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関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

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品目別分類規則

英語の原産地規則を読む(NAFTAの例)

最終更新日2017年9月20日 By 河副太智 Leave a Comment

グローバルサプライチェーンや三国間貿易等にFTA,EPAを使用して
特恵関税率を適用する場合はどうしても英語での原産地規則を
読まなければいけないケースがあります。

英語での原産地規則を読むには
HSコードと原産地規則と英語力の3つが知識が必要になりますが
それでもまだまだ難しいです。

先日NAFTAの原産地規則の一部を紹介しましたが
私も解読するのに時間がかかりました。

 

その悩んだ英文のNAFTA原産地規則を紹介します。
HSコード8516.32(調髪用機器のその他)の品目に対する原産地規則です。

 

A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.80 or
any other heading; or

A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.90,
whether or not there is also a change from subheading 8516.80 or 
any other heading, 
provided there is a regional value content of not less than:

(a) 60 percent where the transaction value method is used, or

(b) 50 percent where the net cost method is used.

 

これは8516.32(調髪用機器のその他)を輸入する際に
製造国にてNAFTA締約国以外の国から部品を調達した場合
どのような製造工程を経れば特恵関税率適用になるかという事を
表しております。

 

ちょっとわかりずらいのですが、この原産地規則を2つに分割すると
要件の詳細が見えてきます。

 

A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.80 or
any other heading; or

 

という部分を抜き出してみましょう

8516.32(調髪用機器のその他)を製造する際は

〇8516.80(電熱用抵抗体)をNAFTA締約国以外からの部品として使用する

又は

〇他の項(HSCODE4桁の変更)の材料がNAFTA締約国以外から
調達されて製造された場合

であれば原産地規則を満たすものとして認められます。

 

原産地規則の前半の2行の内容ははこれだけで完結しますので
これを満たしていれば後半は見る必要がありません。

 

もしNAFTA締約国以外から調達した部品が8516.80(電熱用抵抗体)以外で
項の変更もないのであればその下の規則を検討する事になります。

 

A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.90,

 

これは8516.32(調髪用機器のその他)を製造する際、
8516.90(電熱式の調髪用機器及びドライヤーの部品、以下部品とします)
から製造する場合に適用する原産地規則です。


whether or not there is also a change from subheading 8516.80 or 
any other heading, 

 

ここがちょっとわかりづらい部分です。

8516.90(部品)をNAFTA締約国以外から調達して、
NAFTA締約国にて8516.80(電熱用抵抗体)に変わる製造工程が
あったとしても原産地規則の前半部分には該当せず、
以下の付加価値基準も同時に満たさなくてはいけません。
という内容です。

provided there is a regional value content of not less than:

(a) 60 percent where the transaction value method is used, or

(b) 50 percent where the net cost method is used.

 

一般的トランザクション値方式の付加価値基準であれば60%以上
ネットコスト値方式であれば50%以上の付加価値を要する
という事になります。

 

 

このような原産地規則はNAFTAに多く見られますので
一度内容を理解すれば他の原産地規則もすぐに読めるかと思います。

 

 

 

Filed Under: FTA/EPA, 通関英語 Tagged With: EPA, FTA, HSコード, NAFTA, QVC, ネットコスト値方式, 付加価値基準, 加工工程基準, 原産地規則, 品目別分類規則, 実質的変更基準

衣類の特別な原産地規則

最終更新日2017年9月5日 By 河副太智 Leave a Comment

衣類を特恵関税を使って輸入する際に
第三国からの生地を原料としている場合は品目別分類規則の他に
特別な原産地規則がありますのでこちらも考慮する必要があります。

 

ジャケット(HSコード6101.20)をインドネシアから輸入する場合で
第三国からの原料を多数使用しているケースを例として挙げてみます。

 

衣類の特別な原産地規則

※税関セミナー資料より引用

①の表生地はインドネシア産の綿製で表地中の面積割合は61%
②の表生地(袖)はタイ産のポリウレタン製で表地中の面積割合は31%
③のフラットニットは中国産のポリエステルで表地中の面積割合は8%

となっております。

 

