原産地証明書が有効である為には正しい原産地規則にしたがって
貨物が製造されている必要がある事は言うまでもありませんが
HSコードの選定に関しては原産地規則の理解以上に困難でしょう。
第三国から輸入した際の原産材料のHSコードから
原産地証明書発行国での加工でどのHSコードに変化するのか。
この変化するHSコードの選定を誤ると
原産地証明書自体が無効になる場合がございますので注意が必要です。
以下の税関セミナースライドをご覧ください。
上記の例ではナイフの製造工程を表しております。
ナイフの原料が採れたての鉱石であればHSコードは2601になります。
その鉱石精錬する事によって鉄のインゴットになります。
そして最後に製品のナイフになります。
ナイフ HSコード8211
原料から製品までHSコードは3回変化しています。
2601
↓
7206
↓
8211
ではこの製造過程によるHSコードの選定を誤る
とどのような問題があるのでしょうか?
一般特恵関税の規則で第三国の原料をA国で加工して
A国原産のナイフとして認められるには
他の項からの変更が必要であるという一般ルールがあります。
上記の例で言えばナイフのHSコードは8211なので
第三国の原料を加工し頭4桁の変更があるので
鉄鉱石からでもインゴットからでも実質的変更基準を満たすという事で
A国産のナイフとして認められますが
もし新たに締結した特別特恵関税のルール(FTA/EPA)が発動し
ある特定の国が第三国になった場合に以下のようなルールがあったら
どうでしょう?
「ナイフの製造はHSコード2601から加工したものに限る」
もしこのような品目別分類規則があった場合、
第三国からくる原料のHSコードが指定されているため、
HSコード2601以外の原料を加工してナイフにしても
原産性が認められません。
HSコード7206のインゴットを原産地証明書発行国で加工しても
原産品として認められないという事になってしまいます。
HSコードの選定を誤るとこのような形で
原産地規則を破ってしまう可能性があります。
普段HSコードの選定を行わない方には非常に難しい分野ですので
通関士や税関に相談してから慎重にHSコードの選定を行ってください。