これを「ヤーンフォワード・ルール」と呼びます。

TPPの繊維製品の品目別分類規則

出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

但し、ヤーンフォワード・ルール(3工程)を前提としつつ、
「供給不足の物品の一覧表」(ショートサプライ・リスト(SSL)に
掲載された域内での供給が十分でない材料(繊維、糸、生地)については、
例外的に域外から調達しても、その最終用途の要件を満たせば
原産品と認められるという救済規定もあります。

61~63類も含めた繊維等の原産地規則は附属書4-Aに記載されております。

61類~63類の繊維製品が原産品であるか否かは、当該産品の
関税分類を決定する構成部分(原則として、表側の生地に占める面積が
最も大きい部分)について、適用される規則に定める関税分類番号の
変更を満たす必要がある。

デミニミス(僅少の非原産材料)については、
適用される関税分類番号の変更を満たさない非原産材料が関税分類を
決定する構成部分の全重量の10%以下の場合、原産品とみなす。
ただし、弾性糸が含まれるものはTPP11域内産の糸である必要がある。

<その他の要件>
【弾性生地ルール】
61類~62類の繊維製品に弾性糸を使った生地(HS60.02、5806.20)を
使用する場合、当該生地は域内産の糸を使用する。

【縫糸ルール】
61類~63類の繊維製品に縫糸(HS52.04、54.01、55.08の縫糸又は
HS54.02の糸を縫糸として使用)を使用する場合、当該縫糸は
域内産の糸を使用する。

【絹100%の着物・帯に関するルール】
着物又は帯に使用する絹100%の織物は、域内で製織、裁断・縫製する
必要がある(⇒着物・帯は2工程)。

※絹織物はSSLで域外調達が認められているため、
域内で裁断・縫製すれば、最終製品はTPP11原産品となる(⇒1工程)。

8.対象期間

→同一産品の複数回の輸送を対象とする場合、その期間。原則、12カ月が限度。
日豪EPA原産品申告書に期間の欄が無いので「その他特記事項」に追記する。

9.署名と日付

→証明者による署名と日付を明記。あわせて右記の宣誓文を記述。

累積

「累積」とは原産地規則を満たしやすくする為の規定です。

例えば日本がTPP加盟国であるベトナムから輸入する完成品Aがあり、
その完成品Aの原料Bはベトナムがニュージーランドから調達した物で
あった場合、ニュージーランドはTPP加盟国なのでその原料Bは
日本側から原産材料とみなされ、原産地規則を満たす事ができます。

日本から見て逆の立場の場合も同様です。
例えば日本産原料Cをベトナムに輸出し、ベトナムでの完成品Dを
ニュージーランドに輸出した場合も日本産原料CはTPP加盟国からの
調達という事でニュージーランド側から原産材料とみなされます。

つまりTPP加盟国全体から調達した原料であれば、最終製造工程を
行った国以外から調達した原料であっても原産材料とみなされるという
事になります。

(詳しくは累積解説ページをご覧ください。)
※累積の根拠条文TPP原産地規則協定文1462ページ

 

TPP累積の解説

出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

 

 

TPP完全累積の解説

※Jetroセミナースライドより引用

 

デミニミス(僅少の非原産材料)

デミニミス(僅少の非原産材料)とは(附属書3-D)の品目別分類規則を
満たせない貨物に対する救済規定です。

非原産材料であってもその価格割合が貨物全体の価格から見て
僅かである場合はこれを原産材料と見なす規定です。
「原産地規則は満たせないがどうしても少しだけ非原産材料を使いたい」
という場合に有効です。
(詳しくは僅少の非原産材料解説ページをご覧ください。)

【デミニミスの基準】
○ 関税分類変更基準が適用される産品にのみ適用され、
原則として産品の価額の10%以下
○ ただし、繊維製品の場合、原則として当該産品の重量の10%以下
(根拠条文はTPP原産地規則協定文1505ページ)

 

TPPデミニミス(僅少の非原産材料)の解説
出典:TPP11(CPTPP)原産地規則について

また、僅少の非原産材料の規定を適用しない材料もありますので
この救済規定を使用する際は以下に該当する貨物でないかどうかを
確認する必要があります。

 

(a)第4類の非原産材料又は第1901.90号若しくは
第2106.90号の原産品でない酪農調製品(乳固形分の含有量が全重量の
10%を超えるものに限る。)であって、
第4類の産品(第0402.10号、第0402.21号、第0402.29号
及び第0406.30号(注)の産品を除く。)の生産において使用されるもの

(b) 第4類の非原産材料又は第1901.90号の原産品でない酪農調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)であって、
次のいずれかに掲げる産品の生産において使用されるもの
(1) 第1901.10号の育児食用の調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)
(2) 第1901.20号の混合物及び練り生地(乳脂肪の含有量が
全重量の25%を超えるものに限り、小売用にしたものを除く。)
(3) 第1901.90号又は第2106.90号の酪農調製品
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)
(4) 第21.05項の産品、第2202.90号の飲料
(ミルクを含有するものに限る。)
(5) 第2309.90号の飼料
(乳固形分の含有量が全重量の10%を超えるものに限る。)