原産地規則を満たすかどうかについて検討する場合
HSコード61類から63類に該当する衣類には以下のような
原産地規則の特例に従う必要があります。

■原産地規則解釈例規 平成26年6月13日

衣類における「関税分類を決定する構成部分」は、
原則として、産品の表側の生地に占める面積が
最も大きい構成材料から成る部分とする。

この場合において、産品が属する号(HS6桁)に
規定する材料から成る部分の面積の合計を、
一の構成部分の面積として考慮する。

つまり表生地に複数の異なる種類の生地が使われている場合
表生地の面積が一番大きいものだけが原産地規則を満たすかどうかを
検討するだけでよく、他の表生地は原産地規則を満たすかどうかは
考慮しなくても良いという事になります。

 

今回の例では表生地を一番多く占めているのは
①の面積割合61%のインドネシア産です
②と③は無視できます。

代表となる①はインドネシアから製造、輸入した貨物ですので
これだけで原産地規則を満たす貨物という事になりそうです

 

 

しかし、ちょっとここで注意が必要です。

 

実はこのジャケットは裏生地もあるのです。

 

※税関セミナー資料より引用

 

先ほど紹介した原産地規則解釈例規には裏生地に関して
まだ規定があるのです。

また、上半身用の衣類において、裏側の生地が全面に張られており
かつ、その全周が表側の生地に縫い付けられている場合にあっては、
上記で選択された表側の生地に加え、
当該裏地部分を「関税分類を決定する構成部分」とする。

 

つまり裏生地がジャケットの裏側全体に張り付けられており
更にその裏生地がジャケットの表側の生地に縫われていれば
その裏生地も原産地規則を満たす貨物かどうかの判定が必要となる
という事です。

 

一般的なジャケットであればこのような形態の裏生地は
珍しくないと思いますのでこの規定は非常に重要です。
衣類の原産地規則を検討するには必ず注意してください。

 

では裏生地のHSコードが5407であった場合の
日インドネシアFTAのジャケット(HS6101.20)に対する
品目別分類規則を見てみましょう

 

他の類の材料からの変更
(原料から完成品へHSの頭2桁の変更を要する場合(CC))

 

裏生地のHSは5407なので他の類(HSの頭2桁)の材料からの変更
という部分を満たしておりますが以下のような除外規定があります。

 

(第50.07項、第51.11項から第51.13項までの各項、第52.08
項から第52.12項までの各項、第53.09項から第53.11項までの各項、
第54.07項、第54.08項、第55.12項から第55.16項までの各項又は
第60類の非原産材料を使用する場合には、
当該非原産材料のそれぞれがいずれかの締約国
又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三
国において完全にメリヤス編みされ、
又はクロセ編みされる場合に限る。)

 

残念ながら裏生地(HS5407)は除外規定に該当しております。

もしこの裏生地が第三国(日本か東南アジア諸国連合の加盟国以外)
にて編まれていたものであれば原産地規則を満たさない貨物
という事になります。

 

 

幸いにもこのジャケットの裏地は日本産です。
日本から裏地をインドネシアに予め送っておいて
表生地に縫い合わせたものです。

この場合は累積という救済規定によって原産地規則を満たす
という事になります。

 

例えばこの裏地の原産国が中国だった場合は糸の状態で調達し、
それを日本か東南アジア諸国連合の加盟国にて編むという
製造工程を経なければ原産地規則は満たしません。

 

衣類系はこういった部分が非常にややこしいので
ご注意ください。

 

 

また、このジャケットにタグやボタン等がついていれば
表地とは関係ないのでこれらは原産地規則を満たしているかどうかを
確認する必要があります。

 

一般的にこういった小さな部品であれば僅少の非原産材料という
救済規定を使用して原産地規則を満たす事ができます。

 

日インドネシアFTAの規定によればジャケットの場合
貨物本体の重量の7%以下の非減産材料については
原産地規則を満たす材料としてカウントができます。

日インドネシア協定第31条(僅少の非原産材料)の規定における
閾値は、第61類の産品については、総重量の7%以下。

 

タグ、ボタン等の小さな部品であればおそらく
ジャケットの重量の7%以内に収まるはずです。

 

これによって上記例のインドネシア産のジャケットは
無事原産地規則を満たし、日本にて特恵関税適用可能な貨物となります。

 

 

ちなみに原産地規則解釈例規対象となる協定は以下になります
シンガポール協定、メキシコ協定、マレーシア協定、チリ協定、タイ協定、イ
ンドネシア協定、ブルネイ協定、アセアン包括協定、フィリピン協定、ベトナ
ム協定、ペルー協定

