• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar

関税削減.com【HSコード分類事例の解説】

世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。

  • 電子書籍で読む
  • HSコードとは
  • 記事一覧
  • 著者紹介
  • English
  • 運営者によるサポート
※効率的に関税削減を行うための図解マニュアルは こちらからダウンロード。

TPP相手国による「税率差」

最終更新日2018年12月23日 By 河副太智 Leave a Comment

日本がTPP締約国から輸入する際の関税率は基本的には締約国すべてに
対して同じ税率が設定されておりますが、一部の品目については
相手国によって異なる関税率を設定しております。

当記事はTPPを利用して以下のHS6桁に該当する貨物を輸入する場合に
知っておく必要のある規則です。
HS:1005.90、1702.60、3505.10、4407.11、4407.12、4410.11、
4410.12、4412.31、4412.32、4412.39、7202.11、7202.30、7202.60、
7202.92、7501.20、7502.10、7502.20、7504.00の一部

 

目次

  • 税率差のある品目の例
  • 許可書の原産地種別コード
  • 税率差が3%を超える場合
    • 例1:税率差が3%以下の場合
    • 例2:税率差が3%超えで非原産材料がある場合
    • 例3:税率差が3%超える完全生産品の場合
  • 関税率差まとめ
        • 関税削減.comニュースレター登録フォーム

税率差のある品目の例

財務省関税局によるTPP解説スライドを参考にすると
エステル化でん粉 HS3505.10-100の例が税率差のある品目の例として
紹介されております。

 

TPP相手国による「関税率差」の解説

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

上記の図を見るとTPPが始まっても5年間は「エステル化でん粉」の
関税率は6.8%のまま変わりません。
しかし、オーストラリア、カナダ、チリ、ベトナム原産の品目に限り
TPP発動から6年目からは関税率ゼロに変わります。
この4か国以外の原産の「エステル化でん粉」はTPPの恩恵を受ける事なく
ずっとMFN税率である6.8%が適用される形になります。

 

(拡大図)
TPP日本側譲許表を見ると以下のようになっております。

 

(全体図)

TPP相手国による「関税率差」の解説

アメリカの関税率も記載されており、上記4か国以上に優遇されていました。

許可書の原産地種別コード

輸入通関許可書の原産地(申告)種別の欄はTPPの場合は”TP”と
記載される事になりますが、上記のような関税率差のある貨物の場合
関税率差のある国のコードが記載される事になるので
“TP”とは記載されない場合があります。

 

 

例として針葉樹の木材HS:440710-110を見てみますと以下のように国によって
関税率差が発生しております。(HS2017では440711-110)

 

 

 

 

この貨物をTPPによる特恵関税率を利用して輸入する場合、
輸入通関許可書の原産地(申告)種別の欄は

カナダ産であれば“1C”(赤枠部分)
ニュージーランド産であれば“1B”(青枠部分)
それ以外のTPP加盟国から輸入する場合は“TP”(緑枠部分)と
それぞれ記載される事になります。

 

税率差が3%を超える場合

TPPにおける原産地の決定は「国」ベースで決定するのではなく
「協定原産」ベースで決定される事になります。

関税率差のある国々でグローバルサプライチェーンを組んでいる場合は
どの国の原産貨物とみなされるかについて「税率適用国決定ルール」が
共通規定として存在しますが
3%を超える関税率差がある場合は別途規定が存在します。

税率適用国決定ルール(附属書2-D第B節)

最終生産工程が行われた締約国の税率を適用する。
ただし、「軽微な作業」と呼ばれる最低限の作業は除く。
輸入者の選択により、すべてのTPP締約国若しくは生産に関与した
TPP締約国の中の最も高い税率を適用することも可能。

国別のルール(税率差が3%超の品目)(附属書2-D付録C)

税率差が3%を超える品目等として協定(附属書2-D付録C)
に掲げるものについて、どの締約国の関税率を適用するかを
決定するルールを規定。

 

この税率差ルールの一覧が以下のようになります。

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

これを見ただけではなかなかイメージしにくいと思いますので
事例ごとに分解して解説させていただきます。

例1:税率差が3%以下の場合

オーストラリアで伐採された木材
↓
ニュージーランドで合板に加工
↓
マレーシアにてラベル張り
↓
日本に輸出

 

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、完成品である合板を日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア5.4%
ニュージーランド3%
オーストラリア5.4%
というように国ごとに関税率が分かれておりますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)マレーシアでの作業は「軽微な作業」に分類される為、
原産国候補からは外れる事となる(品目別分類規則を満たさない行為)

(2)オーストラリアでの生産は伐採を行っただけであり、
合板の製造には関与していない

(3)ニュージーランドにて最後の生産工程が行われ合板が完成した。

⇒
「軽微な作業」を超える最後の生産工程が行われた国(NZ)の税率を適用
という事になります。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