(c) 第08.05項又は第2009.11号から第2009.39号までの
各号の非原産材料であって、第2009.11号から第2009.39号
までの各号の産品の生産において使用されるもの又は
第2106.90号若しくは第2202.90号の単一の果実若しくは
野菜を使用したジュース(ミネラル又はビタミンを加えたものに限り、
濃縮したものかどうかを問わない。)に使用されるもの

(d) 第15類の非原産材料であって、
第15.07項、第15.08項、第15.12項又は第15.14項の
産品の生産において使用されるもの

(e) 第8類又は第20類の原産品でない桃、梨又はあんずであって、
第20.08項の産品の生産において使用されるもの

原産品申告書記載要領

上記の点を踏まえて以下のように記述する形になります。

※TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA原産地規則について【実務編】より

宣誓文

宣誓文で文書の内容が真実ですと宣誓する必要があります。
TPP協定文にその宣誓文が指定されております。
※日本語訳文がちょっとおかしいのが気になります、、、

私は、この文書に記載する産品が原産品であ
り、及びこの文書に含まれる情報が真正かつ
正確であることを証明する。私は、そのような
陳述を立証することに責任を負い、並びにこの
証明書を裏付けるために必要な文書を保管し、
及び要請に応じて提示し、または確認のため
の訪問中に利用可能なものとすることに同意
する。

英語版宣誓文

I certify that the goods described in this
document qualify as originating and the
information contained in this document is true
and accurate. I assume responsibility for proving
such representations and agree to maintain and
present upon request or to make available
during a verification visit, documentation
necessary to support this certification.

保存書類

輸入者は輸入許可の日の翌日から5年間以下の書類を保存。
①当該輸入に関する文書。
(特恵待遇の要求の根拠となった原産品申告書を含む)
②特恵待遇の要求が当該輸入者が作成した原産品申告書に基づ
く場合には、当該産品が原産品であり、かつ、関税上の特恵待
遇を受ける資格を有することを示すために必要なすべての記録。

輸出者、生産者は作成の日から5年間当該輸出者又は生産者が提供した
原産品申告書に記載した産品が原産品であることを示すために
必要な全ての記録。

 

相手国から原産性の事後確認(検認)

FTA特恵関税を適用した貨物を輸出し、相手国側での関税削減を行った
場合、後日相手国から原産性の事後確認が行われる可能性があります。
これを検認(Verification)と呼びます。

TPPの場合の検認は相手国の税関から直接輸出者や生産者に対して
原産性の確認を行う事が可能ですので、税関や商工会議所からの
事後調査よりもハードルが高くなります。

質問は英語で来ますので事前にFTA/EPAで使われる英語も事前に
把握しておく必要があります。

TPP関税率

日本側関税率とカウント方法

TPPによって恩恵を得られる関税率は譲許表で確認します。
日本に輸入する場合の関税率は日本側譲許表にHSコード別に記載
されております。

協定上の1 年⽬、2 年⽬のカウント方法は
発効時から翌年(2019 年)3 ⽉ 31 ⽇までが「1 年⽬」、
2019 年 4 ⽉ 1 ⽇から 2020 年 3 ⽉31 ⽇までが「2 年⽬」、
その後の各年は毎年 4 ⽉ 1 ⽇に始まります。

輸出先(日本以外)の関税率とカウント方法

TPP加盟国への輸出で相手国での関税率を調べるには各国の
譲許表を確認する事になります。

-オーストラリア(Australia)
-ブルネイ(Brunei)
-カナダ(Canada)
-チリ(Chile)
-日本(Japan)
-マレーシア(Malaysia)
-メキシコ(Mexico)
-ニュージーランド(New Zealand)
-ペルー(Peru)
-シンガポール(Singapore)
-ベトナム(Vietnam)

⽇本以外の原締約国で2018 年 12 ⽉ 30 ⽇に発効する国(メキシコ、
シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア)の譲許表は
発効時から(2018 年)12 ⽉ 31 ⽇までが「1 年⽬」、
2019 年 1 ⽉ 1 ⽇から 12 ⽉ 31 ⽇までが「2 年⽬」、
その後の各年は毎年 1 ⽉ 1 ⽇に始まります。

2018 年 12 ⽉ 30 ⽇以降の協定の発効⽇の後、新たに発効する国についての
⽇本が適⽤する関税撤廃のスケジュールは
①新締約国の発効⽇を起点として適⽤する
②協定の発効⽇(2018 年 12 ⽉ 30 ⽇)に発効したものとして適⽤する(キャ
ッチアップする)のいずれかを、その都度、決定することとなります。

ベトナムについては、⽇本としては、キャッチアップを⾏う(②)と決定
しており、これにより、ベトナムも⽇本に対して、キャッチアップを⾏う
こととなります。

当記事は税関によるTPP原産地規則解説スライドからの引用で
作成しております。

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