Filed Under: 原産地規則実例 Tagged With: EPA, FTA, ジャケット, 僅少の非原産材料, 原産地規則, 原産地規則解釈例規, 品目別分類規則, 累積, 関税分類変更基準

税関の事後調査とはどのようなものか

最終更新日2017年8月23日 By 河副太智 2 Comments

貿易を行っていれば避けて取れないのが税関による事後調査です。
一定数の通関を行っていれば数年に一度
税関の調査官から電話連絡が来て調査を行う旨伝えられます。
(関税法第105条第1項第6号)

税関事後調査とはどのような物でどのような目的があるのか
解説していきます。

 

税関事後調査では何を要求されるのか?

事後調査の電話連絡の際に説明される事になりますが、
輸入の場合は輸入の許可から保存が7年間義務付けられている
帳簿等の書類になります。

例:許可書、契約書、インボイス、価格用、原産地証明書
会計帳票、決裁書類、発注書類、その他文書(メール等含む)
海外への送金明細、運賃明細書、保険料明細、
その他輸入の許可に関わる書類を包括的に

事後調査に関わる根拠法令はこちら

税関事後調査で要求された書類はどうなるのか?

必要があれば税関の調査が終わるまで書類を持ち帰る事もあります。
(関税法第105条第2項)
調査終了後は当然変換されます。
対象の例としてはパソコン、ハードディスク、書類等があります。

提出時に預かり書をもらう事ができます。

 

税関事後調査は裁判所の令状があるのか?

一般的な事後調査はあくまでも任意調査であり、
輸入者等の協力を得ながら行うものですので裁判所の令状は
ありません。

その為税関職員は以下のような行為は行えません

1.ドアを押し開けて事務所に入る
2.手を払いのけて帳簿をめくる
3.拒絶を押し切って引き出しを開ける
4.社内で見せるだけしか認めていない書類を強引に持ち帰る

上記内容を見ると税関事後調査は拒否できるかのようにも見えます
あくまでも任意ですので断る事もできると誰もが考えますが
関税法第114号の2の10号により「税関職員の質問に答えず、虚偽をし、
執行を拒み、妨げ、忌避した者」に対して罰則を設けております。
(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)

 

つまり任意と言いながら調査を断れば罰則が待っていますので
これを間接強制と呼びます。

どちらにしろ断る事はできないという事になります。

 

 

事後調査の事前通知は必ずあるのか?

一般的には事後調査の事前通知はあります。
但し、税関が保有する情報に鑑み違法または不当な行為等を
疑う場合には事前通知なしで事後調査が行われるケースもあります。

その他にも輸入者との連絡が取れなかったり
調査があると知って行方をくらませたり、
資料を破棄する恐れがある場合などです。
(国税通則法第74条の10)

 

事前通知では何を知らされるのか?

事後調査の事前通知には法令に定められた事項を通知します。

1.事後調査実施の日時
2.調査を行う場所
3.調査の目的
4.調査の対象となる税目
5.調査の対象となる期間
6.調査の対象となる帳簿書類その他の物件
7.調査の相手先である輸入者の氏名及び住所または居所
8.調査を行う税関職員の氏名及び所属官署

事後調査で問題があった場合はどうなる?

例えば本来納税すべき関税額等よりも低い額で申告していた場合
修正申告を勧奨される形になります。

修正申告を行うと本来払うべき関税等の追加支払いに加え
過少申告加算税、延滞税、
その他重加算税が発生する事もあります。

勧奨ですので実際に修正申告を行うかどうかは
輸入者に委ねられているという形にはなっており、
修正申告をする事は任意ではありますが
実際に誤り(非違)を税関から指摘されているわけですので
本当に修正申告を拒否してしまうと別の形で課税手続きが
待っています。

 

調査結果に対して不服を申し立てる事は可能か?

税関職員の処分が不当、違法であると考えられる場合は
不服申し立てを行う事は可能です。

しかし、修正申告を行ってしまうと、
事後調査の内容で適正であったと認めた事になりますので
修正申告後は原則不服申し立てはできません。

 

加算税の税率は?

