HeadingとはHSコードの項の事を言い
HSコード6桁の内の頭4桁の呼び方です。
Chapterとは?特恵関税に使う通関英語
ChapterとはHSコードの類の事を言い
HSコード6桁の内の頭2桁の呼び方です。
南シナ海問題を超えて
日本経済新聞によるとフィリピンのヤサイ外相は
中国との南シナ海問題の解決の糸口として
貿易、投資、インフラ開発、人的交流を推進してから議論をしたいという
意向を表明しているようです。
こういった表明はやはり先行き不透明なTPPの影響が大きいのかと思います。
トランプ時期大統領の掲げるTPP離脱問題に対抗するため、
アジア圏ではRCEPの発動に意欲的で、
南シナ海問題を抱える2国間ですらまずはRCEPでまずは仲良くしましょう
という気持ちが芽生えるのかもしれません。
最近の報道ではTPPよりRCEPの方に注目しているようで
多くの関心が今RCEPに向いているように思えます。
RCEPの共同体はトランプ時期大統領の心にどう響くのか、
注目していきたいと思います。
事前教示で原産地規則の確認
HSコードの特定や原産地規則の確認という作業は困難を極めます。
ある程度知識がついてくると自信がついてきて、
自分でHSコードを特定し原産地規則を満たしていると判断しがちです。
このような曖昧な状態で通関が開始してしまい、
税関審査時にHSコードの違い、原産地規則解釈の誤りを指摘された場合
関税がゼロだと判断してもそれが過少申告加算税付で大きく加算されたり、
原産性の証明を求められて貨物の配送が大幅に遅れるなど
目も当てられない悲劇が起きる可能性があります。
そのような状況を防ぐために文書による事前教示というものがあります。
この制度はHSコードの事前相談だけでなく、
原産地規則の解釈についてもあらかじめ税関の判断を
書面にて発行してもらい、3年間その判断を尊重するという制度です。
原産地証明書を使用して一般特恵関税やFTA/EPAの特恵関税制度を
利用する場合はトラブルを避ける為に必ずお勧めしたい制度です。
申請から事前教示発行までは数週間かかり、
貨物について証明する書類の提出や製造工程、用途の説明など
細かな内容を具体的に聞かれる事になりますので
余裕をもって準備できればと思います。
税関HP事前教示窓口はこちら
事前教示のフォーム(HS特定用はC-1000 原産地特定はC-1000-2)
三国間貿易でのFTA
日本経済新聞によると花王株式会社はインドネシア(スマトラ島)に
新工場を設立し、シャンプーや洗剤等の原料を作り、
完成品を作るタイ、ベトナム、インドネシア向けに
一次材料を供給するシステムを構築するようです。
このニュースによってわかるのは日本の貿易の仕方が
ものづくりから投資に変わってきているという事です。
過去の日本は国内生産したものをガンガン輸出して利益を得ていましたが、
今は海外の工場で生産し、そのまま海外に販売する手法が
確立されているようです。
また、直接はわかりませんがFTAの恩恵も受けながら
このようなグローバルサプライチェーンが確立されているかと思います。
花王さんのHPにFTAについての記載がありましたので引用します。
私たちは、AFTA(アセアン自由貿易地域)構想で注目を集める
「アセアン地域」についても力を注ぎ、
それぞれの市場のニーズに合わせた製品を投入。
着実に、事業を拡大しています。
ここで注目すべきキーワードはAFTA(アセアン自由貿易地域)です。
これは日本に直接関係の無いFTAですがアセアン域内の国同士での
関税撤廃などの恩恵を受けるFTAです。
本記事執筆時点ではインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、
シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアが
これに参加しております。
おそらくこのAFTAをうまく利用して花王さんは今回のような
新工場設立と製品供給システムを構築しているのではないかと思いました。
こういった三国間貿易もこれから加速していくと思われます。
日本とどの国がFTAを締結しているかという事だけではなく
世界のFTAを見る力も養わなければいけませんね。
繊維製品の原産品判定
原産地規則を読み解く上で困難なカテゴリの一つに繊維製品があります。
多くの原産材料を使用する上、原産地規則(品目別分類規則)が
非常に難しいので今回実例を挙げてみます。
この繊維製品(HSコード6110)は多くの原料からできています。
日本から材料を提供している表生地、ラベル
ベトナム産の裏生地と中国産の糸とボタンで
最終的にカンボジアで完成し、カンボジアの原産地証明書を使用します。
上記のような複雑な製造工程パターンでもカンボジア産として
認められるかどうかはまず品目別分類規則を確認します。
するとHSコード6110の規定は「紡織用繊維 糸から 製造」となりますので
この品目別分類規則からいうと上記の材料は中国産の糸しか
該当しないようにも見えます。
しかし、実際は違います。
日本産の表生地とラベルは自国関与という制度があるので
そのままカンボジア原産として認められます。
ベトナム製の裏生地に関しては完成品の10%以下しか使われておらず
僅少の非原産材料を使用しているという事で
これは実質的変更基準を満たしている事になります。
最後が難題です。
中国産のボタンですが、こちらに関しては品目別分類規則の表の少し下に
備考欄がありまして、ここに救済規定があります。
五 関税定率法別表第六一類から第六三類までに
該当する物品が原産品であるか否かを決定するに当たり、
物品の生産に使用された原料又は材料であつて
同表第五〇類から第六三類までに該当しないものについては、
繊維を含むか否かを問わず、考慮しない。
要約するとこれはHSコード61から63で頭2桁が始まる貨物に関して
品目別分類規則を満たすかどうかについて検討する非原産材料は
HSコード50から63で頭2桁が始まる物だけを考慮し、
それ以外は品目別分類規則を満たすと考えてよい事になります。
ボタンのHSコードは9606なので上記の備考欄の規定に該当し、
これもカンボジア原産となります。
これらによってめでたくこの繊維製品はカンボジア原産となり
カンボジアの原産地証明書を使用して減免税の適用が可能となります。
原産地規則の確認ではこのように複数の原産品に対し
一つ一つ原産性を確認する作業がありますので
非常に大変なパターンもありますので慣れておきたいところです。