例2:税率差が3%超えで非原産材料がある場合

インド(非原産国)で生産されたばれいしょ
↓
オーストラリアででん粉の製造
↓
マレーシアにてエステル化
↓
日本に輸出

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、完成品である「エステル化でん粉」を
日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア6.8%
オーストラリア無税
というように国ごとに3%を超える関税率差がありますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)マレーシアでHS1108から3505に変更される作業工程があった

(2)オーストラリアでHS0701から1108に変更される作業工程があった

(3)税率差ルールでは「TPP域内で主要な関税分類変更が行われた国」の
税率を適用するように規定されている

⇒
完成品である「エステル化でん粉HS3505」に対しての主要な関税分類
変更が行われたマレーシアの関税率が適用される事になります。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

 

 

 

※化学品や繊維製品の加工工程基準で原産地規則を満たす必要がある場合も
複数の製造に関わる国で3%越えの関税率差があれば同じように考えます。
税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

例3:税率差が3%超える完全生産品の場合

ニュージーランドで生産されたばれいしょ
↓
オーストラリアででん粉の製造
↓
マレーシアにてエステル化
↓
日本に輸出

※財務省関税局によるTPP解説スライドより引用

この例の場合、
完成品である「エステル化でん粉」を日本側が輸入する際のTPP関税率が
マレーシア6.8%
オーストラリア無税
ニュージーランド6.8%
というように国ごとに3%を超える関税率差がありますので、
どの国の関税率を適用するのかが問題となります。

(1)製造に関わる国全てがTPP加盟国である

(2)非原産材料が使用されていない場合は付加価値のみで判断する

(3)一番大きな付加価値を与えたのはオーストラリアである

⇒
原料調達国や製造国全てがTPP加盟国であれば原産国の決定に
HS分類は検討する必要が無く、どの国でどれほどの付加価値(金額ベース)
を与えたのかによって原産地が決定するのでこの例ではオーストラリアが
原産国となる。

税率差ルール一覧では以下の部分に該当します。

 

※非原産材料を使用して3%を超える関税率差のある国が関わる製造の
場合も同じように一番大きな付加価値を与えた国が原産国となります。

 

関税率差まとめ

税率差ルールの一覧を見ただけではよくわかりませんが
上記のように個別事例別に分解して理解してから改めて以下の一覧を
見るとそれぞれの意味が理解しやすくなっているかと思います。

 

関税率差が発生して原産国が規則によって決定される場合であっても
輸入者が希望する場合は最も高い関税率の国を原産国とする事も可能です。

TPP特恵関税率を適用する貨物で
HS:1005.90、1702.60、3505.10、4407.11、4407.12、4410.11、
4410.12、4412.31、4412.32、4412.39、7202.11、7202.30、7202.60、
7202.92、7501.20、7502.10、7502.20、7504.00の一部を輸入する場合は
この関税率差ルールを認識する事が重要です。

ご不明な点はございますか? EPAやHSコード等通関全般についてご質問頂ければ
関税削減.com運営者で元通関士の私河副が直接回答致します。
フォームからご連絡頂ければ税関や通関業者にはなかなか聞けない事、
今更聞きづらい初歩的な事など幅広く対応させていただきます。

また、関税削減に必要な情報の一覧は関税削減.comTOPページをご覧下さい。


■関税削減マニュアルpdf版を無料配信中。
関税に関する法令や協定は日々変化が著しく、常に最新の情報を得る事は困難です。
関税削減.comでは関税に関する重要なお知らせをメールにて無料配信しております。
登録して頂くとamazonで販売中の関税削減マニュアルのpdf版(約500ページ)を
無料で提供させていただきます。
ニュースレター解除はいつでも可能であり、大量のメール配信は行いませんので
是非登録をお願いします。

関税削減.comニュースレター登録フォーム

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。

関税削減.comのコンテンツは電子書籍での閲覧が可能です。
複雑な法令等を素早く調べたい場合に非常に便利です。

Filed Under: FTA/EPA

関連記事一覧

ニッケルの粉の関税を削減する実例

FTAを適用してニッケル粉末の関税を削減する実際のケース 導入 輸入者Aは、FTA締約国である英国からニッケル粉末を輸入することを検討しています。ニッケル粉末は、非締約国から調達された原材料を使用して英国で製造されていま […]

靴の関税を削減する実例

FTAを使用した関税削減の可能性 輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達 […]

飴の関税削減事例

  事例 輸入国Aの商社がFTA締約国であるB国から砂糖菓子を輸入しようとしています。 当該砂糖菓子はFTA締約国B国にて製造される。砂糖菓子を製造する際、締約国B内にて調達した砂糖と水飴とFTA非締約国から調 […]

インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介

インドとの貿易取引を行う場合、輸出入規制やHS分類、FTA/EPA等において 悩む事が多い事かと存じます。 他の国々と比較してインドの制度はわかりにくい部分も多く様々な混乱が発生する為、 情報収集をしたところ、非常に誠実 […]

バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧

HS:4202.11 – トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 –外面が革製又はコンポジションレザー製のもの HS:4 […]

Reader Interactions

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Primary Sidebar

  Linkedinはこちら  

関税削減.comのニュースレターに
登録して頂くと関税削減マニュアル
pdf版(約500p)が無料になります。
解除はいつでも可能です。

関税削減マニュアルを無料で受けとる

受信ボックスか迷惑メールフォルダを確認して購読手続きを完了してください。



■著者:河副 太智について

■ご質問に回答します。

おすすめの記事

■日EU原産地申告書作成方法
■TPP原産品申告書作成方法
■世界の関税率を直接検索
■税関の事後調査は怖い?
■輸出国税関から調査要請
■関税評価と事後調査
■関税率の調べ方
■世界のFTA/EPA協定文を検索
■HSをネット検索する方法
■日本と海外はHSが違う?
■原産地記号一覧
■ 英語版FTA/EPA学習コース
■全記事一覧

新着記事

  • ニッケルの粉の関税を削減する実例
  • 靴の関税を削減する実例
  • 飴の関税削減事例
  • インドにおける各種輸出入法令に関するアドバイザー紹介
  • バッグ(鞄)のHSコードに対する画像一覧
  • 3DアートペンのHSコードは8516か8477のどちらに分類?
  • ローラースケートプロテクターのHS分類は付属品になるのか
  • ケース、箱、容器のHSコード分類法
  • 吊り棚のHSコードは9403(家具) か 6307(繊維製品)か?
  • 税関事後調査情報は税務署にも繋がっている
  • 税関事後調査でEPA適用が取り消されるケース
  • 税関事後調査でHSコードの誤りから追徴課税になるケース
  • おもちゃのHSコードはどう決まる?(貯金箱の事例)
  • 税関から「会社概要の照会について」が来たら要注意
  • 税関から「会社概要のお伺い」が来たら要注意
  • 税関から「会社概況調査のご案内」が来たら要注意
  • トレッキングポールは「杖」HS:6602に分類される?
  • 元税関職員が語る事後調査を回避する方法
  • 過去の税関輸入事後調査の状況
  • RCEP詳細
  • プールラウンジャーのHSコード分類判例
  • 自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
  • 部分品と付属品の定義
  • 小売用セットか分離課税か?(オーディオアクセサリー)
  • 国によって異なるHSコード分類解釈
  • コロナ関連医療機器のHSコード一覧
  • 日EU・EPAでREXナンバーの記載は必要か
  • 化学品HSコード分類フローチャート
  • 有機化合物の化学式画像によるHSコード分類表
  • 通商法301の追加関税対象製品をHSコードで検索
  • 中国製品に特恵関税率を適用(RCEP原産品申告書例)
  • コロナ対策品目のHSコード一覧
  • 利用規約の英語版テンプレートを簡単に作成する
  • 税関審査官によって異なるHSコード分類
  • 靴のタリフエンジニアリング(アメリカ向け)
  • 汎用品に分類されるHSコードとサンプル画像一覧
  • 企業が安価輸入品から利益を守るアンチダンピング関税発動法
  • アンチダンピング関税で不当安価な輸入品から利益を守る
  • プラ製自動車部品のHSコードはどう分類する?
  • 日EU・EPA運用における意見相違
  • 日米貿易協定
  • EPAの仕組みを英語で解説して取引先に理解させる
  • 材質分類か用途分類か
  • HS分類の「改正」なのか分類ミスの「訂正」だったのか?
  • 小売り用セット品目のHSコード分類法
  • 関税率表解説の”通常”や”例えば”という文言の解釈
  • HS分類ミスによる追徴課税
  • 口頭事前教示申請でHSコードの分類を行う
  • 部品メーカーが直面する原産地証明への対応
  • ボルトとねじのHSコード分類法

カテゴリー

  • FTA/EPA
    • CTC実例
    • RCEP
    • 原産地規則実例
    • 日EU・EPA
    • 検認、事後確認
  • HSコード
    • HS分類判例
    • タリフエンジニアリング
    • 各国税関による分類事例
    • 意見相違
    • 自動車部品
    • 部分品の原産地規則
  • NEWS
  • WEB集客
  • ツール
  • 一般特恵関税
  • 中国
  • 未分類
  • 特殊関税
  • 税関事後調査
  • 解説書
  • 貿易通関統計
  • 通関英語
  • 関税法
  • 関税評価

旧HS2002,2007,2012へ変換

Copyright © 2025関税削減.com
当サイトの掲載情報を利用することで生じたトラブル及び損害に対しては一切責任を負いません。