一般的な誤り(意図的でない過少申告)の場合は
修正申告における増差税額に対し、
10%が過少申告加算税となります。

また、修正申告等により増加した税額のうち、
当初申告税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分に
対してはその超えている部分に相当する金額の5%に相当する
金額の過少申告加算税が加算されます。

更に無申告(輸入した貨物自体を税関に申告しなかった場合)の場合
無申告加算税が課され、こちらは15%となっております。

 

上記の例とは別に輸入者が悪意で書類を隠蔽、仮装、書類破棄、
輸出者と通謀して価格操作等悪質な行為があった場合は
重加算税として40%加算され、さらにこれに併科して
10年以下の懲役または1000万円以下の罰金。
双方が併科される事があり、
これにより関税等の重加算税の賦課は免除されません

 

加算税を少しでも安く済ませられないか?

本来支払うべき関税等を支払うのは当然として、
過少申告加算税の支払いは完全に予測不可能な
マイナス要素になるのでなんとか減らしたいところです。

以前までは税関から事後調査の電話連絡があった時点で
過去の書類等を引っ張り出し、事後調査前に修正申告を行うという
テクニックを使えば過少申告加算税は加算されなかったのですが
この方法が知れ渡り多くの人が使うようになったため
平成29年1月1日以降に法定納期限の来る関税等に関しては
規制が強化されており、このような手段を取っても
過少申告加算税が5%かかる事になりました。

事後調査で指摘された後の修正申告では
過少申告加算税が10%である事に対し、
指摘前の調査予告の段階で自主的に修正申告をすれば5%ですので
現在でも少しだけ加算税を少なくする事が可能です。

また、無申告加算税は税関指摘後であれば15%ですが
調査予告、指摘前であればこちらは10%に減らす事ができます。

人情に訴え謝り続けて遡及期間を少なくしてもらったり
穏便に済ませてもらったという話も聞いた事はありますが
過度な要求はやめておいたほうが無難です。

 

 

関税等過少申告加算税の見直し

※税関HPより引用

 

特恵関税適用についての調査はあるか?

一般の事後調査であっても特恵関税適用の可否、
原産地証明書の有効性や原産地規則についての調査もあります。

しかし、原産地規則に関しての有効性の判定は非常に難しい為、
一般的な事後調査とは別に
原産地調査官による原産地規則判定の為の事後調査もございます。

原産地証明書を使用して特恵関税適用の申告をしていれば
一般的な事後調査と原産地規則に関する事後調査と
2種類の事後調査があると考えておいたほうがよいでしょう。
(原産地調査は正確には事後確認と呼びます。)

私自身が通関をしていた際に
とある輸入者様は毎回原産地証明書を使用して
靴を特恵関税を適用して輸入しておりました。

通関時は特に問題なくスムーズに進みましたが
ある時通関を担当していた私に原産地調査部門から連絡があり、
〇〇という輸入者に対し、今回ランダム調査と対象となりました
ので、こちらの輸入者様の担当者様の名前と
連絡先を教えてくださいとの要求が来ました。

その後原産地調査官からの原産地規則の有効性について
事後調査が輸入者様に対してあったようなのですが
原産地規則の証明に非常に手間取って少々パニック気味でした。

このような事が無いよう日々原産地規則については勉強したほうが
良いでしょう。

ちなみにこの輸入者様の貨物は特恵関税適用国での
完全生産品でしたので安心しておりましたが、
実際は「なぜ完全生産品といえるのか」とその証明を
求められたようですので完全生産品といえども油断はできません。

 

特恵関税を適用した申告が多いのであれば
原産地規則の確認を定期的に行うべきでしょう。

特に付加価値基準のパーセンテージを原産地規則ぎりぎりで
通している場合は為替の大きな変動があれば
突然原産地規則を満たさない貨物になってしまう可能性もあります
ので注意が必要です。

このような事後トラブルを避けるためにも
原産地規則の適用は付加価値基準ではなく
関税分類変更基準を使用した方が事後調査対策に有効です。

 

原産地証明書は第三者機関(相手国の商工会議所等)を
通じて発給されますが、このような機関を通したからといって
原産地規則の判定も間違いないとのお墨付きにはなりません。

むしろこういった第三者機関の知識不足の為、
「原産地規則を満たさないもの」であるにも関わらず
「満たすもの」と誤って判断をするケースが多発しております。

原産地規則、特恵税率適用に関する事後確認の実施リーフレット

※税関HPより引用

 

 

事後調査の日程は延期できるのか?

調査の日程は輸入者と打ち合わせをして、双方の都合が合う日に設定
する事になります。

設定日の変更も協議することにより可能です。
その際は理由を説明する事になります。

例えば一時的な入院や葬式、出張などやむを得ない事情が
発生した場合等です。

 

事後調査は一日で終わる?

事後調査に要する日数はケースバイケースであり、
複数回に分けて行う事もあります。
不明点などがあれば調査は日延べになる事もあります。

また、事後調査が完了しても、その後に新たな疑義等あれば
事後調査の再開もあり得ます。

 

調査対象になった理由は教えてもらえるのか?

基本的に調査対象になった理由は教えてもらえません。
数年に一度、定期的に輸入者を選んで選択するか
疑義が発生した場合に行われるものかと思われます。

 

ディスプレイ表示での証明は可能か?

膨大なデータがある場合や印刷物を保存する事が困難な資料を
求められた場合は必ずしも印刷物ではなく
ディスプレイでの表示による証明も可能です。

 

事後調査時に税関職員に差し入れはできるか?

基本的にできません。
通関でトラブルを起こした輸出入者が税関職員にお詫びのしるしに
お菓子を持参した事がありましたが職員は受け取りませんでした。

一切こういったものは受け取りませんし、
あまり露骨にやると逆効果になると思いますので
お茶かコーヒー程度が無難かと思われます。

 

どのような理由で過少申告の指摘を受けるケースが多い?

事後調査においてよくある指摘として多いのは以下の3つです。
1.インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2.豚肉に関わる高価申告
3.輸入者が輸出者に対し、無償提供した材料の費用の申告漏れ

特に1と3は評価申告という部類に入り、
一般的な輸出入者にとっては非常に難解な内容となっており、
正直通関士であってもその判定は難しい内容です。

その為事後調査にて過少申告加算税の対象となるのは
この評価の部分が非常に大きいです。

調査官も輸入者からの送金履歴や輸出貨物の履歴を見ますので
こういった事情があればすぐに指摘を受ける事になります。

 

事後調査で指摘を受ける輸入者はどれ位いるのか?

平成27年度の関税等の申告にかかわる輸入事後調査の結果では
4,302者に事後調査を行い、申告漏れを指摘された業者は
2,977者となっており、約70%の輸入者が申告漏れを指摘され、
約150億円の関税等の追加徴収となっております。

非常に多くの割合の輸入者が申告漏れを指摘されていることから
日々の取り組みが非常に重要となっております。

 

 

輸入事後調査の状況
※財務省HPより引用

 

申告漏れの多い貨物の種類は?

平成27年度の調査によりますと
1.電気機器
2.光学機器等
3.肉類
4.機械類
5.医療用品
の順に申告漏れの指摘が多いようです。

1,2,4,5に付きましては無償貨物の提供やインボイス価格以外の
支払いが多いかと思われます。

3の豚肉については以前大きな問題になりました。
豚肉の申告は特殊でして、安い豚肉には高い関税を
高い豚肉には安い関税を課すという形になっております。

高額の豚肉と安価な豚肉の区別は1kgあたり524円以上かどうかが
基準となります。

実際に支払った額が1kgあたり524円よりずっと安いにも関わらず
故意に高価申告をして関税率を低く抑えていたという事例です。

豚肉に支払った額は高く申告する事になりますが
結果関税率が低くなる事により、
トータルでプラスになるという手口で一時新聞を賑わせておりました

過少申告する事だけが問題なのではなく
過大申告も意図的に行えば追徴課税の対象になります。

 

 

事後調査にて納付不足税額の多い品目

※財務省HPより引用

 

 

 

輸入者以外の取引先等第三者への調査は行くのでしょうか?

事後調査によって明らかにできない情報がある場合は
反面調査といって取引先等第三者への調査が行われる事もあります
基本的にその場合は相手先へ事前通知を行ってから
調査する形になります。

 

マルサの女や恐ろしい人が来るのでしょうか?

基本的に調査官はすごく丁寧で優しい人が多い印象です。
緊張した状態で待ちかまえ、拍子抜けして余計な事を喋る方が
よくいるようです。(笑)

 

通関業者や通関士は助けてくれない?

基本的に情報提供以外は助けてはくれないと考えておいてください。
事後調査の立ち合いは通関士か弁護士と定められておりますが
余程親切な通関士でなければ立ち合いまではしてくれないでしょう

通関前、通関後に関しては輸入者様自身の責任の上行われるという
認識ですので通関業者を当てにして全て丸投げは危険です。

 

申告漏れ発生原因NO.1の評価申告って?

事後調査の対策としては第一に評価申告の見直しがあります。
ここが最も申告漏れが多い部分ですので
調査では評価申告の適否について慎重に調査します。

単純に輸入貨物の代金を決済するだけの取引であれば
シンプルでわかりやすいのですが、
インボイス決済以外の支払い、無償貨物の提供はよくある事なので
こういった事があれば事前に調べる事が必要です。

 

 

 

申告漏れが生じやすい評価申告

 

 

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化学品特有の原産地記号1

最終更新日2017年7月20日 By 河副太智 Leave a Comment

原産地記号とは原産地規則の実質的変更基準を記号化したもので
例えばCCが類の変更,CTHが項の変更、CTSHが号の変更と
これらを満たすことができれば
原産地規則を満たすというようなアルファベットの記号です。

こういった記号はほぼ全ての品目に共通ですが
化学品関連の貨物に関しては特殊な記号が存在する場合があります
今回紹介するのは日豪EPA(日本とオーストラリア)間の化学品に
おける化学品特有の原産地記号です。

化学品におけるオーストラリアからの輸入、または輸出する場合
関税削減を行うには必須の知識となります。

 

日豪EPA化学品に対する原産地記号は
CR,D,P,CPS,SM,ISの6つです。

 

 

日豪EPAの品目別分類規則のページを見てみましょう。

 

27類あたりから特殊な原産地記号が書く品目別に
一番下の欄に記載があります。

 

 

日豪EPAでの品目別分類規則は一覧多いのが特徴です。
上記赤丸の部分のように特殊な原産地記号が記載されております。

 

 

一般的な原産地記号CC,CTH,CTSHの下に
化学品用の原産地記号がありますが
これは両方満たす必要があるわけではなく、
どちらか一つ満たせば原産地規則を満たすという意味になります。

 

これら化学品特有の原産地記号の詳細は日豪EPA品目別分類規則の
642ページから詳細が掲載されておりますので参考にしてください。

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日本の税関と輸出先税関とのHSコード見解の違いが危険

最終更新日2021年3月25日 By 河副太智 Leave a Comment

輸入においても輸出先国でも原産地規則においてはHSコードの選定
は最も重要なものです。

万が一HSコードの選定を誤って原産地証明書を取得した場合
予想外の関税を支払わされる羽目になります。

そこで輸出者等原産地証明書作成者はHSの選定については
慎重にならざるを得ません。

 

しかし、多くの輸出者は自身で正確なHSコードを選定するのは
非常に困難かと思われます。

 

輸入の場合であれば日本の税関にあらかじめ事前教示を行い、
HSの選定を行った上で、輸出者に対しHS選定の打ち合わせを
すれば、日本において原産地証明書のHSが違うという事で
無効になるという事はよほどの事がない限りないでしょう

 

しかし、日本から輸出をして原産地証明書を相手国に送り、
相手国で特恵関税を適用させるという場合は事情が異なります。

 

輸出のケースでも日本の税関にHSコード選定に対し
事前教示を行う事は可能ですが、
ここには大きな落とし穴が存在します。

 

 

日本の税関が判断したHSコードと海外の税関が判断するHSコードは
異なる事もあります。

 

HSコードとはWCO(世界税関機構)によってWTO加盟国で制定され、
共通ルールの上でHSコードが各貨物に対して割り当てられて
おりますが、解釈の仕方が国によって変わってしまうケースが
あるのです。

 

 

一つ例を挙げてみます

PC用のマウスパッドのHSコードですが
マウスパッドだけに割り当てられたHSコードというものは
存在しません。

 

その為マウスパッドの材質でHSを選定するか
PCの部品になるかというところで非常に迷う点ではあります。

 

そこで日本の税関の
事前教示データベースにて「マウスパッド」を検索してみました。

 

するとマウスパッドはHS6307の紡織用繊維のその他という分類が
されておりました。

 

 

分類の理由はその貨物の特性を表す部分がポリエステル製の編物に
あるという見解です。

 

 

では同じくポリエステル製のマウスパッドを
アメリカの事前教示データベースで検索してみました。
上記リンクからNY B88422という実例を見ると
こちらでは同じポリエステル素材のマウスパッドがHS8473と
判断されております。

HS8473とはパソコンの部品の事です。
以下アメリカ事前教示の文面を引用します。

 

Mouse pad, that is designed for use with a computer input device,
commonly called a mouse. The mouse pad is constructed of
synthetic rubber with a top layer of polyester.

 

副素材がプラとゴムという素材の違いはありますが
日本の税関は材質を元にHSコードを6307と選定し、
アメリカの税関は用途を元にHSコードを8473と選定しました。
(関税率表解説(EN)の8473項の除外規定(b)には
「マウスパッド(構成する材料により該当する項に属する。)と
規定されているにも関わらず。)

 

もし通常に輸入する場合に関税が発生したら大変な事になります。

 

相手国で特恵関税の適用ができるかどうかを日本の税関に質問し、
日本の税関の判断が相手の国の判断と必ず同一かというと
そうでもないケースも多々あります。

 

もし、輸出先で特恵関税の適用を受けようとするのであれば
相手国の税関に対し事前教示を行うのがベストです。

 

これを日本側で決めてしまい、意見の相違があれば
最悪の場合原産地規則を満たさないという事で
相手国で想定外の関税が発生する場合もあります。

 

 

 

もう一件HSに対する国ごとの意見の相違事例を紹介します。
アメリカ税関では気密容器入りの食品として分類されていたものが
日本では気密容器ではないと判断され、関税が課されたという事例です。

内閣府が発表している個別苦情個票を見ると
「気密容器の定義は各国で異なっても問題ない」との記述あります。

 

HSコードは全世界共通という認識はありますが
ある程度の制限、解釈に関しての裁量はあるようです。

FTA税率の算出は絶対にミスできない大仕事ですので
必ず輸入先税関の意見を聞くようにしましょう。

Filed Under: FTA/EPA, 意見相違 Tagged With: HSコード, 事前教示, 内閣府個別苦情個票, 原産地証明書, 品目別分類規則, 実質的変更基準, 意見の相違, 相手国, 税関相談窓口, 経済連携協定, 輸入先, 輸入国, 輸出先, 輸出国, 関税

化学品の関税削減方法

最終更新日2017年7月12日 By 河副太智 Leave a Comment

原産地規則には関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準の
3つがあります。

化学品に関しましては関税分類変更基準があるものが存在し、
関税分類変更基準、付加価値基準を満たさなくても
加工工程によって特恵関税の恩恵を受け、
関税の減免税が可能になるケースがございます。

 

HSコードの27類から40類まではこのような加工工程基準が存在
するものが多いので関税分類変更基準、付加価値基準を満たさない
貨物の場合は製造工程をよく確認し、原産地規則を満たす可能性
があるかどうかを確認したほうが良いでしょう。

 

では具体的に化学品の加工工程基準とは
どのようなものがあるのか紹介させて頂きます。

 

日タイEPAの基準では日タイ協定付属書2の7部に
では化学品の加工工程基準は以下のようなものがあります。

 

1.化学反応
2.精製
3.異性体分離
4.生物工学的工程

 

 

では日タイEPAで上記4点の加工工程基準の詳細を紹介します。

 

 

1.化学反応

 

化学品の加工工程基準 化学反応とは

 

 

 

 

2.精製

化学品の加工工程基準 精製とは

 

 

3.異性体分離

化学品の加工工程基準 異性体分離とは

 

4.生物工学的工程

 

化学品の加工工程基準 生物工学的工程とは

 

 

 

化学品の多くはこれらの加工工程基準のどれかが定められている
場合がありますので、

関税分類変更基準、付加価値基準を満たさなくても
この加工工程基準が満たされていれば
第三国の原料からなる化学品であっても
特恵関税適用対象になる可能性がありますので
是非ここはチェックしてください。

 

Filed Under: FTA/EPA Tagged With: 1次材料, 1次製品, 2次製品, EPA, FTA, HSコード, 一次原料, 二次原料, 付加価値基準, 加工工程基準, 化学反応, 化学品, 原産地規則, 原産資格割合, 品目別分類規則, 実質的変更基準, 生物工学的工程, 異性体分離, 精製, 経済連携協定, 自由貿易協定, 関税, 関税分類変更基準, 非原産材料

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